明日の株式相場に向けて=剣が峰で切り返す、正念場の日本株

市況
2021年4月22日 17時00分

きょう(22日)の東京株式市場は、日経平均株価が679円高の2万9188円と急反発。前日に下げた分を取り戻してお釣りがくる極めて強い動きをみせた。ここで全体指数が大きく切り返しに転じてきたことはコロナマネー相場がまだ終わっていないということを示唆しているようにも見える。前日に600円近い下げで75日移動平均線を下に放れた日経平均だったが、そこから更に下に突っ込んだ場合は3万円台が遠くなり、岸に上がれないまま沖に流されてしまうような展開を想起せざるを得ないところだった。

ただし、きょうは前日の欧米株市場の上昇に救われた部分はあったように感じられる。全体戻り急の相場の気勢を削ぐようなことをいうつもりはないが、まだ要警戒ゾーンから抜け切れてはいない。前日に下放れた75日移動平均線ラインを依然として完全にクリアできていないということと、日足一目均衡表ではちょうど雲の中に位置しており、このまま下放れないまでも2万9000円前後で逡巡しているようであれば雲の下に入ってしまう。あくまでテクニカル的には、このままもみ合いが続けば中期上昇トレンドいったん終了の思惑が拭えない時間軸にきていることは念頭に置いておきたい。その意味で、今週末から来週にかけて全体相場は正念場を迎えているといってもよい。

来週を境に企業の決算発表が本格化する。3月決算企業については今回は本決算ということで22年3月期の業績予想を開示することになり、事前の期待が高い銘柄ほど株価にはマイナス方向にベクトルが付加されやすい、という難しいタイミングである。また、これまで期中の上方修正は基本的に好材料だが、次期の業績予想に対しては発射台が高くなることで逆に不利となる。3月決算企業に先立って決算を発表した安川電機<6506>は22年2月期の営業利益が55%増益予想でも市場関係者が首をかしげるほど売り込まれた。過剰反応とはいうのは簡単だが、つなぎ売りなどせずに決算をまたいで株式を保有するのは、たとえ好決算企業でもリスクがあることを印象づけた。

目先試金石となるのは、きょう先陣を切って発表した日本電産<6594>だが、22年3月期は営業利益が前期比12.5%増の1800億円と2ケタ成長を確保し過去最高利益を更新する見通しを示した。「部分的に切り取れば間違いなく合格点だが、イベントドリブンで先に買いを入れていた向きにすれば微妙なところだ。あすの地合いにもよるが60倍台のPERを考慮すると、ちょっと厳しいかもしれない」(中堅証券ストラテジスト)という意見も出ていた。果たしてマーケットはどう評価するだろうか。

個別株も上下に値の荒い展開が多い。そのなか3月以降に「NFT関連」として何度か取り上げてきたgumi<3903>が一気に火を噴いた。巣ごもり関連としての側面もあり緊急事態宣言絡みで思惑が働きやすい点が一つ。そして、もう一つは同社株が4月決算企業であることも買いやすさにつながっている。ここからの株価動向は腕に自信があれば別だが、基本的に観賞用としてみておきたい。

このほか、半導体関連の切り口で、まだ上値追い余地が残されている銘柄として半導体部材を扱うイワキ<8095>パワー半導体関連でテクノアルファ<3089>などもマーク。

また、NCS&A<9709>が4月中旬以降、出来高を伴う強いチャートで目を引く。NEC系システム開発会社で、ITソリューションを活用した「可視化」を強みにパッケージソフトを展開し、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)投資需要を捉えている。また、国税連携システムなど全国自治体向けで実績が高く、官庁DX化でもビジネスチャンスが巡る。同社株は前週14日から長い陽線が目立つが、市場関係者によると「日本はワクチン普及が遅れていることが世界的にも指摘されている。緊急事態宣言が再発令される方向にあるなか、政府は新型コロナワクチンの普及に本腰を入れる。同社は自治体でのワクチン接種予約受付管理業務に向けたサービスとして、コロナワクチンの予約受付管理システムを手掛けていることで人気素地がある」(中堅証券アナリスト)という声が聞かれた。

あすのスケジュールでは、3月の消費者物価指数(CPI)、3月の百貨店売上高など。海外では4月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値、4月の英PMI速報値、3月の米新築住宅販売件数、4月の米製造業PMI速報値など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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