明日の株式相場に向けて=ウィズコロナの特急株と王道株

市況
2021年1月4日 17時01分

2021年の大発会となったきょう4日の東京株式市場は値動きの荒い展開となり、前場後半に漸次下げ渋る場面はあったものの、結局、日経平均株価は185円安の2万7258円と下値模索の展開を余儀なくされた。

新春相場はリスクオンの地合いが継続する、というのが大方の市場関係者の見立てだったが相場は天邪鬼(あまのじゃく)というか、AI・アルゴリズム売買の影響もあってなかなか予測通りにいかないケースが増えている。大発会はなんとなく高いだろう、程度にみていた関係者の期待を裏切った。きょうは、昨年末のNYダウ最高値の余韻に浸りながら131円高でスタートしたが取引開始1分後にきょうの高値をつけるというほぼ“寄り天”となった。そして、寄り後一呼吸おいて「菅首相が緊急事態宣言の発令を検討」と伝わったことが、例によってアルゴ売りのトリガーを引いた。日経平均は新春幕開け早々に「牛つまずく」の格言を地で行く形でもんどり打ったような急落となり、その下げ幅は瞬間風速で400円強に達した。

しかし、この緊急事態宣言の話自体は一昨日(2日)に小池都知事が神奈川、千葉、埼玉の各知事と合同で政府に発令検討を要請していた。流れは、誰が見ても菅首相が突っつかれる形で遅かれ早かれ再発令されるという状況にあったわけで、決して寝耳に水と言う話ではなく、「ああ、やっぱりね」というくらいのネタのはずである。

同じ時間帯に取引が行われているアジア株市場をみれば総じて堅調に推移。また米株価指数先物も前場は小じっかりの展開であったから、それを横目に日経平均も下げ渋った。後場の日銀のETF買いに対する期待感も働いたと思われる。だが、戻し切れなかった。市場関係者の間では「昨年11月以降のいいとこ取り相場の反動が出ている」という声も聞かれた。また、米国ではあす5日にジョージア州連邦議会上院選決選投票を控える。仮に民主党が過半を制しトリプルブルーが実現すれば基本的に警戒材料で、今の時点で描かれるシナリオは、財政出動の思惑を背景とした米10年債利回りの1%台乗せの思惑が高まり、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数を中心に逆風が意識され、東京市場にもその余波が及ぶというもの。こうした方程式はあまり意味がないのだが、相場の足腰が弱まった場面では結構ハードなボディブローとなる。

かといって弱気になる必要はない。昨年5月以降、強気の姿勢を崩さない準大手証券のストラテジストは「何も考えず押し目は買いと呪文のように唱えて、潜在意識に刷り込むことが大事」と冗談めかして言うが、これは昨年の相場を振り返ればまさに図星だった。また、全体相場が弱い時も、逆に輝きを放つ株というものが常に存在した。今年も同様の地合いが想定される。

個別では、きょうの相場は王道銘柄である半導体製造装置のレーザーテック<6920>や医療ICT関連のエムスリー<2413>が値を飛ばしたほか、日本電産<6594>、ソニー<6758>などもしっかりした動きをみせたが、全般的に主力どころは冴えない動きとなった。その代わり、新型コロナ警戒モードの地合いで買われやすい中小型株の一群が上値指向を強めている。全体相場の上値が重い場面では、川本産業<3604>、アゼアス<3161>、中京医薬品<4558>、ニイタカ<4465>、昭和化学工業<4990>といった銘柄の動きが軽くなる。このほか、コロナ対策関連の特急株では不二精機<6400>、天昇電気工業<6776>、ツインバード工業<6897>の3銘柄が強力。もちろん需給相場の典型で反落リスクを念頭に置き、短期トレードと割り切った機敏な対応が求められる。

一方、コロナ禍の対角線でバブル的様相を強めるビットコインも株式市場の個別株物色に影響を与えている。商いを伴い株価にうねりが生じているマネックスグループ<8698>がその典型だが、株価低位のマネーパートナーズグループ<8732>フィンテック関連の切り口でアイエックス・ナレッジ<9753>なども引き続きマークしたい。また、EV・電池関連で第一稀元素化学工業<4082>、好業績の光る介護関連でシダー<2435>も要注目。

あすのスケジュールでは、20年12月のマネタリーベース、12月の新車・軽自動車販売台数など。海外では12月の独失業率、12月の米ISM製造業景況感指数など。また、米ジョージア州で上院選の決選投票に注目が集まる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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