明日の株式相場に向けて=新NISAで買うAI関連株の勝算
週明け19日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比16円安の3万8470円と3日ぶり反落。反落とはいっても下げ幅はわずかで、TOPIXにおいてはほぼ終日プラス圏で推移。それもそのはず値上がり銘柄数は1200を超え全体の75%を占めた。
日経平均株価は値がさの半導体関連によって支配されている要素が大きい。構成比率で1位はファーストリテイリング<9983>だが、2位が東京エレクトロン<8035>、3位がアドバンテスト<6857>と半導体製造装置の主力銘柄が並び、4位が英アームホールディングス<ARM>を傘下に置くソフトバンクグループ<9984>、5位が半導体シリコンウエハー世界首位の信越化学工業<4063>である。きょうはソフトバンクGこそ高かったが、他の銘柄は売りに押された。今週21日のエヌビディア<NVDA>の決算発表を控え様子見ムードが広がり、同じく日経225採用のSCREENホールディングス<7735>や、非採用銘柄ながらディスコ<6146>やソシオネクスト<6526>なども値を下げている。しかし、体感的にはきょうは強調相場そのものであった。
日経平均はようやく1989年の大納会につけた史上最高値3万8915円の奪回がカウントダウンの段階に入った。ようやくというのは、34年2カ月という月日に対しての形容であって、年初からの2カ月間でみれば想定不能の超スピードでの上昇パフォーマンスといってよい。前週にも触れたが、NYダウの89年末は2753ドルであった。直近つけた最高値が3万8797ドルであるからちょうど14倍の変貌を遂げた。
しかし、もっと驚くべきはナスダック総合株価指数だ。厳密には指数の連動性が維持されているとは言えないものの、同指数は89年末に454という低水準にあった。足もとで21年11月の最高値1万6057には届いていないが、ざっくり1万6000で換算して35倍強という驚異的な変化率である。この間にGAFAM、そしてマグニフィセント・セブンが輩出され、米経済の繁栄を象徴した。残念ながら、その間に日本株市場は企業のダイナミズムが完全に封殺されたデフレの暗いトンネルを走り続けていた。その意味で日経平均が最高値を更新したとしても感慨に浸っている場合ではなく、そこを新たな起点に米国の背中を追いかけていくという気概が、企業そして政治に必要となる。
一方、プライム市場の陰に隠れ年初から900前後で延々ともみ合いをつづけていたグロース市場指数だったが、ここに来てにわかに上放れる動きをみせており、個人投資家にとってはむしろこれから書き入れ時の相場環境となる可能性がある。先物主導でインデックス買いの影響を受けやすい主力大型株は、上げ潮に乗れればそれに越したことはないが、躊躇しているうちに値が飛んで手が出しにくくなる。「デフレ経済下の相場環境で培われた慎重さが裏目に出て、今回のような怒涛の大型株相場でチャンスを逸した投資家は多い」(中堅証券ストラテジスト)という。しかし、これまでは圧倒的に出遅れているグロース市場の底値株に手を出しても音沙汰無しというケースで個人投資家の失望を誘っていたが、久しぶりにリターンリバーサル狙いで日の目を見る場面が訪れようとしている。
グロース市場に限らず中小型成長株は時価総額が小さいだけに長期保有で夢を内包している。本来、新NISAの成長投資枠で買う個別株は、近視眼的に高配当銘柄を買うより、リスクはあってもキャピタルゲインを追求できる銘柄群に照準を合わせる方が、邪道どころかむしろ王道に近いといってもよい。しかも、今は人工知能(AI)という一大テーマが輝きを放っている。AI関連の範疇に位置する銘柄で改めてチェックしておきたいものでは、AI・ビッグデータサービスに傾注する共同ピーアール<2436>、AI実装を支援するエッジテクノロジー<4268>、 生成AI分野への積極姿勢を標榜するサイオス<3744>、産学連携で生成AI研究を進めるニーズウェル<3992>、エッジAIサービスで先駆するニューラルグループ<4056>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、午前中に20年物国債の入札が行われ、午後取引時間中には1月の首都圏マンション販売、1月の主要コンビニエンスストア売上高が開示される。また、海外では豪中銀が2月開催分の理事会の議事要旨を発表するほか、中国最優遇貸出金利、1月の米景気先行指標総合指数などに耳目が集まる。また、この日は米国でホーム・デポ<HD>とウォルマート<WMT>の決算発表が予定されている。(銀)