ログイン
米国株
2021年6月19日 15時48分
市況

国内株式市場見通し:米FOMC通過で物色動向に変化、リフレトレード後退

■タカ派サプライズなFOMCで週後半に軟調

今週の日経平均は週後半にかけて軟調となった。週半ばから米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えてはいたが、週初の日経平均は堅調で213.07円高。米長期金利の低位安定を背景に半導体関連株が上昇したほか、端午節の祝日の関係で中国および香港市場が休場だったため、週明けのアジア株高を見越した海外勢が日本株に一部買いを入れた影響もあったもよう。15日の日経平均も堅調で279.50円高の29441.30円で終了。米長期金利の落ち着きやフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の大幅高を背景に東京エレクトロン<8035>など半導体関連株が強含んだほか、1ドル110円台に乗せた円安も追い風に。

イベント前の持ち高調整の売りから150.29円安となった16日を挟んだ翌17日は、FOMCの結果を受けて272.68円安と大きく続落。米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和の縮小(テーパリング)については「議論のための議論」とするに止めたが、政策金利予想(ドットチャート)の中央値が2023年内での2回の利上げを示唆したことで予想以上にタカ派的と捉えられた。米長期金利が急伸したこともあり、グロース(成長)株など値がさ株を中心に売りが嵩んだ。ただ、後場は下げ幅を縮小し、終値では29000円を回復。

週末は、米長期金利がFOMC前の水準に戻し、景気過熱やインフレを見越したリフレトレードの巻き戻しが生じた17日の米株式市場の動きを映し、東京市場でも海運業や鉱業が売られる一方、日本電産<6594>やエムスリー<2413>などのグロース株が大幅に上昇。しかし、トヨタ<7203>など値もちのよい銘柄も大きく下落したことが投資家心理の重しとなり、日経平均は29000円を割り込んで終えた。

■株を投げ売る局面ではなかろう

来週の日経平均はもみ合いか。FOMC後の長期金利や期待インフレ率の落ち着きを受けて、グロース株が相場を下支えしそうだ。一方、景気過熱を見込んだリフレトレードの小休止から景気循環株は上値の重い動きとなり、全体がまちまちとなる中、指数の方向感は乏しくなろう。

直後の株式市場の反応だけをみれば、FRBは今回のFOMCを上手く切り抜けたといえる。ドットチャートでは参加者18人のうち13人が23年末までに少なくとも1回の利上げがあると予想し、3月時点の7人から倍増。22年中に利上げがあると見込んだ参加者も7人と前回の4人から増加。想定以上にタカ派的だったが、パウエルFRB議長は「これらの予測は委員会の決定や計画を示すものではない」と緩和的な姿勢も示したことでバランスが取れた。

実際、長期金利が上昇していたなかでもハイテク株は下げ渋り、当日のナスダックの下落率は0.24%と軽微だった。1.58%まで急伸した長期金利も翌17日にはFOMC前の水準にまで低下し、ハイテク株が広く買われた。米10年物ブレークイーブンインフレ率(BEI、期待インフレ率の指標)も17日には2.27%と3カ月ぶりの水準にまで低下。市場は今回のFOMCを受けて、FRBは後手に回ることなくインフレに上手く対処できるとポジティブに捉えたようだ。

一方、週末の米株式市場では、連銀総裁のタカ派発言が警戒感をもたらし、先物、オプションなどの清算日が重なるクアドラプル・ウィッチングの影響もあり相場は大幅に下落。米長期金利が1.43%と一段と低下するなかハイテク株も売られるという嫌な動きに。FOMC直後には債券市場でイールドカーブが景気後退を示唆するベアフラットニングが一時発生。そこから一転した週末の長期金利の低下は将来の景気後退を映したものではとの見方もあり、景気循環性の高い日本株への悪影響が懸念され、これが今週末の東京市場でのハイテク株の上げ渋りに繋がったとの見方も。

ただ、これは極端すぎると考えられる。まず、週末の米ハイテク株の下落については需給イベントに伴う影響が大きいと思われる。また、FRBの政策はタカ派的とはいえまだ変更前。時間をかけて行うことを考慮すれば超緩和的な状態が続く。景気もまだコロナからのV字回復の段階。サービス業での繰り越し需要の累積に加え、製造業では供給不足の解消が見込めないほどの需要超過が継続。V字回復の局面では初期のモメンタムが最も大きいが故に、モメンタムは徐々に鈍化するが水準としては高いものが続く。そもそもコロナ発生前は2020年は景気拡張の年と言われていた。そこにコロナによる供給制約が発生したため需要超過の解消には相当な時間がかかる。

結論として、景気の鈍化を織り込みにいくのは早すぎるだろう。実際、今週末には米長期金利は一段と低下したが、年限の短い金利の方がより大きく低下しイールドカーブのフラットニングは解消される動きとなった。長期金利の低下は次第に素直に株式市場にとってのポジティブ材料と捉えられるだろう。

■グロース株の持ち直しに期待、アフターコロナにも引き続き注目

リフレトレードが後退するなか、今年前半のグロース売り・バリュー買いの巻き戻しから、グロース株の持ち直しが予想される。そのほか、ワクチン接種については年齢制限が18歳以上に引き下げられたことで、空きが目立っていた大規模接種センターでは、27日までの東京会場分の予約が埋まった。オリンピック開催前後の感染第5波への警戒もあるが、ワクチン接種の一段の進展は、今週に小休止したアフターコロナ関連へのサポートとなろう。

■米5月耐久財受注、米5月個人所得・個人支出など

来週は22日に米5月中古住宅販売、23日に日銀金融政策決定会合議事要旨(4月分)、米5月新築住宅販売、米5年国債入札、24日に独6月Ifo景況感指数、英国金融政策発表、米5月耐久財受注、米7年国債入札、25日に決算発表:高島屋、出前館など、米5月個人所得・個人支出などが予定されている。

《YN》

提供:フィスコ

関連記事・情報

  1. 新興市場見通し:「中小型グロース」勝機もまずはIPOラッシュ、今週12社 (06/19)
  2. 【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─2万9000円処での底堅さを意識、物色の.. (06/19)
  3. 富田隆弥の【CHART CLUB】 「テーパリングは織り込み済み」 (06/19)
  4. 米国株式市場見通し:当局の緩和姿勢変わらず、相場を引き続き後押し (06/19)
  5. 為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米国の早期利上げの可能性残る (06/19)
  6. 来週の【重要イベント】米経常収支、米新築住宅販売、米個人消費 (6月21日~27日)
  7. 今週の【早わかり株式市況】小幅続伸、週前半高もFOMC結果を受け伸び悩む (06/19)
  8. 【今週読まれた記事】人気集中!“青天井”シリーズ連続首位獲得 (06/19)
  9. 今週の【話題株ダイジェスト】 三井ハイテク、タムラ、メディネット (6月14日~18日)
  10. 利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第4弾 38社選出 <成長株特集> (06/17)

人気ニュース (直近8時間)

  1. 1
    【明日の好悪材料】を開示情報でチェック! (8月4日発表分) 注目
  2. 2
    ★本日の【サプライズ決算】速報 (08月04日) 注目
  3. 3
    高成長期待の次世代半導体メモリー「MRAM」、ここから狙える注目銘柄8選 <株探トップ特集> 特集
  4. 4
    ★本日の【サプライズ決算】続報 (08月04日) 注目
  5. 5
    明日の株式相場に向けて=「AIアルゴリズムVS人間の感性」 市況
人気ニュースベスト30を見る
ログイン プレミアム会員登録
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘することを目的としておりません。
投資の最終決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、 China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.