新年お年玉「次代を担うミスター・ジャパン銘柄7選」 <新春特別企画>

特集
2022年1月2日 14時00分

―インフレ警戒・金融引き締めモードでも、怒涛の成長路線を進むフラッグシップ銘柄を追え―

2022年相場がいよいよ幕を開ける。昨年は前年(20年)を引き継いだ過剰流動性相場の流れに乗り、日経平均は9月に約31年ぶりの高値となる3万670円(終値ベース)まで駆け上がったが、その後は押し戻され3万円大台ラインを下回る状況で大納会を迎えた。一方、米国株市場では新型コロナウイルスの感染拡大と同時進行するインフレ懸念で何度かバランスを崩しながらも、上昇トレンドを維持し、NYダウS&P500指数など主要株指数が史上最高値圏で21年相場を終えるという強気相場が演出された。

日本株の出遅れは明らかであり、今年は米国株へのキャッチアップが大きな課題となる。企業業績はコロナ禍から立ち直り総じて好調に推移していることもポジティブ材料といってよい。バリュエーション面から判断しても株価の水準訂正余地が大きいという見方は少なくない。

●金融引き締めモードでも躍動力を維持

もっとも、新春相場に不安がないわけではない。新型コロナの変異ウイルスであるオミクロン株が世界的に凄まじいスピードで感染を拡大させており、重症化しにくいという見方が強まってはいるものの、依然として未知な部分は多く予断を許さない状況にある。そして、世界的なインフレに対する懸念も拭えない。FRBは昨年12月のFOMCで、長引く高インフレについて「一時的」という文言を撤回し、にわかにタカ派姿勢を明示した。テーパリング(量的緩和の縮小)を加速させ3月に資産購入を終了、更に年内3回の利上げがメインシナリオとして浮上している。一方で、量的緩和終了後はFRBのバランスシートを縮小させる作業、いわゆる量的引き締めに動くタイミングも意識され始めている。

こうしたなか米国株市場では、金利上昇局面でも体力があり収益成長シナリオが頓挫しにくい大型株に中長期資金がシフトする動きが観測されている。特に巨額の時価総額を誇るGAFAM(グーグル、アップル、メタ=旧フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)の株価は相対的な強さが目立つ。この流れを受けて、東京市場でも海外投資家など大口の機関投資家マネーが、投資対象として主力級の銘柄に改めて目を向けてくる可能性は高い。今回の新春特別企画では、日本を代表し世界的にもそのブランドが知れ渡る大型優良株の中から、中期的に高い成長力も内包するという、欲張りなニーズに応える7銘柄を厳選した。

●次の時代も輝き続ける主力7銘柄

◎トヨタ自動車 <7203>

自動車の世界最大手で一頭地を抜く競争力を有する。電動車戦略でも積極的な布石を打っており、ハイブリッド車(HV)では世界で群を抜く実績を有する一方、電気自動車(EV)の販売目標も30年に350万台と大幅に上方修正した。環境規制の厳しい国ではEVが主戦場となっても同社の開発力は証明済みで、その実力が浮き彫りとなりそうだ。35年までに西欧で販売する新車の二酸化炭素排出をゼロにする計画も打ち出している。業績面でも半導体不足や部品調達の遅れなどサプライチェーン問題をこなし、第4四半期に生産台数巻き返しへ。22年3月期営業利益は前期比27%増の2兆8000億円を計画するが上振れる可能性大。更に23年3月期も2ケタ増益基調は維持されそうで、米テスラ<TSLA>との時価総額の差は縮小する方向に。

◎ソニーグループ <6758>

AV機器のトップメーカーで、映画や音楽などコンテンツ分野でも抜群の展開力とブランド力を誇る。エレクトロニクス分野では、断トツの世界シェアを持つCMOSイメージセンサーが好調で成長ドライバーとなっているが、今後も多眼化が進むスマートフォン向けや、自動運転時代をにらみ車載向けなどで一段の需要獲得が見込まれる。半導体サプライチェーンの拡充が国策となるなか、台湾の受託製造最大手TSMC<TSM>と日本での半導体工場建設において連携体制にあることも評価。足もとの業績は好調であり、22年3月期営業利益は従来見通しの9800億円から1兆400億円(前期実績は米国会計基準で9718億6500万円)に増額している。23年3月期も増収増益基調に変化はなく、営業利益は1兆1000億円を超える公算大。

