世界的な熱波や豪雨、干ばつが頻発、異常気象で「食糧関連株」に視線集中 <株探トップ特集>

特集
2021年8月17日 19時30分

―CRB指数は一時6年ぶり高値圏、商社や農機、種苗株などに投資妙味も―

今夏、世界各地で異常気象が頻発している。ヨーロッパでは記録的な熱波に見舞われ、大規模な洪水も発生。また、干ばつを背景にした森林火災の発生も相次いでいる。地球温暖化の影響が指摘されているが、この世界的な異常気象の影響が予想されているのが、食糧関連株だ。異常気象は天候不順による不作を招くことになりかねないだけに、食糧増産に向けた対策が迫られることになる。こうしたなか、 大手商社 農業機械種苗関連の銘柄などに熱い視線が向けられている。

●欧州や米国に歴史的熱波到来、日本ではお盆に豪雨被害も

世界各地で頻発する異常気象が高い関心を集めている。7月に米カリフォルニア州デスバレーで54.4度と観測史上3番目の暑さを記録したと伝えられたほか、8月にはイタリアのシチリア島で48.8度と欧州での観測史上最高気温を更新するなど今夏は歴史的熱波に見舞われた。また、ブラジルなどで干ばつが発生し各地で森林火災を引き起こしている。その一方、7月にドイツやベルギーで洪水が発生したほか、日本ではお盆に線状降水帯の発生による豪雨に襲われ、各地で甚大な被害を引き起こした。

●IPCCは気温上昇予測を前倒し、小麦や大豆など高値圏に

この世界的な異常気象は、地球温暖化を背景にしたものとみられている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今月、産業革命前と比べ2021~40年には世界の平均気温上昇幅が1.5度を超える可能性が非常に高いと発表。直近の分析よりも10年近く早まることを公表した。地球温暖化対策などにいち早く着手しないと、今後も世界的な異常気象が頻発する可能性が高いことが示唆された。

この異常気象の影響を、真っ先に受けているのが農業に絡む食糧分野だ。その動向を示しているものに、国際商品の総合的な値動きを示すリフィニティブ・コアコモディティーCRB指数がある。同指数は穀物のほか、原油や非鉄価格の動向に影響を受けるが、年初の170前後が7月下旬には一時、220近辺まで上昇。15年以来、6年ぶりの高値圏に上昇した。世界的な異常気象は、穀物価格の高騰要因として投資資金を集める要因にも働いている。

米シカゴ商品取引所では、小麦先物は今月に入り年初来高値を更新。天候不順により、ロシアやカナダの生産量が減るとの予想が相場を押し上げた。大豆やコーヒー、砂糖相場なども高値圏で推移している。

●伊藤忠や井関農、サカタタネ、ベルグアースなど

こうしたなか、日本国内では砂糖やコーヒー、パスタなどには値上げの動きが出ている。製糖 コーヒー製粉メーカーなどの動向が気になるが、価格転嫁が可能かどうかなどで、収益は左右されることが考えられるだけに、関係企業の動向が注視されている。

一方、穀物価格の上昇は、大手商社株などの活躍余地が膨らむ場面となる。食糧分野などに力を入れる伊藤忠商事 <8001> や丸紅 <8002> のほか、三井物産 <8031> や三菱商事 <8058> 、それに双日 <2768> や豊田通商 <8015> などは、非鉄などエネルギー価格の上昇も追い風となり一段と注目を集めそうだ。商社株は高配当利回り銘柄が目立つことも再評価のポイントとなる。

また、異常気象に伴う食糧増産に向けては、クボタ <6326> や井関農機 <6310> 、やまびこ <6250> 、丸山製作所 <6316> など農機メーカーに活躍余地が膨らむ。それに日本農薬 <4997> やクミアイ化学工業 <4996> 、北興化学工業 <4992> など農薬関連株も注目される。加えて、厳しい環境でも育つ野菜種子の開発などが期待されるサカタのタネ <1377> やカネコ種苗 <1376> 、接ぎ木した苗を開発するベルグアース <1383> [JQ]などに投資妙味が膨らみそうだ。

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