来週の相場で注目すべき3つのポイント:米ISM製造業景気指数、米雇用統計、ウクライナ情勢など

市況
2022年3月26日 18時07分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限28500-下限27500円

来週の日経平均はもみ合いか。需給環境の改善を背景とした急速なリバウンドは一服し、週末の米雇用統計を控えるなか、こう着感の強い展開となりそうだ。日経平均は3月11日からの約2週間で一気に3000円ほども上昇した。月末、四半期末に向けた年金基金のリバランス(資産配分の再調整)目的の買いや、配当権利取り、機関投資家の配当再投資を見越した先回り買いなどを背景に、需給環境の改善が後押ししたようだ。しかし、こうした良好な需給環境も29日の権利付き最終日を境に一巡してくる。また、米株市場に特に当てはまるが、急速なリバウンド局面においての出来高は少なく、上昇相場の取引主体はほとんど短期筋と思われる。そのため、月替わり前後のタイミングからは再び調整リスクが高まるとも考えられ、ウクライナ情勢などの動向には注意が必要だろう。

3月の連邦公開市場委員会(FOMC)後、多くの連邦準備制度理事会(FRB)高官から複数会合での0.5ptの大幅利上げも辞さない姿勢が相次いで示されている。同時に、次回5月会合でのバランスシート縮小(QT)開始の公算も高くなってきており、その縮小ペースも前回に比べて「かなり早い」ものが想定されている。0.5ptの利上げを実施しつつ、同時にQTも進行させるというのは異例の引き締めプロセスだ。大量に溢れた緩和マネーが今まで相場を下支えてきたことを踏まえれば、QTの影響には注意が必要だろう。週末には米3月雇用統計の発表を控え、結果を見極めたいとの思惑が一段の上値追いを躊躇させそうだ。

相場はウクライナ情勢に関して反応が乏しくなってきたが、依然として油断は禁物だ。ロシアによる化学兵器などの使用可能性が警告されており、仮に実際に使用されれば欧米諸国は一段と経済制裁を強化する方針。一方、ロシアのプーチン大統領は欧州諸国に燃料購入にルーブルでの支払いを要請し、ルーブルでの支払いがなければ即座に供給を停止するとも警告している。欧州のロシアへの燃料依存度は非常に高く、仮に供給停止となると、足元再び強含みで推移している燃料価格の急騰につながりかねないため注意したい。

そのほか、米国で発表される住宅価格や消費者センチメント、景況感関連の指標にも注目だ。足元でスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクが懸念されるなか、欧米諸国で直近発表されている経済指標では一部に既にそうした兆候が見られ始めている。こうした懸念を一段と裏付けるような内容となれば、景気敏感株を中心に下押し圧力となるため、内容を見極めたい。

■為替市場見通し

来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め観測が強まり、ドル高円安の流れは変わらないとみられる。日本銀行が円安容認姿勢を見せていることも意識されそうだ。パウエルFRB議長は3月21日の講演でインフレ高進に対する今後の政策方針を示し、必要なら次回5月3-4日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.50%に拡大する考えを示した。

FRBは3月15-16日のFOMCで2018年12月以来の政策金利の引き上げに踏み切るとともに、年内は毎回利上げを実施する見通しを示した。2月消費者物価指数(CPI)は約40年ぶり高水準となり、政策対応を急ぐ。一方、日本銀行の黒田総裁は3月18日の金融政策決定会合後の記者会見で、緩和的な政策を堅持すると強調。また足元の円安については「日本経済にプラスという基本的構図に変わりはない」との容認姿勢を示した。日米金利差の拡大を見込んだドル買い・円売りは当面継続するとみられる。

なお、ロシアとウクライナの停戦交渉は難航しているもよう。一時的にリスク回避的な円買いが強まる可能性は残されているが、停戦交渉が進展した場合、欧米諸国の株式は持ち直す可能性があり、株高を背景としたリスク選好的な円売りが強まることも予想される。

■来週の注目スケジュール

3月28日(月):日・メンタルヘルステクノロジーズが東証マザーズに新規上場、米・卸売在庫(2月)、米・2年債、5年債入札など

3月29日(火):日・失業率/有効求人倍率(2月)、日銀金融政策決定会合における主な意見(3月17、18日分)、米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(1月)、米・消費者信頼感指数(3月)、米・7年債入札、米・フィラデルフィア連銀総裁が講演、米・決算発表→マイクロン・テクノロジーなど

3月30日(水):日・小売売上高(2月)、ギックスが東証マザーズに新規上場、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(3月)、米・ADP全米雇用報告(3月)、米・GDP確定値(10-12月)など

3月31日(木):日・鉱工業生産指数(2月)、日・住宅着工件数(2月)、ノバックが東証2部に新規上場、中・製造業/非製造業PMI(3月)、米・個人所得/支出(2月)、米PCEコアデフレーター(2月)、「OPECプラス」閣僚級会合、米・ニューヨーク連銀総裁が会議で開会の挨拶など

4月1日(金):日・日銀短観(1-3月)、日・欧・米・製造業PMI(3月)、米・ISM製造業景況指数(3月)、米・雇用統計(3月)など

《YN》

提供:フィスコ

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