明日の株式相場に向けて=既に消えている年内利下げのカード

市況
2023年1月31日 17時00分

きょう(31日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比106円安の2万7327円と反落。きょうは月末ということで「米年金系資金のリバランスの売りが上値を押さえる要因となっている」(ネット証券マーケットアナリスト)という。日経平均は朝方の買いが一巡した後は下値を徐々に切り下げる動きを余儀なくされたが、それは全体相場観とは直接関係がないポジション調整の動きが五月雨的に出た影響が大きいとみられる。

逆に名実ともに2月相場入りとなる明日は、月初で投信経由の機械的な買いが入ってくる公算が大きく、相場には浮揚力が働きやすくなる。しかし、なんといってもこれからFOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見、更にメタ・プラットフォームズ<META>、アップル<AAPL>、アルファベット<GOOGL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>などGAFAMの決算発表が相次ぐ。前方視界不良のなか敢えて見切り発車する必要性には乏しいタイミングともいえる。

マクロに話を戻すが、IMFの世界経済見通しは23年の実質成長率の予測を2.9%と前回見通しから0.2%上方修正した。中国の経済再開の影響が大きいという。ただ、きょうのマーケットはアジア株市場を含め、これを好感するような動きはなかった。中国需要復活は諸刃の剣となる部分もある。原油市況や非鉄市況が上昇し、これがインフレ懸念を再び呼び覚ます可能性もある。FRBは少なくとも年内利下げのカードは持ち合わせていないと考えられる。

見えにくい相場が続いているとはいえ、あくまで目の前に霧がかかっている状況であって、遠方に目を向ければいろいろと見えてくるはず。決算絡みではない有望テーマ株(中国インバウンド、子育て、防衛など)の押し目を黙って拾っておくというのも手だ。ただし、なかなかこの時期は遠くを見つめて物色対象を探すという感じではなく、それならいっそのこと“休むも相場”を決め込んだ方がよいというトレーダーも少なくないようだ。

一方、短期で結果を出そうとすれば、それはもう決算絡みのトレードしか選択肢がない。個別企業の決算内容を見て上に行くのか下に行くのかという相場だ。市場関係者いわく「これ(決算プレー)は個人投資家の土俵。マクロの動きをあまり気にせず、外部環境に邪魔されずにミクロの勝負に徹して白黒がつくという点ではある意味合理的ともいえる」(中堅証券ストラテジスト)という指摘がある。だが、商いが活発な流動性の高い銘柄ほどAIアルゴリズムが絡んでバイアスがかかるケースが多い。理屈を超えたAIの一挙一動までイメージするのはなかなか難しい。

NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570>(=日経レバ)の委託保証金比率が1月10日から2倍に引き上げられたことで、売買代金が明らかに減少しており、その分だけ決算絡みのトレードに短期筋の個人の資金が流れているということはいえるようだ。大型だから重い、あるいは小型だから軽いというものでもない。レーザーテック<6920>のボラティリティの高さは周知の通りだが、他にも決算を境に個人投資家の参戦が活発化した銘柄も多いとみられる。信越化学工業<4063>はきょうは全体地合いに押され小安い展開となったが、前日まで6連騰を記録。同社株の時価総額は7兆7000億円強で全上場企業の中で11位にランクされているが、年初からの波動をみれば分かるように、マドをいくつも開けて風に舞い上がるようなチャートを形成している。日経レバ・フリークの投資家は、流動性が高く値動きも大きいこうした銘柄に決算期限定で参加しているフシもある。

あすのスケジュールでは、1月の新車販売台数、1月の軽自動車販売台数など。海外では1月の財新中国製造業PMI、22年10~12月期香港域内GDP(速報値)、12月のユーロ圏失業率、1月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、ブラジル中銀の政策金利発表、1月のADP全米雇用リポート、1月の米ISM製造業景況感指数、12月の米建設支出のほか、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見に耳目が集まる。なお、マレーシア市場は休場。国内主要企業の決算発表では住友化学<4005>、日立製作所<6501>、キーエンス<6861>、京セラ<6971>、野村ホールディングス<8604>などが予定される。海外主要企業ではメタ・プラットフォームズ<META>の決算発表が注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2023年01月31日 17時10分

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