【杉村富生の短期相場観測】 ─「総選挙は買い」スタンスの欧州勢が参戦

市況
2021年10月17日 9時15分

「『総選挙は買い』スタンスの欧州勢が参戦」

●NY市場では小物の人気が復活の兆し!

ここ数日、NY市場と東京市場は物色動向において、“真逆”の展開となっている。どういうことか。NY市場ではGAFA+M(アルファベットA<GOOGL>、アップル<AAPL>、フェイスブックA<FB>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>+マイクロソフト<MSFT>)に代表される巨大IT企業は弱かった。NYダウは10月14日、534ドル高と5日ぶりに急騰したが、基本的には高値波乱商状だろう。しかし、小物は人気を集めている。すなわち、個別銘柄の物色機運は極めて旺盛である。

具体的には英会話アプリのデュオリンゴ<DUOL>、米軍や大企業向けにビッグデータ分析を手掛けるパランティア・テクノロジーズ<PLTR>、中国電気自動車のリー・オートADR<LI>、バイオ関連のアブセレラ・バイオロジクス<ABCL>、ソフトウェア開発のクアルトリクス・インターナショナル<XM>などがそうだ。ここにきて底打ち、反騰態勢を固めている。

先週14日に、ナスダックに上場したソフト開発、プラットフォーム運営のギットラボ<GTLB>が当初予想していた公開価格のレンジは55~60ドルだったが、最終的に77ドルに引き上げられた。これは買い気の強さを示している。初値は94ドル25セントだった。引けは103ドル89セントと上伸した。IPO人気の復活を物語る出来事だろう。

一方、東京市場は、「総選挙は買い」の投資スタンスの欧州勢を中心に、外国人の買いに支えられ、日経平均株価などインデックス主導の展開となっている。先行した小物はさえない。売買代金上位にはNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]が入っている。ここではド真ん中のETF買いが有効と思う。

個別銘柄ではレーザーテック <6920> 、東京エレクトロン <8035> をはじめ、オキサイド <6521> [東証M]、シキノハイテック <6614> [JQ]、テラプローブ <6627> [東証2]、マルマエ <6264> 、インスペック <6656> [東証2]などが強い。多くが半導体関連だ。個人に加え、機関投資家の買いがささやかれている。

●東京市場は出遅れ修正の動きが鮮明に!

ちなみに、財務省のデータ(10月14日発表の証券投資)によると、外国人は10月第1週(10月3~9日)に、現物(債券を含む→財務省の発表は現物のみ)を1兆0135億円買い越している。当然、彼らは流動性の高い主軸株を狙う。

小物は基本的にさえない。しかし、材料含みの光陽社 <7946> [東証2]、グローバルウェイ <3936> [東証M]、倉庫精練 <3578> [東証2]、サインポスト <3996> 、サイゼリヤ <7581> 、ティーケーピー <3479> [東証M]、スノーピーク <7816> 、アスコット <3264> [JQ]などは軽快な値動きをみせている。

全般相場は相変わらず、外国人の投資行動に振り回されている。外国人は8月第4週~9月第3週に現物・先物を合わせて2.3兆円買い越した(日経平均株価は3840円の暴騰)。それが9月第4週、第5週には一転し2兆円強の売り越しだった(同3500円幅の暴落)。まさに、マッチポンプというか、「ひとり相撲」ではないか。

だが、今後は買いに転じる。そう、暴騰→暴落、そして再び暴騰のタイミングを迎える。そもそも、日本株は出遅れが著しい。日経平均株価の予想PERは13.9倍、PBRは1.28倍にとどまっている。ちなみに、NY市場(S&P500指数)はPERが21.0倍、PBRが4.88倍に評価されている。

「NY市場は別格」との批判はあろう。では、世界平均(MSCIベース)はどうか。こちらはPERが18.1倍、PBRが3.10倍だ。やはり、日本株は大きく出遅れている。年末~新春にかけて、大幅な水準訂正が期待できる。

2021年10月15日 記

株探ニュース

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