雨宮京子氏【急反騰の週明け、日経平均の上昇波は継続するか】(1) <相場観特集>
―想定外の米株高でムードが変わる、ここからの戦略は―
週明け31日の東京株式市場は、日経平均株価が大幅高で2万7000円台半ばまで一気に水準を切り上げた。前週末に米国株市場で主要株価指数が揃って大幅高に買われたこともあって、投資家心理が大きく改善している。米株市場ではNYダウが6連騰するなど上値指向が鮮明であり、東京市場もこれに続く動きとなっている。既に実質11月相場に突入しているが、ここから年末に向けての相場展望はどうか。先読みに定評のある市場関係者2人に今後の株価見通しと物色の方向性などについて意見を聞いた。
●「米中間選挙に向け上値指向、年内新高値も視野」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
東京市場は前週末の米国株高を受け、足もと追い風が吹いており基本強気で対処して報われるとみている。日経平均2万8000円近辺になると戻り待ちの売り圧力も意識されやすく、週央に米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えており、目先的には下値を試す動きも想定される。しかし、来月8日の米中間選挙に向けてトレンド自体は上向きとみてよさそうだ。押し目形成場面はすかさず拾っておく姿勢で臨む。
米国企業の決算発表が事前予想よりも良好な内容で、これは全体市場にもポジティブに作用している。一方、本格化する日本企業の決算発表についても円安効果が追い風となり、好決算銘柄を中心に投資資金の流入が続きそうだ。ただ、決算悪の銘柄は大きく売り込まれるケースも少なくないため、銘柄の選別とタイミングには留意したい。株式需給面では個人投資家資金の回転が効いてきており、決算絡みでない銘柄ではテーマ材料株の一角にも物色の矛先が向かいやすくなっている。日経平均のレンジとしては、まず上値は今年の年初につけた年初来高値2万9332円を年内に上抜けるかどうかがポイントとみている。一方、一本調子に上げ続けるとも思えず、どこかで反動安も想定される。その場合、下値は2万6000円程度を想定している。
個別ではTSMC<TSM>との協業で半導体関連の要を担うソニーグループ <6758> [東証P]は主力銘柄の中でも外せない存在だ。このほか、自動運転分野やメタバース関連で存在感を高めるKudan <4425> [東証G]、今年7月に新規上場した直近IPO銘柄で人流データを扱うunerry <5034> [東証G]、パワー半導体の本命銘柄の一角である三社電機製作所 <6882> [東証S]、半導体周辺でチャート妙味のある日本電子 <6951> [東証P]、サイバーセキュリティー関連で活躍が期待されるNo.1 <3562> [東証S]などに注目しておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
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