◎三井ハイテック <6966>

半導体リードフレームの大手メーカーで金型の超精密加工技術を強みに高い商品競争力で世界的に旺盛な半導体需要を取り込んでいる。一方、欧州や中国でEVシフトの動きが加速するなか、電動車向けモーターコアの成長性に対する評価も高い。22年1月期業績予想は期中に何と3回も上方修正を行っている。営業利益は期初予想では47億円(前期実績37億9000万円)だったが、その後上方修正を繰り返し、直近12月10日の修正では130億円と前期比3.4倍という高変化を見込んでいる。リードフレームの数量増効果に加え、生産性向上などに伴う利益採算の改善が寄与している。モーターコアの主要顧客にトヨタを擁していることも注目され、中長期的な成長期待は強い。

◎オリエンタルランド <4661>

国内最大規模のテーマパークを運営し、入園者数で世界屈指といえる東京ディズニーランド・ディズニーシーのほか、ホテルや商業施設(イクスピアリ)も運営。21年3月期は新型コロナ感染拡大の影響が直撃し459億円強の営業赤字に陥ったが、22年3月期は240億円程度の赤字と損失が大幅に縮小する見通し。23年3月期は経済正常化の動きが軌道に乗ることが予想され、市場では800億円程度の黒字に転じるとの見方が強い。新型コロナの動向次第で収益見通しも流動的な部分はあるが、21年3月期と22年3月期を合計した赤字分を1期で取り戻すことも十分可能。21年3月から導入した入園料の変動価格制も定着しており、業績は回復色を徐々に強めることが予想される。

◎商船三井 <9104>

海運大手の一角で、自動車船、LNG船など不定期船分野で世界トップクラス。ばら積み船も上位の実績を持つ。また、定期船分野では大手3社統合によるONE(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス社)を展開し、グローバル物流需要を取り込んでいる。コンテナ船市況の高騰で業績は爆発的な伸びを示し、22年3月期最終利益は前期比5.3倍の4800億円予想、1株利益に換算すると何と4000円を超える。したがって時価予想PERは2倍台。加えて年間配当は800円(前期実績は150円)で配当利回りは9~10%という、常識を逸脱した割安さとなっている。23年3月期は業績が悪化し減配するとの観測が上値を重くしているが、最終利益はともかく、トップラインは増収基調を維持できる公算が大きく、配当の大幅減配は考えにくい。

◎塩野義製薬 <4507>

感染症薬や中枢神経領域に優位性を持つ医薬品メーカー大手で、注力していた抗HIV薬が大型製品化し収益に貢献している。22年3月期業績は、抗うつ薬のジェネリック台頭の影響を受け営業利益が前期比23%減の900億円を見込むが、これは株価に織り込み済み。営業利益は今期が底となり、研究開発費負担の一巡もあって23年3月期は2ケタ増益に転じる公算が大きい。新型コロナワクチンが臨床最終試験段階にあるほか、飲み薬タイプのコロナ治療薬も開発中で既に最終試験を実施。コロナ薬についてはデルタ株だけではなく、オミクロン株に対してもその有効性が臨床で確認されている。22年3月には国内で100万人分の供給体制を整える方針にあるだけにマーケットでの注目度は高い。

◎リクルートホールディングス <6098>

日本を代表する総合人材 サービス企業であり、人材派遣 のほか、HRテクノロジー 、人材メディアなど幅広く展開する。収益成長エンジンとなっているのがHRテクノロジー部門の求人情報検索エンジン「インディード」である。特に米国や欧州での成長が顕著であり、海外投資家の認知度も極めて高い。国内でも同サイト訪問者数が増加傾向を強めている。一方、人材派遣部門も国内を中心に順調に需要を伸ばし収益に貢献している。22年3月期業績予想については、米国での求人情報サイトの収益拡大が会社側想定を大幅超過していることなどを背景に、期中2度にわたる上方修正を行っている。最終利益は直近予想で2585億~2785億円(前期実績は1313億9300万円)と、ほぼ倍化を見込んでいる。

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