明日の株式相場に向けて=オイルマネーが流れ込む東京市場

市況
2022年11月22日 16時59分

きょう(22日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比170円高の2万8115円と続伸。日経平均は静かに、しかし力強く2万8000円大台ラインをまたいだ。ここにきて日本株優位論が高まっている。それが為替の円安進行を背景とした企業業績への浮揚効果を根拠とするのであれば心もとないが、地政学的な意味合いから海外マネーが流れ込んでいるのだとすれば、これは構造的かつ中期的な資金の潮流を暗示する。

3期目に突入した中国の習近平政権が面子をかけて遂行するゼロコロナ政策だが、その網をかいくぐって新型コロナウイルスの感染が拡大している。新型コロナを封じ込めようと躍起になればなるほど中国経済の停滞を助長するとして、原油市況の急落の理由にもされている。しかし、世界が本当に警戒しているのは中国のGDPではなく、中国という巨大な歯車が止まった時に引き起こされるサプライチェーンリスクの方だ。新型コロナの問題以外にも、台湾有事などキナ臭い匂いが絶えない中国。ここに資金を投下することに懸念を抱く投資家は、おそらくトランプ米政権の時よりも多い。

これは経済の映し鏡である株式市場にも同じことがいえる。中国株市場を海外マネーが回避するのは自然な流れで、“消去法で日本株”という表現は後ろ向きながら、アジアの要衝として日本の相対的地位が上昇しているのは事実のようだ。市場関係者の間では「オイルマネーが断続的に東京市場に流入しているとの観測が強い」(ネット証券マーケットアナリスト)という声が聞かれる。それも力ずくで上値を買い進むことなく、「時価近辺の瀬踏みにしびれを切らして出てきた売り玉を、淡々と拾う老獪(ろうかい)な資金」(同)という。確かに日経平均2万8000円前後は上値こそ重いものの、視線の方向は常に上を向いている印象が強い。ここ最近のプライム市場で売買代金3~4兆円が常態化しているのは、このオイルマネーの流入効果である可能性が高い。ショートポジションを維持している側にすれば、いつどうやって買い戻すか思案に暮れているのが現状ではないか。

年末高の期待が盛り上がれば、それだけ足もとをすくわれる可能性も高まるが、現在は日経平均の騰落レシオ(25日移動平均)が110%台とそれほど過熱した状態にはない。一方、個人投資家の体感温度を表す信用評価損益率は、国内ネット証券大手の直近データ(前日時点)によると全市場でマイナス7.4%とジリジリと改善中。グロース市場は直近IPO人気も加わったこともあり、今年4月以降初めてマイナス20%台を切って同19%台まで改善してきたが、天井感には程遠い局面にある。上値余地はまだ十分に残されている。

そうしたなか、きょうも個別株物色の動きは健在だった。時価総額上位の主力銘柄が軒並み買われる一方、中小型株への投資意欲も旺盛である。直近大きく上昇した銘柄は利食いに押されるケースもみられたが、新たなテーマで買い進まれた銘柄も少なくなかった。新テーマとしては、メダルを使わないスマートパチスロ(スマスロ)が前日から導入開始となったことで、同関連株に思惑買いが向かった。円谷フィールズホールディングス<2767>、ダイコク電機<6430>、SANKYO<6417>などが値を飛ばしている。また、この話には続きがあって、来年3月には出玉に触ることがなくなるスマートパチンコ(スマパチ)が導入される見通し。こちらが本丸だ。いずれにせよ、機種チェンジに伴う市場は膨大で、コロナ対策としての非接触をキーワードに遊技機業界にも政策絡みの追い風が吹いてきた。

このほか、企業の決算発表が終了したことで改めて好業績銘柄の選別が進んでいる。ひと通り買われているようだが、株価3ケタ台の好決算モノに上値の伸びしろを感じさせる銘柄がいくつかある。中古車輸出のアップルインターナショナル<2788>、ビッグデータ活用のマーケット支援を行うホットリンク<3680>、半導体商社の栄電子<7567>などはいずれも500円未満で値ごろ感もあり、マークしておきたい。

あすのスケジュールでは、東京市場は勤労感謝の日の祝日に伴い休場となる。海外ではニュージーランド中銀の政策金利発表、11月の仏製造業PMI、11月の独製造業PMI、11月のユーロ圏製造業PMI(いずれも速報値)のほか、11月の米製造業PMI速報値、11月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、10月の米耐久財受注、10月の米新築住宅販売件数などの発表が予定されている。また、今月1~2日開催分のFOMC議事要旨に市場の関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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