【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 日本株見直しの好機! 銘柄選別では“確実性”を優先
「日本株見直しの好機! 銘柄選別では“確実性”を優先」
●株価が失速した米巨大IT企業
「米株じゃなければ、株じゃない」「米株投資していなければ、投資家じゃない」――最近ではこんな声があまり聞かれなくなっている。
一時期はアップルやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、フェイスブック、アルファベット(グーグル)、テスラ株を買って寝ていれば、朝目覚めると資産がドカーンと増えている。こんな景気のよい話もよく聞かれた。ただ、いまはこんな声も小さくなっている。
どの銘柄も一時の勢いを失っているばかりか、先高観も急速に弱まっているからだ。これはもちろん日本株にとって好ましいことではないものの、米株だけなく日本株についても見直してみる好機になる。
ではなぜ、絶好の動きを続けていた米株が大きく失速しないまでも、騰勢が大きく鈍ってしまっているのか。基本的には米国市場でインフレ懸念が高まっているからだが、もう一つ、忘れてならないことがある。
ごくごくシンプルに、昨年上がり過ぎたのだ。なにしろテスラに至っては、私の記憶が確かなら(どこかで聞いた台詞では?)8倍ほどになった。電気自動車(EV)の中核銘柄であり、イーロン・マスクCEOがあまりに魅力的な人物であることもあって株価は大化けしたのだが、最近の値動きは改めて書くまでもなく投資家の信頼を裏切るものだ。
そうなったのにはそれなりの材料があるからだろうが(たとえばビットコインを大量購入するなど)、それでも昨年8倍も上げていなければ今年も力強く上昇した可能性が高いのだ。EVの販売はこれから本格化するからだ。
●利益着実増が期待される銘柄に注目
そこで日本株投資だが、大きな夢を追う投資より着実に利益を積み重ねる企業への投資。この成功確率が高くなる。
コロナ禍により国も企業も、そして人々も、加えて投資家も確実性を強く求めはじめている。明日の3万円より今日の1万円(たとえの金額がミミッチければ、明日の3億円より今日の1億円でもよい)となるため、投資対象も確実に利益増が見込める銘柄への投資を最優先した方がよい。
具体的には、まずは住友ゴム工業 <5110> になる。世界的な自動車需要増を背景に、米国を中心にSUV用をはじめ、トラック、バス用の需要好調が株価をさらに押し上げていくだろう。
同社株と同じく高値圏にあるものの、ヤマハ発動機 <7272> も好需要に恵まれている。二輪車がインドネシアで需要復調中であるのに加え、マリン事業が米国で回復に転じているのだ。日本ではマリン事業は大きなものではないが、米国は富裕層が多く、ヤマハ発のボートやエンジンは高ブランド。需要はさらに伸びると見てよい。
自動車用排ガス浄化触媒や電子材料向けジルコニウム化合物で首位の第一稀元素化学工業 <4082> も、ユニークな製品を製造しているだけに優位性が高く、株価の浅い押し目を見逃さないようにしたい。
小型株にも目を向けておこう。まずは、アートスパークホールディングス <3663> [東証2]だ。広告、デザイン、漫画制作企業や個人をサポートするイラスト制作ソフトに強く、世界的に経済が回復基調となっていることを背景に需要が伸びている。
ソニーグループ <6758> の子会社ながら、そのことがあまり知られていないSREホールディングス <2980> も、不動産販売と不動産取引データに関するAIクラウドサービスが順調に伸びており、株も期待が持てる。
最後に私好みの銘柄を。「焼肉きんぐ」運営の物語コーポレーション <3097> を。東京など主要都道府県に発出されている「緊急事態宣言」が延長される可能性があることから、株価は目先下げることもあり得るが、そこで拾っておきたい。宣言はいずれ解除になるからだ。
2021年5月21日 記
株探ニュース