為替週間見通し:下げ渋りか、地政学的リスク増大も米大幅利上げの可能性残る

通貨
2022年8月6日 14時56分

【今週の概況】

■7月米雇用統計の改善を受けてリスク回避の円買い縮小

今週のドル・円は反発。ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けた米中関係の悪化、東アジアにおける地政学的リスクの高まりを意識して、リスク回避的なドル売り・円買いが観測された。ドル・円は一時130円41銭まで売られたが、米国金利の先高観が再浮上したことからリスク回避のドル売り・円買いは縮小し、ドル・円は8月4日に134円台に反発した。

5日のニューヨーク外為市場でドル・円は133円18銭から135円50銭まで一段高となった。この日発表された7月米雇用統計は市場予想を大幅に上回り、米国の景気後退入りの可能性は低下したとの見方が広がった。米長期金利は上昇し、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となり、ドル・円は134円98銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:130円41銭-135円50銭。

【来週の見通し】

■下げ渋りか、地政学的リスク増大も米大幅利上げの可能性残る

来週のドル・円は下げ渋りか。米下院議長の訪台をめぐる米中関係の悪化を受け、地政学的リスクの高まりを意識したドル売り・円買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。ペロシ米下院議長はアジア歴訪中、台湾を訪問し、米台関係の強化を強調。中国側は内政干渉と主張し、今後米国に対する報復措置を講じる考えのようだ。日本にも何らかの影響が及ぶ可能性が高いことから、東アジアにおける地政学的リスクの増大を意識したドル売り・円買いが再び強まる可能性は残されている。

ただ、米インフレ高進の可能性が改めて示された場合、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げを期待したドル買いも見込まれる。直近の連邦公開市場委員会(FOMC)を受け、9月以降は利上げペースを緩めるとの思惑が広がっていたが、7月雇用統計の改善を受けて米長期金利は反発し、9月開催のFOMC会合で0.75ポイントの追加利上げが行われるとの観測が広がっている。8月10日発表の7月米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.1%と予想されており、コアインフレ率は6月実績を上回る見通し。市場予想と一致した場合、インフレ鈍化の思惑は後退し、次回9月開催のFOMCでの0.75ポイントの追加利上げを見込んだドル買いが入りやすい。

また、CB消費者信頼感指数の先行指標とみられる8月ミシガン大学消費者信頼感指数は、7月との比較で多少の改善が見込まれており、市場予想を上回った場合、景気後退(リセッション)入りを警戒したドル売りは縮小するとみられる。

【米・7月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)

10日発表の7月米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.1%と予想される。市場予想と一致した場合、9月の0.75ポイント追加利上げを後押しする要因となろう。

【米・8月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値】(12日発表予定)

12日発表の8月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は52.0と、7月実績をやや上回る数値が予想されている。市場予想を上回った場合、米国の景気後退入りの懸念は和らぎ、金利高・ドル高の要因となりそうだ。

予想レンジ:133円50銭-136円50銭

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.