【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─見直したい「新パックス・アメリカーナ銘柄」
●年後半相場は冴えないスタートに
月末から月初にかけての東京市場は、非常に対応しにくい数日を経過することになる。月末は大抵下げてしまい、月初は軟調だ。今回も日経平均株価の6月末は前日比21円安と、ついに10カ月連続で下落してしまった。私はアノマリーは信じないのだが、さすがに10カ月も続くと「東京市場の月末はなにかに呪われているんじゃないか」と疑いたくなるほどだ(もちろん、実際はそんなことは思ってなどいないが…)。
ただ、月末が下げたのなら、翌日の月初は上昇してほしいものだ。しかし、期待の7月1日は84円安、残念なスタートとなってしまった。改めて説明するまでもなく、7月1日は月の初日であるとともに、今年後半相場のスタート地点でもある。それだけにプラスでのスタートにならなかったのは残念だし、東証1部の出来高が8.3億株にとどまったことも気になる。これは閑散を通り越し、閑古鳥が鳴くどころか、鳴く閑古鳥もいない状態だからだ。
しかも、コロナワクチンの接種は進んでいるものの、首都圏での感染拡大は止まらず、オリンピック開催には黄色信号が灯ったままだ。
こんな事実を書き並べると、これでは7月相場も厳しいのではないか。こんな見方になるだろう。
●米国への依存度を高める日本企業に注目
しかし、ここで改めて目を向けたいのは、新パックス・アメリカーナ銘柄である。かつて冷戦下、世界ではソ連を盟主とする社会主義圏に対抗して、米国が自由主義圏の盟主として安全保障を担保する役割を果たしていた。この構造はグローバリズムによって崩れてしまったが、いままた中国のあからさまな覇権拡大により、自由主義圏は再び米国を中心にまとまりつつある。
これは私に言わせると、新(ニュー)パックス・アメリカーナ。それが実効力を持つには米国経済が成長軌道に乗る。これが不可欠だが、幸い、現在その方向に向かっている。その恩恵を受けるのは、まずは自動車メーカーであり、その他各種の企業がそれに続くことになる。
要するに、今後、日本企業は中国での事業展開に本腰を入れられず、代わりに米国への依存度を高めることになるだろうし、その方が収益も上がりやすいと見てよい。
そこで、投資対象だが、まずはなんといっても米国での販売が好調なトヨタ自動車 <7203>、ホンダ <7267>である。これはあまりにも当たり前の銘柄となるだろうが、米国販売が好調なのはキッコーマン <2801>も同様だ。醤油と豆腐を販売しており、日本食ブームもあって引き続き需要好調を保っている。現在は株価が低迷中のANAホールディングス <9202>や日本航空 <9201>も、やがて米国に向けて旅客を運ぶことになる。それを考えると株価が調整中の現在水準で投資しておきたい。ただし、利益が乗るまでに少々時間がかかる。
米国は建設ブームだ。当然、建設機械の需要は好調だが、なかでも需要が強いのが小型のミニショベル。同製品に強いのは竹内製作所 <6432> であり、株も当然魅力的だ。
エムスリー <2413>も忘れてはなるまい。医療従事者向け情報提供サービスのほかに、米国では医薬品の治験へ進出しており、今後の成長が見込める。
そして、最後はまたまた富士フイルムホールディングス <4901>だ。バイオ医薬品の開発・製造受託、特に米国でのワクチン原薬の製造に注力する点は引き続き高く評価できる。
2021年7月2日 記
株探ニュース