【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 調整リスクを意識しつつもバイデントレードに期待
「調整リスクを意識しつつもバイデントレードに期待」
●日本株積み上げが期待される海外勢
日経平均株価は昨年11月以降の強い上昇基調を継続し、14日には一時2万8979円まで上昇し、2万9000円にあと20円余りというところまで迫った。30年5ヵ月ぶりの高値水準ということもあり、今後のテクニカル的なターゲットは読みづらい水準であり、急ピッチの上昇に対する調整リスクが常に存在することは意識しておく必要がありそうだ。
一方で、各国の大規模な金融緩和政策がもたらした過剰流動性の供給により、株式市場への資金流入が継続。足もと、日経平均はS&P500指数を上回る上昇率となっており、グローバルファンドにおける日本株組み入れ比率の積み上げも意識されよう。ドル建て日経平均は最高値を更新しており、押し目買い意欲は相当強いとみておきたい。さらに、20日にはバイデン氏の米大統領就任式が予定されており、通過後は政局リスクが後退するとともに、改めてバイデン政権の経済対策に対する期待も高まりやすい。
足もとでは商いが膨らみづらいなか、指数寄与度の高いコア銘柄が相場を牽引する形となっているが、バイデン政権への期待を背景に商いが膨らんでくる可能性もあり、脱炭素を中核とした再生可能エネルギー関連への物色なども再燃する可能性があるとみておきたい。物色に広がりがみられてくるようだと、そこから中小型株への物色も強まりやすい。75日移動平均線レベルでの攻防が続き、同線が抵抗線として意識されているマザーズ指数の抵抗突破も期待されてこよう。
●今週の活躍期待「注目5銘柄」
◆Chatwork <4448> [東証M]
ビジネスチャットツール「Chatwork」を手掛ける。チャット機能のみならず、タスク管理やユーザー管理機能も有しており、導入企業数は30万社に迫る。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに国内でテレワークの普及が加速しているが、ビジネスチャットの普及率は欧米と差があると見られており、拡大余地は大きいだろう。株価は昨年3月以降、テレワーク関連の一角として物色され、10月高値2624円をピークに調整が継続。足もとでは1400円処での底堅さがみられており、調整一巡感が意識される。
◆出光興産 <5019>
収益基盤の構造改革を推進中で、太陽光・風力・バイオマス・地熱発電などの再生可能エネルギー事業のほか、有機EL材料を手掛ける。足もとで市場の関心が高まっているEV(電気自動車)用全固体電池材料の研究開発も進めている。また、水素ステーションの運営など手掛かり材料は豊富。脱炭素の流れから石油株の株価は調整が続いているが、19年以降の調整によって、16年10月から18年10月高値6430円までの上昇幅は帳消しにしている。出遅れの再生可能エネ関連の一角として改めて注目したい。
◆ダブル・スコープ <6619>
リチウムイオン電池用セパレーターを手掛ける。リチウムイオン電池の需要は、EVを主要用途にニーズが大きいと考えられ、中長期的な業績寄与が期待される。16年5月につけた最高値3675円から長く調整を続けていたが、昨年4月安値をボトムに緩やかなリバウンド基調が継続している。 再生可能エネ関連株への物色は根強く、一段のリバウンド余地は大きいとみておきたい。
◆オロ <3983>
クラウドERP「ZAC」、クラウドPSA「Reforma PSA」を開発・提供するほか、企業向けシステムソリューションといったクラウドビジネス、企業のデジタル戦略策定および推進支援などのデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を展開する。新型コロナの感染拡大を契機に新たな生活スタイルが浸透するなかで、政府主導によるDX化推進の動きも一層加速するとみられており、同社のビジネスチャンスも拡大しよう。株価は強い基調が継続しており過熱感も警戒されるが、需給状況は良好であり押し目狙いのスタンスで臨みたい。
◆ルネサスエレクトロニクス <6723>
昨年12月にADAS(先進運転支援システム)や自動運転システム向けに、車載用SoC(System on Chip)を発表。今年1月にはIoT向け4G/5Gチップを手掛けている仏シーカンス社と5Gモジュールの開発に向けて協業を拡大すると発表。さらに同月、米マイクロソフトとコネクテッドカー開発で協業したことも発表している。車載用マイコンで世界トップ級である同社においては、半導体搭載率が上昇傾向にある次世代自動車向け需要の伸びは追い風となる。株価は昨年3月安値317円をボトムに強いリバウンド基調が継続しており、17年11月につけた戻り高値1543円が意識されてこよう。
2021年1月15日 記
株探ニュース