【杉村富生の短期相場観測】 ─ 目先はハイテク売りのバリュー買いが継続!
「目先はハイテク売りのバリュー買いが継続」
●FRB、日銀の金融政策の変化に警戒を!
NY市場は3月末のテーパリング(資産買い入れ額の縮小)終了と同時の利上げ(年内に3回を予定)を織り込み始めている。いや、7~8割は株価に反映された可能性がある。12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年比7.0%(10月は6.2%、11月は6.8%)だった。インフレ圧力の高まりが加速している。
ちなみに米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標は2%だ。10~12月の数値は容認できないと思う。副議長に就任予定のブレイナード理事は「早期の利上げはやむなし」との発言を繰り返している。彼女はハト派の代表的な人物である。それだけに、意外性とともに、「FRBは変わった」と受け止められた。ハイテク株は利食い先行の展開となろう。
実は日銀の金融政策だって、盤石ではない。すでに、ステレステーパリング(非公表の資産買い入れ額の削減)を行っている。夏から秋にはこの姿勢がもっと鮮明となろう。財務省出身の黒田総裁は2013年4月以降、当時の安倍首相の絶対的な信頼を受け、円安・株高政策を断行した。その黒田総裁の任期は2023年4月に切れる。再任はないだろう。
次期総裁は日銀出身者になる可能性が高い。バブル崩壊直後の三重野氏をはじめ、速水氏、福井氏、白川氏など日銀出身の総裁はおしなべて円高・株安に無頓着だ。物価の安定にこだわり、雇用の確保(円高→産業の空洞化を放置)をないがしろにした歴史がある。次期総裁人事では岸田政権の“哲学”が問われる。
●今年後半は波乱含みの展開を予想!
いずれにせよ、今年は1~6月の「前半勝負ッ」と主張している。正直、後半の7~12月は読みづらい。欧米および日本の金融政策に加え、地政学上のリスク(ウクライナ、台湾海峡、中東情勢→原油価格は1バレル=100ドル台乗せ?)が高まる可能性がある。政治は日本以外、不安定だ。景気はパンデミックの再来によって、下ブレするだろう。
物色面はどうか。流動性を加味し、売買代金ランキング上位、かつ昨年9月14日の日経平均株価の戻り高値(ザラバ3万0795円)時よりも株価が上位に位置する順張りパターンの銘柄に妙味があろう。具体的には三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、INPEX <1605> 、トヨタ自動車 <7203> 、川崎汽船 <9107> など。
テーマ性を考慮すると、電気自動車(EV)関連の新電元工業 <6844> 、自動運転に絡むソーバル <2186> [JQ]、水素関連の加地テック <6391> [東証2]、値動き抜群のロードスターキャピタル <3482> [東証M]などに注目できる。さらに、ハイテクだが、電子棚札の日本ユニシス <8056> はロングランに狙える。
当面、基本的にはバリューセクター優位の動きとなろう。ただ、ハイテクセクターは「まったくダメ」ということではない。イノベーションは成長の核だ。NY市場では無線給電(米アップル<AAPL>のiPhoneに採用)のブロードコム<AVGO>、量子コンピューターのイオンQ<IONQ>などが堅調である。
2022年1月14日 記
株探ニュース