大谷正之氏【史上最高値を前に一服局面、ここからの展望を読む】(2) <相場観特集>
―カギを握る半導体関連、日経平均の青空圏突入はいつか?―
19日の東京株式市場は主力ハイテク株に利益確定の動きが表面化し、日経平均株価は3万8000円台前半で売り物をこなす展開となった。1989年の年末につけた史上最高値3万8915円の奪回が目前に迫るなか、マーケットは高揚感に包まれているが、足もとでは短期的な株価急上昇に伴う過熱感も拭えない。これまで日米ともに半導体関連が全体相場の牽引役を担ってきたが、ここからの展望はどうか。ベテラン市場関係者2人に日経平均の今後の動向と物色の方向性について意見を聞いた。
●「春先にかけ4万円視野も、期末接近で配当権利取りにも注目」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
日経平均株価は遠からず1989年12月の最高値(3万8915円)は更新するとみている。今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは、上値は4万円前後、下値は3万7500円程度を想定している。
先月下旬から発表された決算で企業業績の堅調さは確認された。この好業績を評価する動きは来月にかけ続きそうだ。バブル期の89年当時と現在の比較は、あまり意味がないと思うが、足もとの日本株は海外株に比べて割安感があるだろう。また、デフレからインフレの局面に移り、日本は長年の停滞を脱し成長局面に入りつつあることが評価されているのだと思う。
目先的な焦点は21日に予定されている米半導体大手、エヌビディア<NVDA>の決算だ。その結果が期待を上回るようなら、 半導体関連株が主導し高値を更新していくだろう。一方、逆に予想に達しなかった場合、いったん半導体関連株は調整に入り、高配当利回り銘柄など低バリュエーション銘柄が再評価される流れとなりそうだ。
個別銘柄では、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]など銀行株や三菱商事 <8058> [東証P]など大手商社株には割安感があり投資妙味があるとみている。また、機械株にも再評価余地がある。中国動向が警戒されてきたが、来期以降の回復を視野に入れれば、コマツ <6301> [東証P]やダイフク <6383> [東証P]、ファナック <6954> [東証P]なども面白そうだ。
東京エレクトロン <8035> [東証P]やレーザーテック <6920> [東証P]など半導体関連株は、前述のように目先はエヌビディアの決算に左右されるが、たとえ調整があっても成長性が評価され再び戻り歩調となるだろう。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
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