好業績続く中小型株、上値期待膨らむ「低PER」銘柄リスト〔第1弾〕 <成長株特集>
米長期金利の上昇で割高感が意識される高PER銘柄に対する売り圧力が強まる一方で、金融株や景気敏感株といったバリュー株への注目度が高まっている。本特集では、四半期ベースで業績急拡大が続く企業のうち、予想PERが市場平均以下で株価の水準訂正余地が大きいとみられる銘柄にスポットライトを当てた。
今回は第1弾として、時価総額300億円以上1000億円未満の3月期決算企業を対象に、直近3ヵ月である7-9月期(第2四半期)に前年同期比で「10%超の増収・20%超の経常増益」を2四半期以上連続で達成した銘柄をピックアップ。さらに、予想PERが12倍(東証1部の平均は15.3倍)を下回る36社を選び出し、7-9月期の増益率が高い順に並べた。
増益率トップとなったのは、独立系エレクトロニクス商社の伯東 <7433> 。7-9月期(第2四半期)は半導体需要の急拡大を受けて、パソコンや車載向けICの販売が大きく伸びたほか、プリント基板製造装置なども増勢だった。また、好採算部門である工業薬品事業の利益も膨み、経常利益は前年同期比5.4倍の20億円に急拡大して着地。好調な業績を踏まえ、通期の経常利益予想を21期ぶり最高益見通しとなる63億円(従来予想は38億円)に大幅上方修正し、年間配当も120円(同60円)に引き上げた。指標面では予想PER11.8倍、PBR0.86倍、配当利回り4.53%と割安感が強く見直し余地は大きそうだ。
2位に入った工作機械メーカーのツガミ <6101> は設備投資需要が回復するなか、中国を中心に主力の自動旋盤の販売が伸び、7-9月期は売上高251億円(前年同期比2.0倍)、税引き前利益56.6億円(同4.5倍)と4四半期連続で「10%超の増収・20%超の経常増益」を達成した。上期決算の発表前に、通期の最終利益予想を3期ぶり最高益見通しへ上方修正するとともに配当も増額修正している。
3位は韓国サムスン電子製品に特化した半導体商社のトーメンデバイス <2737> 。7-9月期はデータセンターやパソコン向けに主力のメモリーが大きく伸びたほか、中国でスマートフォン向けに高精細カメラ用のCMOSイメージセンサーの販売が好調だった。併せて、通期業績見通しと配当予想を大幅上方修正している。株価は12月29日に上場来高値7940円をつけたが、予想PER9倍台と割高感はなく一段の上値が期待される。
続く4位の日本ピラー工業 <6490> は半導体製造装置向け継ぎ手の好調な受注が継続し、7-9月期の経常利益は前年同期比4倍の29.8億円に膨んだ。6位の制御機器大手IDEC <6652> は半導体、自動車関連、工作機械、ロボット業界などの旺盛な設備投資ニーズを捉え、主力の産業用スイッチを中心に販売が大きく伸びた。7-9月期は売上高、経常利益ともに2四半期連続で過去最高を塗り替えた。
7位にリスト入りした精密プラスチック加工トップのエンプラス <6961> は、半導体検査用ソケットの販売好調が牽引する形で、2四半期連続の業績高変化を遂げた。選出リストでは、旺盛な半導体需要が追い風となる企業が目立つ。世界的な需給逼迫の継続が見込まれるなか、半導体周辺株は今後も人気が続くとみられマークしておきたい。
半導体製造関連装置大手のTOWA <6315> 、半導体製造装置向けを強みとする非鉄金属商社の白銅 <7637> 、半導体製造装置向け継ぎ手などを手掛けるイハラサイエンス <5999> [JQ]、半導体・液晶用特殊ガス大手の関東電化工業 <4047> 、樹脂バルブメーカーで半導体関連向けの販売が好調な旭有機材 <4216> 、半導体検査用ソケット大手の山一電機 <6941> などがリスト入りしている。
また、半導体関連を取り扱う商社では、伯東、トーメンデバのほか、三菱電機系の菱電商事 <8084> と立花エレテック <8159> 、半導体・電子部品商社の東京エレクトロン デバイス <2760> と加賀電子 <8154> がリストアップされた。いずれも予想PERが12倍以下と割安で先高期待が強い。
