明日の株式相場に向けて=「SQ週・魔の水曜日」の売り仕掛け

市況
2023年6月7日 17時00分

きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比593円安の3万1913円と大幅反落。きょうの東京市場は久々に大荒れ模様となった。ここ最近は順風満帆で33年ぶりの高値圏を快走する日経平均だったが、楽観ムードにいったん待ったがかかった格好だ。前日までの4連騰で1600円以上も水準を切り上げていただけに、目先高値警戒感も意識されるところで、きょうはその思惑が地合いに反映された。

もっとも、きょうは高値警戒感を売り方が力ずくで相場に反映させた、と言うほうが当を得ているかもしれない。最近のあまりにも強過ぎる相場で忘れられがちだが、今週末9日にメジャーSQ算出を控え、きょうは「SQ週の魔の水曜日」にあたる。カレンダー的には先物主導の売り仕掛けが誘発されやすく、その思惑通り日経平均は急落。それも売りと買いのせめぎ合いで、大蛇がのたうつような乱高下をみせた。 

市場では「為替の円高が急速に進むわけでもなく、アジア株市場が総じて底堅い値動きを維持し、米株価指数先物が売られるわけでもない状況下にあって、この下げ自体に大きな意味はない」(ネット証券マーケットアナリスト)という声が聞かれた。SQをにらんだ株式需給面からの揺さぶりだが、「ここでの売り方の仕掛けは後で踏み上げ相場の土台になるのでは」(同)という。日経平均が600円近い急落で安値引けとなっても、プライム市場の値下がり銘柄数は7割弱にとどまり、相対的には中小型株が強さを発揮した。中小型株の短期売買を主軸とする個人投資家にすれば、日経平均が糸の切れた凧のような状態から解放された方が参戦しやすくなる面もありそうだ。

直近では、個人投資家の体感温度の上昇を示唆するデータがある。前日時点のネット証券大手の店内では、旧マザーズ銘柄の信用評価損益率がマイナス18.4%と改善傾向を強めている。ひところはマイナス20%を大きく下回っており、追い証の多発が警戒されるところだったが、現状の投資家マインドはそこまで冷え込んでいない。ちなみに全市場ベースではマイナス5.5%で、こちらは過熱気味ではあるが天井圏を暗示する数値ではない。ひところ、金利の低位安定と好調な景気が併走する、ちょうど良い湯加減の「ゴルディロックス相場」がメディアで囃(はや)されたことがあるが、今の新興系銘柄はそのちょうど良いゴルディロックスの状態に近づきつつあるかもしれない。

きょうは 半導体関連が大きく売られた。押し目らしい押し目を形成してこなかったアドバンテスト<6857>やソシオネクスト<6526>がようやく深押しといってよい下げをみせたが、市場筋によると下値では国内機関投資家と見られる大口買いが観測されていたもようだ。半導体関連は短期的には行き過ぎに買われていた面もあるが、果たしてどうか。アドテストがきょうの陰線をつけた段階で、個人レベルで買い向かうのはかなりの勇気がいるのは事実だが、ファンド運用者の立場ではパフォーマンスがインデックスに負ける恐怖の方が大きく、天恵に浴する気分で押し目買いを入れている可能性もある。

一方、人工知能(AI)関連の中小型株はインデックス売りの洗礼を受けにくく、波乱含みの地合いにあって我が道を行く上昇パフォーマンスを見せつける銘柄も少なくなかった。ヘッドウォータース<4011>の強さが異彩を放っている。また、ブレインパッド<3655>はここにきて調整を強いられたが、出遅れ気味に動き出したFRONTEO<2158>は会社側のIRリリースもあり逆行高。更に、ユーザーローカル<3984>やAI CROSS<4476>が強烈な上げ足をみせ、AI関連では穴株に位置付けられるCIJ<4826>がストップ高を演じた。ホワイトカラー業務のAI代替ニーズが本格化するなか、RPAホールディングス<6572>も満を持して値を飛ばした。このほか、出遅れている好成長株としてマークしてみたいのは、AIソリューションをはじめ売り上げ全てにAIが絡むエッジテクノロジー<4268>。1000円未満の株価は好仕込み場に見える。

あすのスケジュールでは、1~3月期国内GDP(改定値)、4月の国際収支統計、5月の景気ウォッチャー調査、5月のオフィス空室率、東京おもちゃショー2023(~11日)など。また、6カ月物国庫短期証券の入札も予定される。海外では4月の豪貿易収支、インド準備銀行(中銀)の政策金利発表、週間の米新規失業保険申請件数など。なお、ブラジル市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2023年06月07日 17時16分

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