明日の株式相場に向けて=「アノマリー打破」で正念場の2月へ
きょう(31日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比284円高の2万7001円と続伸。一時400円超の上昇で2万7100円台まで駆け上がったが、引け際にインデックス売りでドスンと水準を切り下げた。しかし、2万7000円大台をかろうじてキープした状態で着地した。1月は月間では1790円安(6.2%安)。1月としては極めて稀な大幅下落となった。相場にタラレバはないが、もし最後の2営業日の上昇がなかったら(プラマイゼロで終わったとしたら)、月間の下げ幅は2621円で、これはコロナショック安に見舞われた2020年3月の2225円安を上回る波乱だったことになる。
きょうは、上昇相場の牽引役であったレーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>など半導体関連の主力株が久しぶりに存在感を示したほか、後場に入って商船三井<9104>が期中3度目となる業績上方修正と配当の増額を発表し、海運株が一斉高となったことも地合いを強くした。
全体相場は足もとリバウンド局面に移行している。ただ、日経平均は2月SQ週に向け揺り戻しはありそうで、2万7000円台絡みは強気に対処していいかは難しいところ。2月相場の序盤は押し目形成場面での短期リバウンド狙いに徹しておくところと思われる。FRBは金融政策の転換を明示したが、実際は3月までは利上げも行わないし、量的緩和も続けるわけで、流動性相場がすぐにシュリンクすることはない。適温かどうかは分からないが、少なくともゴルディロックス相場の余熱が当面は続く。2月はモラトリアム期間ならではの相場との距離感を意識しながら、好業績銘柄を軸にテーマ買いの動きに対応したい。決算跨ぎの買いは期待の度合いが高いほど成功しにくい。決算通過後もしくは、決算発表に絡まない決算月が違う銘柄で、実態の伴う銘柄に照準を合わせたい。
ところで、昨年(21年)は「月末安アノマリー」が強く意識されていた。7月までは20年9月から数えて11カ月連続で月末の日経平均はマイナスになるという“偶然”が積み重なった。これは、月末は「リバランスの売り」が出やすいという環境がそうさせたのだが、とはいえ11カ月連続のマイナスは、単純計算で2分の1の11乗ということで、2048分の1の確率。それを引き当てたのだから、かなりの鉄板アノマリーであったといえる。8月にこの法則をブレーク(8月31日の日経平均は300円高で着地)したものの、その後の年末までの4カ月はどうだったかというと、10月末の日経平均がプラスで引けたのみで、9、11、12月は安く、やはり月末安アノマリーを踏襲する格好となった。
では年が変わって22年の1月末はどうなるか、つまりきょう(31日)の値動きに関心が集まったが、見ての通り日経平均は280円あまり高く引けた。今月は1月としては2000年代に入ってから極めて珍しい大陰線の月となっている。これだけ長い陰線を引いたのは直近20年あまりを振り返っても皆無である。リーマン・ショックのあった08年も1月は長い陰線を引いたのだが、今月の陰線はそれをはるかに凌ぐもので2000年に入ってからは最大となった。しかし面白いもので、きょうに限って言えばアノマリー破りの上昇となっている。
市場関係者によると月末で「リバランスの買い」が入ったという。昨年とは真逆の需給事情だが、これが何を意味するかは今後の相場を見ないと何とも言えない。ちなみに、あす2月1日は「月初高アノマリー」にあたる。もう一段の上昇があれば、市場のセンチメントはかなりプラス方向に改善すると思われるが、果たしてどうなるかである。一つ言えるのは、ここではまだ追撃買いで対処するのはリスクがあるということだ。
あすのスケジュールでは、12月の失業率、12月の有効求人倍率、1月の新車販売台数などのほか、10年物国債の入札も行われる。海外では21年12月の豪小売売上高、豪中銀の政策金利発表、21年12月のユーロ圏失業率、1月の米ISM製造業景況感指数、12月の米建設支出など。なお、春節による大型連休により中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、フィリピンなどアジア株市場は休場となる。このうち中国と台湾については今週いっぱい休場となる。また、国内主要企業の決算発表ではキーエンス<6861>、村田製作所<6981>、ローム<6963>、野村ホールディングス<8604>、ANAホールディングス<9202>などが予定されている。海外主要企業ではアルファベット<GOOG>、ゼネラル・モーターズ<GM>、エクソンモービル<XOM>などの決算が発表される。(銀)