明日の株式相場に向けて=軟調相場一巡、材料株で仕切り直し
きょう(18日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比161円高の2万7585円と5日ぶりに反発。前日の米国株市場では主要3指数が安かったものの、NYダウやS&P500指数が連日最高値を更新している最中に、日経平均は下値模索を続けていたわけであり、きょうのところは米株市場と入れ替わってプラス圏で着地する格好となった。東証マザーズ指数の方は、朝方に1000の大台割れ。これは昨年8月以来約1年ぶりの安値圏で個人の投げを誘発する危機に遭遇したが、その後は動きを一変させ急浮上、結局前日終値を2.9%上回る1038.41で引けた。
きょうは、東京市場と同時間帯で取引が行われているアジア株市場が全面高で切り返しに転じたことがフォローウインドとなった。中国上海株指数や香港ハンセン指数、韓国総合株価指数、台湾加権指数などが軒並み強く、日経平均も労せずして同じレールに乗った。東京市場の最近の地合いの弱さは覆うべくもないが、アジア株全体を眺めればそれも合点がいく。なぜなら台湾加権指数は前日まで9日連続安、韓国総合株価指数は前日まで8日続落、香港ハンセン指数は4日続落とほぼ一様に弱気に支配されていた。
中国のネット企業への規制強化の動きが重荷となっているほか、新型コロナウイルスに対する警戒感も拭い去ることができない。内憂外患は日本同様にどの国にもそれなりに当てはまるようだ。東京市場だけが逆行高できるような材料ももちろんなく、今後もとりあえず米国株市場の顔色を窺いながら方向性を探るよりない、というのが8月相場の基本スタンスだ。アジア株が一斉に買い戻される動きとなったことは過度な不安心理を和らげたことは確かだが、自律反発の領域で持続性には疑問符も付く。
個別ではきょうは海運株に利食いの動きが顕在化したが、それでも日本郵船<9101>など押し目を着実に拾われ底堅さを発揮した。何といってもPER2~3倍で8%を超える配当利回りは下値に対する強力な車輪止めとなっている。海運セクター全体でみても、きょうは業種別騰落で値下がり率トップとなったとはいえ、下落率は1.4%に過ぎない。そうしたなか、杉村倉庫<9307>やヒガシトゥエンティワン<9029>など倉庫株の一角にも資金が波及、これは材料株としての人気素地も魅力ながら、基本的に海運株の延長線でバリュー株としての切り口で十分に水準訂正余地がある。押し目形成場面はマークしておきたい。
このほかでは、前週に取り上げた遠藤照明<6932>が大きく切り返しに転じており継続注目。VTホールディングス<7593>も低PER、高配当利回りが光っており、引き続き目が離せない。緩む場面は拾っておきたい。
底値買いを狙うのであれば、オプトラン<6235>。同社は光学デバイス用の成膜装置がスマートフォン・カメラや車載用で好調な需要を捉えており、21年度の「JPX日経インデックス400」の構成銘柄に新たに選出されたことで株式需給面でも流れが変わる兆しがある。金融DXの担い手であるアイエックス・ナレッジ<9753>も新たに注目。今月2日のマド開け急騰後、調整を入れて再度上値追いの機が熟してきたように見える。
また、自動車部品や住宅設備向けを主軸にプラスチック加工製品を手掛ける児玉化学工業<4222>は前週末13日の急動意後に往って来いとなったが、仕切り直しの動きが予想されるところ。児玉化の株価は400円台で値ごろ感があることも食指を動かすが、同様に中低位株で妙味を内包しているのが、ここ動意含みの京写<6837>。片面プリント配線板の世界トップメーカーだが、22年3月期は2ケタ増収で営業利益は前期比3倍の3億円予想、5円復配を計画している。好実態株の押し目買いを狙うのであれば、リチウム電池用セパレーターで高成長路線を走るニッポン高度紙工業<3891>が有力。下ヒゲ陽線形成で買い場を示唆している。
あすのスケジュールでは、7月の首都圏新規マンション販売が後場取引時間中に発表される。海外ではインドネシア中銀とノルウェー中銀の金融政策決定会合の結果発表、8月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の米景気先行指標総合指数。米国では半導体製造装置最大手のアプライドマテリアルズ<AMAT>の21年5~7月期決算発表が注目される。なお、インド株市場は休場となる。(銀)