このほか、半導体不足の解消による自動車メーカーの生産回復が期待されるなか、自動車関連銘柄にも目を配っておきたい。再生アルミ地金大手で自動車メーカーを主要顧客とする大紀アルミニウム工業所 <5702> 、エンジン部品シリンダライナーで世界シェアトップのTPR <6463> 、自動車用伝動ベルトを手掛けるバンドー化学 <5195> と三ツ星ベルト <5192> が関連株として挙げられる。
┌─ 経常利益 ─┐ ┌─ 売上高 ─┐ 増収増益 予想
コード 銘柄名 増益率 7-9月期 増収率 7-9月期 連続期数 PER
<7433> 伯東 439 2009 17.4 46836 2 11.8
<6101> ツガミ 354 5666 101 25138 4 9.6
<2737> トーメンデバ 317 2333 42.7 119591 3 9.6
<6490> ピラー 296 2986 48.7 10096 3 11.8
<9066> 日新 278 2126 25.4 43630 3 6.5
<6652> IDEC 263 2586 40.1 17586 2 11.6
<6961> エンプラス 252 763 11.6 7885 2 11.8
<8793> NECキャピ 246 3469 16.1 64204 2 7.9
<4094> 日化産 236 917 39.9 5641 3 11.6
<6315> TOWA 217 2991 74.3 12372 3 9.3
<7637> 白銅 214 963 55.5 13182 2 11.5
<5999> イハラサイエ 163 1203 56.2 4960 2 10.4
<5659> 日精線 163 1175 49.6 10767 3 10.6
<5702> 大紀ア 158 4412 81.2 53302 3 4.9
<5352> 黒崎播磨 145 2213 18.6 33391 2 7.0
<4047> 関電化 142 1990 14.2 14415 3 10.9
<4216> 旭有機材 140 1743 24.1 15765 2 9.7
<8084> 菱電商 126 1535 17.9 54469 2 11.0
<6463> TPR 121 4076 21.4 40611 2 7.6
<2760> 東エレデバ 117 1286 24.9 41771 4 11.8
<9310> トランシティ 111 2283 18.1 28559 2 9.6
<4365> 松本油脂 95.0 1576 38.3 8916 3 10.5
<4220> リケンテクノ 90.8 1509 38.1 26095 2 8.7
<5195> バンドー 89.1 2608 17.3 23128 2 8.8
<7905> 大建工 86.8 4696 13.5 56122 2 7.0
<7456> 松田産業 76.2 3523 13.4 65921 3 6.9
<5192> 三星ベ 67.8 1824 10.8 17805 2 11.5
<8159> 立花エレ 64.3 1600 18.6 47775 2 9.9
<5715> 古河機金 60.5 1425 30.6 52191 2 9.9
<1515> 日鉄鉱 49.6 4057 17.8 34046 3 7.6
<6409> キトー 45.3 1440 21.0 14496 2 10.7
<6941> 山一電機 39.4 1921 27.8 9661 2 10.9
<8154> 加賀電子 38.5 3886 11.8 117060 3 9.3
<9302> 三井倉HD 26.7 6102 14.9 71717 4 5.3
<5805> 昭電線HD 21.7 2487 29.1 49557 3 6.9
<9739> NSW 20.7 1474 16.1 11684 2 11.4
※売上高、経常利益の単位は百万円。増益率、増収率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は四半期ベースの連続回数。
※対象条件について、「最終利益が経常利益の80%以上」の企業は、特別利益や税控除などにより一時的に最終利益がかさ上げされているケースが多いため、対象から除いた。
株探ニュース