雨宮京子氏【3月期末目前、不透明感募る株式市場を読む】(2) <相場観特集>
―ウクライナ情勢の警戒が続くなか、個別株の勘所は?―
14日の東京株式市場は主力株中心に買い戻しが入り、日経平均株価はリバウンドに転じた。前週末の米国株市場は不安定な値動きで、結局NYダウなど主要株価指数は安く引けたが、米株価指数先物が高く推移したことがきょうのマーケットにはポジティブに働いた。とはいえ、3月期末を目前にウクライナ情勢など先行き不透明感が強い相場環境であることに変わりはない。今後の相場展望と個別株物色の方向性について、先読みに定評のある市場関係者2人に話を聞いた。
●「反転近し、彼岸底の展開を想定」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
全体相場はウクライナ情勢などを横にらみに厳しい環境にあるが、株式需給面からは底入れが近いとみている。日経平均は昨年9月の高値期日を通過し、目先波乱が警戒されたメジャーSQも通過した。また、イベント面では今週15~16日の日程で行われる連邦公開市場委員会(FOMC)の結果とパウエルFRB議長の記者会見が大きなポイントとなっているが、ここを通過すれば、FRBの金融政策がタカ派・ハト派のどちらに傾いたとしても相場的にはアク抜け感が出そうである。
過去を振り返ってみると、2008年のリーマン・ショック後の相場では、日経平均が大底をつけに行ったのは翌年の3月であったし、20年のコロナショック安も3月中旬にかけて暴落を演じた。全体相場が波乱モードにある時、得てして3月にダメ押しの下げに見舞われることが多い。今回もそのパターンで3月21日、いわゆる彼岸前後に底入れ反転の兆しが見えるのではないかと考えている。
ウクライナ情勢は今の状況を見る限り、戦争の長期化はやむなしという印象も受ける。しかし、仮にウクライナ有事が当分の間続いたとしても、株式市場はそれを織り込みに行くことは可能だ。下値に対しては抵抗力を発揮し始めており、ここからの深押しは考えにくい。下値メドは2万4500円前後とみている。一方、期末に向けて、ウクライナ情勢の好転などプラス材料が重なれば、日経平均は急速な切り返しが視野に入る。空売りの買い戻しを絡め2万8000円前後をうかがうような高パフォーマンスも十分に考えられる。
個別では、全体相場が落ち着いた場合を想定して主力銘柄の押し目買いも一考。そのなか、ソニーグループ <6758> は海外勢による日本株買い直し局面で真っ先にマークされそうだ。また、事業再構築が進展し成長力を取り戻しつつある日立製作所 <6501> なども目が離せない。このほか中小型株では、レアメタル市況の高騰を背景に、貴金属回収ビジネスを展開するアサカ理研 <5724> [JQ]、アルミ電解コンデンサー用のリード端子や光ファイバー向け光部品を製造するニッチトップの湖北工業 <6524> [東証2]、デバッグ事業を手掛けるデジタルハーツホールディングス <3676> 、世界的な電気自動車(EV)シフトの動きを背景にEV向け温度センサーを手掛ける大泉製作所 <6618> [東証M]などもマークしたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
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