山田勉氏【不透明感強まる年末年始、どうなる東京株式市場】 <相場観特集>
―インフレ警戒で世界の中銀がタカ派転換、強弱観対立の先―
20日の東京市場は前週末の米国株市場でNYダウが急落したことを受け、再び大幅安を強いられた。新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株への警戒感が拭えない一方、インフレ懸念を背景にFRBをはじめ世界の中央銀行が引き締めスタンスに動き出すなか、全体相場は中期的な下値リスクも意識されている。目先の押し目は買い向かって報われるのか、また年末年始はどういう相場展開となるのか、auカブコム証券の山田勉氏に意見を聞いた。
●「当面は不透明感の強い地合いを覚悟」
山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)
全体的に非常に不透明感の強い相場であり、年末年始の相場も本格的に上値を期待できるような雰囲気には乏しい。きょうは、中国人民銀行が政策金利の引き下げを発表したが、上海株式市場の動きも鈍く反応は限定的だった。新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株が経済に与える影響が依然として拭えないなか、世界の中央銀行が相次いで金融引き締め方向に舵を切っている状況で、株式市場も向かい風の強さが意識されやすい環境にある。
日本国内は新型コロナウイルスの感染については収束した状態にあるが、岸田政権は依然として人流を抑制するようなスタンスを継続しており、自粛ムードが拭えない。来年になれば補正予算の執行に伴い、現実に景気が刺激される局面が見込めるが、今の段階において国民目線での景気回復を実感するまでにはまだ遠い状況にある。今しばらくは、来年に向けての明るい材料を探す時間帯と捉えておくところで、日経平均は来年1月中旬頃までは下値リスクを考慮しながら不安定な値動きを覚悟せざるを得ないだろう。レンジとしては2万7000~2万9000円のゾーンの往来とみている。
物色対象としては、電気自動車(EV)シフトに向けた経営戦略に積極姿勢をみせているトヨタ自動車 <7203> や日産自動車 <7201> など自動車セクターが新たな切り口で注目。トヨタグループのデンソー <6902> なども合わせてマークしておきたい。また、官民を挙げて半導体投資拡充に重点が置かれるなか、東京エレクトロン <8035> やレーザーテック <6920> 、信越化学工業 <4063> などからも引き続き目が離せない。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。
株探ニュース