好業績続く中小型株、上値期待膨らむ「低PER」銘柄リスト〔第2弾〕 <成長株特集>
米長期金利の上昇で割高感が意識される高PER銘柄に対する売り圧力が強まる一方で、金融株や景気敏感株といったバリュー株への注目度が高まっている。本特集では、四半期ベースで業績急拡大が続く企業のうち、予想PERが市場平均以下で株価の水準訂正余地が大きいとみられる銘柄にスポットライトを当てた。
今回は10日に配信した「好業績続く中小型株、上値期待膨らむ『低PER』銘柄リスト」の第2弾として、10日時点で時価総額100億円以上300億円未満の3月期決算企業を対象に、直近3ヵ月である7-9月期(第2四半期)に前年同期比で「10%超の増収・20%超の経常増益」を2四半期以上連続で達成した銘柄をピックアップ。さらに、予想PERが12倍(東証1部の平均は15.3倍)を下回る39社を選び出し、7-9月期の増益率が高い順に並べた。
増益率トップとなったのは、化学メーカーの日本カーバイド工業 <4064> 。21年7-9月期(第2四半期)業績は売上高115億円(前年同期比26.1%増)、経常利益10.1億円(同18.8倍)と急拡大して着地。活況な半導体市場などを背景に、機能化学品や電子素材の出荷が増加したほか、自動車や二輪車の生産回復でフィルム・シート製品も大きく伸びた。また、円安進行で為替差損益が改善したことも利益を押し上げた。上期の経常利益は19.3億円と通期計画(27億円)に対して進捗率が70%を超えており、業績上振れが期待される。
2位の長野計器 <7715> は半導体業界、空圧機器業界、建設機械業界の旺盛な需要を追い風に、圧力計と圧力センサーの販売が増加し、7-9月の経常利益は前年同期比12.5倍の10.6億円に膨らんだ。続く3位に入った自動車部品メーカーのオーハシテクニカ <7628> は主要取引先の生産回復を受けて、7-9月期は2四半期連続の「10%超の増収・20%超の経常増益」を達成した。決算発表と同時に、発行済み株式数の4.93%にあたる70万株または10.5億円を上限に自社株買いを実施すると発表。また、今期配当は創業70周年記念配当を含めて年57円の計画で、配当利回りは4%を超えており、株主還元の切り口でも注目したい。
4位にリストアップされた日本化学工業 <4092> の7-9月期業績は、売上高92.2億円(前年同期比20.3%増)、経常利益8.2億円(同5.3倍)と業績高変化を遂げた。化学品事業で自動車関連向けクロム製品や半導体向けりん製品の引き合いが強かった。また、機能品事業では電子セラミック材料が自動車向け、通信向けともに好調だったほか、ホスフィン誘導体や半導体向け高純度電子材料なども伸びた。
5位にリスト入りした藤倉コンポジット <5121> の7-9月期は、産業用資材事業で半導体関連向け制御機器が好調だったほか、自動車関連や住宅設備関連の工業用品が回復した。また、スポーツ用品事業では自社ブランドのゴルフ用カーボンシャフトが国内や北米で増勢だった。好調な業績を踏まえ、通期の経常利益予想を大幅上方修正し、16期ぶりの最高益見通しをさらに上乗せした。株価は約4年ぶりの高値圏を快走しているが、指標面では予想PER6.5倍、PBR0.73倍と割安感が強く、一段の上値が期待できそうだ。
選出リストには、第1弾に続き、半導体需要の拡大が追い風となる企業が目立つ。17位のエノモト <6928> は半導体用リードフレームが自動車向けや産業機械向けを中心に好調が継続したほか、スマートフォン向けコネクター用部品などの販売も伸び、7-9月期の経常利益は前年同期比2.6倍の5.2億円に拡大して着地。業績好調に伴い、通期の同利益予想を21期ぶり最高益となる19億円(従来計画は16億円)に上方修正している。
19位のイノテック <9880> は自社製品のメモリー向けテスターの販売が大幅に増加したうえ、半導体設計ツールも好調だった。決算発表と併せて、通期の経常利益予想を上方修正したが、上期実績(19.5億円)の修正した通期計画(26.5億円)に対する進捗率は73.7%と高水準で、一段の上振れが視野に入る。また、28位のイワキポンプ <6237> は半導体製造装置向け空気駆動ポンプが大きく伸び、7-9月期の経常利益は前年同期比83.3%増の9.5億円と四半期ベースの過去最高を塗り替えた。
