「量子コンピューター」が6位、ノーベル物理学賞候補で世界の熱視線<注目テーマ>
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みんかぶと株探が集計する「人気テーマランキング」で、「量子コンピューター」が6位にランクインした。
AI・IoT社会が進化を遂げる過程でハード分野でもひとつの革命が起きようとしている。次世代コンピューティング分野の中核技術として世界の耳目を集めている量子コンピューターがそれだ。
従来型コンピューターは動作原理が「0もしくは1」というデジタルの普遍的コンセプトがベースとしてあり、これは半導体の高集積化・大容量化がどんなに進んでも変わることはない。しかし、量子コンピューターはこの基本的な概念から離れ、量子力学的な性質である“重ね合わせ”や“もつれ”といった極微の世界で起こり得る物理現象によって並列コンピューティングを実現させる。これによって、これまでの常識を凌駕するとてつもないパフォーマンスを実現させた。最先端のスーパーコンピューターですら千年あるいは1万年という膨大な時間を必要とする計算を、量子コンピューターはわずか数分間で完結してしまうという夢のような演算能力を有する。
今から2年前の2019年秋に米グーグルがスーパーコンピューターでおよそ1万年かかる計算問題を量子コンピューターによって3分あまりで解答を導く実証実験に成功し「量子超越」を実現したと発表したことで、世界中の視線を集めた。米国ではグーグルのほかにIBM<IBM>、マイクロソフト<MSFT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>といったIT大手が覇を競う状況にある。また、近年では中国でもアリババ<BABA>やファーウェイ、テンセントなどが同分野を深耕しており、米国に追随する存在となっている。
そして日本も、量子コンピューター分野では豊富なノウハウを持っている。同分野においてアニーリングマシンでNEC<6701>が先行するほか、理化学研究所と共同で世界最速のスーパーコンピューター「富岳」を開発した富士通<6702>なども、従来型コンピューターで量子コンピューターの演算を疑似的に行う「デジタルアニーリング」の研究開発を進捗させている。
そうしたなか、きょうは21年のノーベル物理学賞が日本時間夕刻に発表される見通しだが、その候補には理化学研究所の中村泰信・量子コンピュータ研究センター長も候補の一人に挙げられており、その結果が注目されるところとなる。現在はクラウド技術が普及するなか、量子コンピューターの提供もクラウドを活用することが可能となっており、今後中長期的に企業向けの市場が開拓されていく可能性がある。
関連銘柄としては、アニーリングマシンで先駆するカナダのDウェーブ社と業務提携して量子アニーリングマシン活用のコンサルティングを行うフィックスターズ<3687>や量子コンピューターの研究機関向けなどに電子デバイスを納入するエヌエフホールディングス<6864>、高性能計算システムの開発を手掛け、量子コンピューター向け化学計算プログラム実証などで実績があるHPCシステムズ<6597>などが挙げられる。このほか、テラスカイ<3915>、スパークス・グループ<8739>、シグマ光機<7713>なども同関連株としてスポットライトが当たることが多い。