大谷正之氏【新年相場のポイントは? 全体株価と個別株を探る】(2) <相場観特集>
―日経平均戻り一服で強弱観対立、錯綜する投資マインド―
週明け27日の東京株式市場は、薄商いのなかポジション調整の売りが優勢となり日経平均株価は続落となった。ただ、2万8000円台後半は上値も重い一方で、下値を大きく売り込む動きもみられず、強弱観が対立している。2022年相場入りを目前に株式市場の方向性と個別株の動向について、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。
●「米株高の追い風で新年は上値試す展開に」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
足もとの日経平均株価は、移動平均線が集中する居心地のいいところにある。例えば、200日移動平均線は2万8830円近辺の水準だ。この2万9000円前後を超えるには、新たな材料やエネルギーが必要となる。このため、年末相場は一進一退状態が続く展開も予想される。
ただ、新年に入ってからは上値を試す展開が期待できるとみている。1月の注目ポイントは日本と米国の決算発表だ。コロナ禍からの経済再開に向けた動きで、米国企業の決算は良好な内容が期待でき、日本企業も底堅い業績が見込める。米国のS&P500種は23日に最高値を更新したが、1月に入っても米国株は上昇基調が予想される。この米国株高に連動する格好で、日本株も上値を試す展開が期待できる。1月下旬に米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されているが、12月に今後の方向性が示された後だけに、大きな波乱要因にはならないのではないか。
こうしたなか、新年の1月末までの日経平均株価の予想レンジは2万8000~2万9500円を見込んでいる。
個別銘柄では、 半導体関連や脱炭素の温暖化対策関連、それに電気自動車(EV)関連株などが注目できるだろう。半導体関連では、半導体生産で消耗する部材などが面白い。シリコンウエハー絡みの信越化学工業 <4063> やSUMCO <3436> 、フォトレジストのJSR <4185> や東京応化工業 <4186> など。温暖化対策関連では、風力発電で東レ <3402> やミネベアミツミ <6479> 、環境・プラント絡みで日立造船 <7004> やIHI <7013> など。EV関連でデンソー <6902> などに注目したい。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
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