このほか、電子計測器の専門商社である14位の日本電計 <9908> [JQ]とアルミ電解コンデンサ用セパレータのトップメーカーでリチウムイオン電池用も展開する30位のニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]は、電気自動車(EV)関連のテーマ性を内包する好業績バリュー株としてマークしたい。
┌─ 経常利益 ─┐ ┌─ 売上高 ─┐ 増収増益 予想
コード 銘柄名 増益率 7-9月期 増収率 7-9月期 連続期数 PER
<4064> カーバイド 1776 1013 26.1 11539 2 7.2
<7715> 長野計器 1148 1061 30.8 13684 2 11.9
<7628> オーハシテク 520 670 41.9 8135 2 9.7
<4092> 日本化 428 829 20.3 9225 2 9.8
<5121> 藤コンポ 352 1262 31.0 9181 2 6.5
<5658> 日亜鋼 332 592 20.7 7717 2 9.1
<6378> 木村化 290 745 66.5 5705 4 11.7
<4366> ダイトーケミ 263 265 30.9 3876 4 9.8
<5945> 天竜製鋸 262 847 50.5 3618 2 8.2
<8249> テクノアソシ 243 997 22.4 20967 2 10.6
<6932> 遠藤照明 218 696 20.7 9654 2 6.2
<5464> モリ工業 211 1672 26.7 10374 2 5.8
<7932> ニッピ 187 436 13.9 9610 2 9.0
<9908> Denkei 175 779 14.5 22473 2 7.9
<4999> セメダイン 174 586 13.2 7055 2 10.6
<6165> パンチ 166 975 24.3 10245 2 7.0
<6928> エノモト 156 527 28.0 6848 2 8.5
<3423> エスイー 154 529 12.2 5904 2 9.4
<9880> イノテック 151 998 18.2 9635 2 11.5
<6125> 岡本工 128 1106 19.0 9236 2 9.2
<3157> ジューテック 106 959 17.0 41309 2 8.0
<1921> 巴 102 807 25.9 6090 2 9.2
<7868> 広済堂HD 100 358 10.8 7583 2 10.4
<5363> TYK 97.2 1071 20.8 6687 2 7.5
<4462> 石原ケミ 94.7 730 21.9 4898 2 11.3
<3464> プロパティA 90.0 190 19.8 6230 3 10.4
<5807> 東特線 87.6 951 37.2 5448 2 9.9
<6237> イワキポンプ 83.3 957 24.2 7977 2 10.8
<5484> 東北鋼 82.6 546 34.7 4843 2 9.1
<3891> 高度紙 78.7 924 37.4 4427 4 11.4
<8065> 佐藤商 71.0 1146 40.8 56420 2 7.6
<1853> 森組 69.8 450 20.4 7587 2 9.9
<7417> 南陽 61.5 654 12.1 8882 2 7.6
<3023> ラサ商事 48.9 600 38.3 7610 2 7.0
<3447> 信和 46.1 764 19.9 4347 2 8.3
<9845> パーカー 44.1 572 12.0 12011 2 6.6
<5821> 平河ヒューテ 37.8 572 27.0 7207 2 11.2
<8137> サンワテク 34.9 1184 10.6 37489 2 7.4
<7472> 鳥羽洋行 22.5 463 13.7 7154 2 9.1
※売上高、経常利益の単位は百万円。増益率、増収率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は四半期ベースの連続回数。
※対象条件について、「最終利益が経常利益の80%以上」の企業は、特別利益や税控除などにより一時的に最終利益がかさ上げされているケースが多いため、対象から除いた。
株探ニュース