「自動運転」関連に大脚光、レベル4解禁で株価も躍進ステージへ <株探トップ特集>

特集
2022年10月31日 19時30分

―来春に新制度開始へ、モービルアイ上場も話題呼ぶ―

株式市場で、自動運転への関心が再び高まっている。警察庁が10月27日に特定の条件下で運転を完全自動化する「レベル4」の自動運転を認める新制度を来年4月から始める方針を明らかにし、これが複数のメディアで伝わったことがきっかけ。自動運転関連に位置づけられる企業が日米で直近相次いでIPOを行ったことも、関心の高まりに一役買う形となっている。自動運転関連株は自動車メーカーをはじめ、車載向け部品やセンサー、ソフト・システム開発を手掛ける企業など幅広い分野に及び、有望株探しには事欠かないテーマだ。関連銘柄の動向を探った。

●自動車メーカー中心に取り組み続々、自動運転関連のIPOにも視線集まる

自動運転の実用化に向け、大手企業を中心に開発競争は活発化している。トヨタ自動車 <7203> [東証P]は自動運転の電気自動車(EV)「e-Palette(イーパレット)」の開発を進めているほか、ソフトバンク <9434> [東証P]などと共同出資するMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)を通じて取り組みを加速させている。今年3月に提携を発表したソニーグループ <6758> [東証P]とホンダ <7267> [東証P]は、合弁会社ソニー・ホンダモビリティで自動運転や運転支援に関わる機能の開発を目指す構え。SUBARU <7270> [東証P]については直近、自動運転車の通信が途絶した場合でも運転を継続できる技術を2025年までに開発する方針にあることが伝わった。

大手各社の取り組みが進むなか、株式市場では自動運転関連企業が日米でIPOを行ったことが話題を呼んだ。米株式市場では10月26日、米インテル<INTC>子会社で自動運転向け半導体 などを手掛けるモービルアイ・グローバル<MBLY>がナスダックに上場した。上場初日の終値は公開価格を大きく上回り、時価総額は今年の米IPO銘柄で最大級となる約3兆円をつけた。東京市場では、富士通 <6702> [東証P]とパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]の半導体事業を統合したソシオネクスト <6526> [東証P]が同月12日に上場している。自動運転など車載向けの先端半導体を手掛けており、これに対する成長期待の高さから投資家の熱い視線を集めている。

●アイサンテク、イーソルが急動意

前述の自動運転を巡る新制度開始の報道が伝わった際、株式市場で真っ先に株価を動意させたのがアイサンテクノロジー <4667> [東証S]とイーソル <4420> [東証P]だ。アイサンテクは高精度3次元計測システムに強みを持つ測量・土木ソフト開発会社で、自動運転分野の取り組みが注目されている。直近ではエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(東京都千代田区)などと共同で、中部国際空港エリアで自動運転の実証実験を行うことを明らかにしている。

イーソルは、自動車向けを中心とする組み込みソフト開発会社。自動運転やコネクテッドカー(つながる車)など、次世代自動車技術「CASE」に注力する姿勢を示している。ソニーGやデンソー <6902> [東証P]グループ向けの売上比率が大きい。

●ヴィッツやKudan、Denkeiなど幅広い関連銘柄群

ヴィッツ <4440> [東証S]は、自動車や工作機械に組み込むソフトウェアを開発・販売する。自動運転向けのシミュレーションツール「WARXSS(ウォーキス)」を提供しており、今後増加する関連需要を捉える狙い。主要顧客にトヨタやアイシン <7259> [東証P]を持つ。

Kudan <4425> [東証G]は人工知覚技術の研究開発を手掛け、自動運転やドローン、産業用ロボットといった分野に展開している。EU(欧州連合)の自動運転プロジェクトに参画しているほか、中国の自動運転ソリューション企業と技術連携して製品開発を行った実績がある。

日本電計 <9908> [東証S]は電子計測機器の専門商社。自動運転や先進運転支援システム(ADAS)の評価試験サービスを提供している点がポイントで、今後の需要取り込みに期待がかかる。自動車分野をはじめ、IoT5Gといった分野での事業展開も積極化させている。

このほか、自動運転・ADAS向けに高精度地図データを提供している地図大手ゼンリン <9474> [東証P]、マツダ <7261> [東証P]に自動運転技術開発用の合成データ生成・編集ツールを提供したことを6月に明らかにしたシリコンスタジオ <3907> [東証G]なども押さえておきたい。

自動運転など車載向けのソフト・システム開発を手掛けるシステナ <2317> [東証P]やPCIホールディングス <3918> [東証P]、東海ソフト <4430> [東証S]、ソーバル <2186> [東証S]、フィーチャ <4052> [東証G]といった銘柄群にも注目。また、自動運転用のセンサーが認識できる特殊塗料「ターゲットラインペイント」で自動運転業界に今春参入した日本ペイントホールディングス <4612> [東証P]も面白そうだ。

●ティアフォーなど関連ベンチャーの動向も

自動運転の技術開発に取り組むベンチャー企業の動向も見逃せない。この分野で有力企業と目されているのがティアフォー(名古屋市中村区)だろう。同社は19年の資金調達ラウンドでSOMPOホールディングス <8630> [東証P]傘下の損害保険ジャパン日本興亜やKDDI <9433> [東証P]、ヤマハ発動機 <7272> [東証P]、アイサンテクなどを引受先とする第三者割当増資を実施した実績がある。今年7月には、SOMPOとヤマハ発に新たにブリヂストン <5108> [東証P]を加えた3社から資金調達を行ったことを発表した。

完全自動運転EVの販売を目指すTURING(チューリング、千葉県柏市)にも目を向けておきたい。同社も7月に資金調達を実施しており、ベンチャーキャピタル大手のグローバル・ブレイン(東京都渋谷区)やHEROZ <4382> [東証P]などが出資を行った。

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