今週の【早わかり株式市況】続落、米金融政策と国内オミクロン感染拡大を警戒
■今週の相場ポイント
1.日経平均は2週連続で下落、12日(水)に大幅高も週後半はリスクオフ鮮明
2.米インフレ警戒でFRBによる金融引き締め前倒しの思惑がグロース株に逆風
3.パウエルFRB議長やブレイナード理事発言受け、今後の金融政策に思惑錯綜
4.国内ではオミクロン株の感染急拡大が懸念視され小売りなど内需株が売られる
5.週末は米ハイテク株安受け、一時600円安で2万8000円大台下回る場面も
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比354円(1.24%)安の2万8124円と2週連続で下落。
今週は成人の日に伴う祝日の関係で4営業日となったが、米国株市場を横目に上下にボラティリティの高い不安定な地合いが継続した。発表された米国の経済指標がインフレ警戒ムードを高めたほか、パウエルFRB議長やブレイナードFRB理事の米上院での発言を受け、FRBの今後の金融引き締め政策への思惑が錯綜し株式市場を振り回した。
3連休明けとなった11日(火)は前日の欧米株市場がリスク回避の売りに押された流れを引き継ぎ日経平均は3日続落となった。12月の米雇用統計発表を受けFRBによる引き締め前倒しに対する思惑が上値を重くした。ハイテク系のグロース株への売りが目立つ状況に。しかし、12日(水)は先物を絡め日経平均は急反騰に転じ上げ幅は540円あまりに達した。パウエルFRB議長の米上院での証言が、警戒されたほどタカ派色の強い内容ではなかったことが好感され、前日の米国株市場ではハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の上昇が目立った。これを受けて東京市場も半導体関連などをはじめ広範囲にリスクオフの巻き戻しが入る格好となった。値上がり銘柄数は全体の9割近くに及んだ。ところが、今の株式市場はなかなか一筋縄ではいかず、潜在的な売りニーズの強さが週後半に露呈した。13日(木)は反落。前日発表された12月の米CPIは市場予測と合致したとはいえ高水準で、再び米国のインフレ懸念が高まった。国内でのオミクロン株の感染拡大が加速していることも、小売りなど内需株を中心に買いを手控えさせた。一方、鉄鋼株などバリュー株には買いが入った。そして週末14日(金)は前日の米国で金融引き締めに対する警戒感からハイテク株が売られたことを受け、日経平均は大幅安。一時600円安に売り込まれ2万8000円台を大きく下回る場面があった。為替市場で円高が進んだことも輸出セクター中心に逆風となった。
■来週のポイント
米金融政策動向への警戒が続くうえ、国内でのオミクロン株の感染拡大が重しとなり、来週も下値を探る不安定な展開が続きそうだ。
重要イベントとしては、国内では17日朝に発表される11月機械受注統計や17日-18日に開催される日銀金融政策決定会合、20日朝に発表される12月貿易統計、21日朝に発表される12月全国消費者物価指数が注目される。海外では17日に発表される中国10-12月期GDPや12月中国の小売売上高と鉱工業生産、19日発表の米国12月住宅着工件数に注視が必要だろう。
■日々の動き(1月11日~1月14日)
【↓】 1月11日(火)―― 3日続落、米金融引き締めの前倒しで売り優勢
日経平均 28222.48( -256.08) 売買高12億4677万株 売買代金 3兆0073億円
【↑】 1月12日(水)―― 急反騰、欧米株高を受けリバウンド狙いの買い優勢
日経平均 28765.66( +543.18) 売買高11億9795万株 売買代金 3兆0151億円
【↓】 1月13日(木)―― 反落、米インフレを警戒し利益確定の売りが優勢
日経平均 28489.13( -276.53) 売買高11億6357万株 売買代金 2兆7679億円
【↓】 1月14日(金)―― 続落、米早期金融引き締めを警戒し売り継続
日経平均 28124.28( -364.85) 売買高14億0815万株 売買代金 3兆4410億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、16業種が下落
(2)オリンパス <7733> など精密機器、キーエンス <6861> など電機、日立建機 <6305> など機械といった輸出株が売られた
ただ、トヨタ <7203> など自動車は高い
(3)リクルート <6098> などサービス、イオン <8267> など小売り、ZHD <4689> など情報・通信といった内需株が安い
(4)三菱UFJ <8306> など銀行、第一生命HD <8750> など保険、SBI <8473> など証券といった金融株は上昇
(5)日本製鉄 <5401> など鉄鋼、住友鉱 <5713> など非鉄、商船三井 <9104> など海運といった景気敏感株が買われた
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数)
1(1) メタバース
2(3) 電気自動車(EV) ── 自動車周辺の「バリュー系躍進株」精選6
3(2) 半導体
4(4) 半導体製造装置
5(6) 2021年のIPO
※カッコは前週の順位
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