大塚竜太氏【疑心暗鬼の東京市場、春相場の展望を読む】(2) <相場観特集>
―往ったり来たりが続く日経平均、欧米発の金融不安とどう向き合うか―
週明け20日の東京株式市場は日経平均株価が大幅反落した。朝方は高い場面もあったが上値は重く、結局下値を探る展開を強いられた。前週末の欧米株市場は全面安商状に売られたものの、その後にクレディ・スイス<CS>をUBS<UBS>が買収し合併することで合意したことが発表され、これを背景に朝方は強さを発揮したが買いは続かなかった。引き続き投資家の不安心理は解消されておらず、日経平均は神経質な値動きを強いられている。ここからの相場展望を第一線で活躍する市場関係者2人に聞いた。
●「下押す場面は押し目買いチャンスに」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
米銀が相次いで破綻したものの、それは個別の問題で連鎖性には乏しく、また欧州ではクレディ・スイスの経営不安も取り沙汰されたが、これもUBSによる買収でケリがついたとみてよい。今後も体力の弱い金融機関の経営不安説が浮上してきたとしても、それはあくまで局地的なものであり、金融市場の動揺を各国政府や中央銀行が抑える方針を明示するなか、全体リスクにはつながらないとみている。FRBやECBなど中央銀行の急速な金融引き締めによるデメリットがここにきて顕在化しているとはいっても、それはすべての金融機関に逆風になっているわけではないのだ。
目先は先物主導で下値を試しているが、個別にスポットライトを当てれば株価を形成する基本的な要素である企業のファンダメンタルズは割安感が強く、思惑先行で売られる現状は押し目買いのチャンスとなっている。ここは強気に買い下がって報われるだろう。今週のFOMCは目先の要注目イベントではあるが、既に0.25%の利上げが有力視され、マーケットへのマイナス影響は及びにくいと思われる。会合後のパウエルFRB議長の記者会見でも、金融市場を考慮してそれほどタカ派的な発言を行うとも思えず、FOMC通過後に日米欧の株価は上昇トレンドが明確になろう。向こう1ヵ月の日経平均のレンジは下値が前週3月16日につけた安値である2万6600円どころ。上値は前々週9日につけた2万8700円近辺が当面の戻りラインと考えている。
投資戦略としては、まずセクターで見た場合は三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]などの大手銀行株。目先売られ過ぎと言ってよく、今後は大幅なリバウンドが期待できそうだ。このほか、個別ではインド関連のスズキ <7269> [東証P]をマークしてみたい。また、総合商社大手の三菱商事 <8058> [東証P]はPERやPBR、配当利回りといった株価指標面から割安感が強く、売り一巡感の出た時価近辺は狙い目といえる。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
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