来週の株式相場に向けて=ワクチン接種率の上昇がカギ握る
ゴールデンウィーク(GW)明けの5月第1週(6~7日)は2営業日だけの取引だった。NYダウが最高値を更新するなかでの売買だったが、東京市場は依然として上値の重い展開となっている。チャート上は、25日移動平均線(2万9410円)前後が抵抗線となり上値を抑えられている。東京市場の上値の重さの背景には、やはり新型コロナウイルスに対する「ワクチン接種率の低さ」(市場関係者)がある。
日本の新型コロナワクチン接種率は4月末時点で2.5%程度だが、大手証券では海外の例を参考に「接種率が10%を超えた近辺で上昇トレンドに入る」と予想する。ただ、日本の接種率が10%に達するのは6月中旬頃とみられている。となると、まだしばらくは一進一退が続きそうだ。
そんななかで、物色されているのが国際的な市況高の流れに乗る銘柄だ。日本郵船<9101>など海運株、日本製鉄<5401>など鉄鋼株、住友金属鉱山<5713>など非鉄株などが代表例だ。一部には過熱感も出ているものの、物色人気は強く要マーク状態は継続しそうだ。
来週は目立ったイベントは予定されていないが、国内企業の決算発表がピークを迎える。10日は190社前後、13日は約570社、特に週末の14日は約1000社の企業が決算発表を行う。
具体的には10日にパナソニック<6752>やローム<6963>、伊藤忠商事<8001>、住友鉱など。11日に五洋建設<1893>、シャープ<6753>、ダイキン工業<6367>など。12日には、トヨタ自動車<7203>、ソフトバンクグループ<9984>、NEC<6701>など。13日には、楽天グループ<4755>やスズキ<7269>、オリックス<8591>、三菱地所<8802>など。14日にはSMC<6273>やみずほフィナンシャルグループ<8411>、三井不動産<8801>、KDDI<9433>など。特に、12日のトヨタとSBGの決算は注目されそうだ。
海外では、11日に中国4月消費者物価、12日に米4月消費者物価、14日に米4月小売売上高が発表される。日経平均株価の予想レンジは2万9100~2万9600円。(岡里英幸)