今週の【早わかり株式市況】急反落、米インフレ懸念・長期金利上昇で売り膨らむ
■今週の相場ポイント
1.日経平均は2週ぶりに大幅下落、米インフレ懸念を背景に日米同時株安の展開
2.米CPIが市場予測を大幅に上回り、これを受けた米長期金利の上昇を嫌気
3.日経平均は11日から13日までの3営業日合計で2000円を超える暴落
4.連日の急落局面で日銀ETF買いは全く発動されず、市場センチメント悪化
5.週末14日は自律反発狙いの買いが優勢となり、日経平均は急反発に転じる
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比1273円(4.34%)安の2万8084円と、2週ぶりに大幅下落した。
今週は商品市況高騰などを背景にインフレ懸念が高まるなか、日経平均は波乱展開となった。特に米消費者物価指数(CPI)などに注目が集まり、この結果が市場予想を大幅に上回る高水準であったことから米国株が急落し、東京市場もその影響を受けた。
週明け10日(月)は嵐の前の静けさというべき段階で、日経平均は160円あまり上昇、取引時間中は2万9700円近くまで上値を伸ばし3万円大台回復も意識される状況にあった。4月の米雇用統計が市場予想を下回り、金融緩和の長期化期待から前週末の米株市場が堅調に推移したことが追い風となった。しかし、翌日から日経平均はジェットコースターが急降下するような下げに見舞われることになる。11日(火)は波乱安の展開で日経平均の下げ幅は一時1000円に迫った。前日の米国株市場で再び米長期金利の上昇が嫌気され、ハイテク株中心に売り込まれる展開となったことがリスクオフ相場の引き金を引いた。12日(水)も下げ止まらず日経平均は大幅続落。ハイテク株比率の高い台湾・加権指数の急落も不安心理を煽った。またハイテク株だけでなく景気敏感株にも売りが波及した。そして13日(木)は更に短期筋の投げを誘う形で大きく値を下げる展開に。4月の米CPIが市場予測を大幅に上回る上昇をみせ、米長期金利が跳ね上がった。これを受けた米国株急落を引き継ぎ、日経平均はほぼ700円の下落で2万8000円台を大きく割り込んだ。全体急落局面にあっても日銀のETF買いが発動されないことへの警戒感も下げを助長した。この日までの3日間合計で下げ幅は2000円を超えた。しかし14日(金)はようやく光明が差す。前日の米国株が4日ぶりに切り返したことで市場心理が改善し、日経平均も4日ぶりに600円超の急反発。同日のアジア株市場や米株先物が堅調な動きをみせたこともあり、後場に入って買い戻しが加速した。
■来週のポイント
今週の急落で2月から続いていたレンジ相場が下放れしただけに、来週は下値を探る展開になりそうだ。国内での緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の拡大も相場の重荷となる。
重要イベントとしては、国内では18日朝に発表される1-3月期GDPや20日朝に発表される4月貿易統計と3月機械受注統計、21日朝に発表される4月全国消費者物価指数が注目される。海外では17日に発表される中国4月の小売売上高と鉱工業生産や18日発表の米国4月住宅着工件数に注視が必要だろう。
■日々の動き(5月10日~5月14日)
【↑】 5月10日(月)―― 3日続伸、欧米株高を受け景気敏感株中心に買い優勢
日経平均 29518.34( +160.52) 売買高11億2670万株 売買代金 2兆4641億円
【↓】 5月11日(火)―― 急反落、半導体株中心にリスク回避の売り優勢
日経平均 28608.59( -909.75) 売買高12億8914万株 売買代金 2兆9567億円
【↓】 5月12日(水)―― 大幅続落、朝高も米インフレ警戒感で売り優勢
日経平均 28147.51( -461.08) 売買高15億2939万株 売買代金 3兆4014億円
【↓】 5月13日(木)―― 3日続落、米株急落や国内コロナ感染拡大で売り優勢
日経平均 27448.01( -699.50) 売買高14億0835万株 売買代金 3兆0523億円
【↑】 5月14日(金)―― 急反発、ハイテク株が買い戻され2万8000円台を回復
日経平均 28084.47( +636.46) 売買高12億6620万株 売買代金 2兆8867億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、28業種が下落
(2)値下がり率トップの海運をはじめ住友鉱 <5713> など非鉄、JFE <5411> など鉄鋼といった景気敏感株が売られた
(3)ZHD <4689> など情報・通信や住友不 <8830> など不動産、リクルート <6098> などサービスといった内需株の一角は大幅安
(4)輸出株はコマツ <6301> など機械、ソニーG <6758> など電機、オリンパス <7733> など精密機器が下落も
トヨタ <7203> など自動車は値を保つ
(5)金融株はマネックスG <8698> など証券、東京センチュ <8439> などその他金融は安いが
東京海上 <8766> など保険、三井住友FG <8316> など銀行は堅調
(6)住友ゴ <5110> などゴム製品が値上がり率トップ
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数上位5テーマ)
1(1) デジタルトランスフォーメーション
2(3) 半導体
3(2) 半導体製造装置
4(5) 脱炭素
5(8) 2021年のIPO
※カッコは前週の順位
株探ニュース