今週の【早わかり株式市況】小幅続落、米長期金利巡り乱高下も週末後場に買い戻し (訂正)
■今週の相場ポイント
1.日経平均は2週連続の下落、売り先行で一時2万8000円前半に値を下げる
2.米長期金利は高止まり状態となり、債券市場の動向に一喜一憂する展開が続く
3.パウエルFRB議長による4日の「金融政策は適切」発言で週末の市場は波乱
4.米金利上昇による日米金利差拡大を受け、1ドル=108円台へと円安が進行
5.IT関連など高PER銘柄は金利上昇による株価調整懸念で上値は重い展開に
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比101円(0.35%)安の2万8864円と2週連続の下落となった。ただ、TOPIXは前週末比31.69ポイント(1.70%)高と2週ぶりに上昇となった。
今週も米長期債の動向に左右される展開。週初は米10年債利回りが低下したことが好感され日経平均は上昇したが、週末はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言が警戒され米金利は上昇。NYダウが下落し日経平均も一時2万8000円台前半まで売り込まれる場面があった。為替は急激な円安が進行した。
週明けの1日(月)は前週末に米長期金利の急上昇で急落した反動もあって、日経平均は697円高と急反発。前週末のNYダウが大幅安となったことが警戒されたが、東京市場では時間外取引の米長期金利が1.4%台に低下したことが好感された。東証1部の9割近い銘柄が上昇した。2日(火)は255円安と反落。朝方は上昇したが、米株価指数先物がさえず中国・上海株や香港株の下げが重荷となった。3日(水)は150円高と反発。米バイデン政権による大型追加経済対策や新型コロナウイルスワクチンに対する期待が膨らみ、景気敏感株が買われた。4日(木)は628円安と急反落。前日の米株式市場が下落したことが警戒売りを誘った。特にハイテク株比率が高いナスダック指数が急落。米長期金利が上昇したことで、高PERのIT系などハイテク株には売りが先行した。東京市場もハイテク株などが売られ一時800円を超す下落となった。5日(金)は荒い値動きとなるなか、後場に買い戻され65円安と小幅続落にとどまった。パウエルFRB議長が「現在の金融政策のスタンスは適切」と発言したことで、米長期金利上昇に対するけん制を期待した市場の失望感を誘い、米国株式市場は大幅安。これを受け、日経平均株価も売られ一時600円超の下落となった。ただ、下値に買いが入り引けにかけ下げ渋った。米長期金利の上昇による日米金利差拡大で為替相場は1ドル=108円台に円安が進行した。
■来週のポイント
週末の後場に大きく切り返したうえ、昨日の米国市場が大幅反発しており、来週は底固めから上値を模索展開が期待できそうだ。
重要イベントとしては、国内では8日に発表される1月国際収支と2月景気動向指数、12日朝に発表される1-3月期法人企業景気予測調査が注目される。12日にはメジャーSQを迎える。海外では10日に発表される中国の2月消費者物価指数と2月生産者物価指数、米国2月消費者物価指数のほか、11日に行われるラガルドECB総裁の記者会見に注視が必要だろう。
■日々の動き(3月1日~3月5日)
【↑】 3月 1日(月)―― 急反発、米長期金利の上昇一服で不安心理が後退
日経平均 29663.50( +697.49) 売買高12億5001万株 売買代金 2兆4773億円
【↓】 3月 2日(火)―― 反落、朝高もアジア株安や米先物安で売り優勢
日経平均 29408.17( -255.33) 売買高12億9267万株 売買代金 2兆6132億円
【↑】 3月 3日(水)―― 反発、景気敏感株中心に自律反発狙いの買いが優勢
日経平均 29559.10( +150.93) 売買高12億0650万株 売買代金 2兆4664億円
【↓】 3月 4日(木)―― 急反落、米金利上昇やアジア株安で2万9000円割れ
日経平均 28930.11( -628.99) 売買高12億8561万株 売買代金 2兆7612億円
【↓】 3月 5日(金)―― 小幅続落、一時600円超安も後場に入り下げ渋る
日経平均 28864.32( -65.79) 売買高14億3043万株 売買代金 3兆1752億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、29業種が上昇
(2)マルハニチロ <1333> など水産・農林が値上がり率トップ
(3)日本製鉄 <5401> など鉄鋼、AGC <5201> などガラス・土石、昭電工 <4004> など化学といった素材株が買われた
(4)国際石開帝石 <1605> など鉱業、ENEOS <5020> など石油株は買い継続
(5)日産自 <7201> など自動車、ダイキン <6367> など機械、リコー <7752> など電機といった輸出株は買い戻された
(6)野村 <8604> など証券、日本取引所 <8697> などその他金融、三菱UFJ <8306> など銀行といった金融株も堅調
(7)内需株は積水ハウス <1928> など建設、アサヒ <2502> など食品などは高いが
リクルート <6098> などサービスは値下がり率トップ
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数上位5テーマ)
1(3) アンモニア
2(1) 半導体 ── 米長期金利上昇でも中期成長性に変化なし
3(4) 旅行 ─── 目先上昇一服も中長期での出直りに期待
4(7) 人工知能 ── ZHDとLINE統合でAI開発に巨額投資
5(5) 2020年のIPO
※カッコは前週の順位
株探ニュース