【村瀬智一が斬る!深層マーケット】リスク回避により内需系、バリュー株にシフト
リスク回避により内需系、バリュー株にシフト
●イレギュラー的な下落、中東情勢を見極めへ
週末19日の日経平均株価は急落した。下落幅は一時1300円を超え、3万6733円まで売られる場面も見られた。米国の利下げ開始の後ずれが警戒されるなか、この日は中東情勢の緊迫化への懸念が高まりリスク回避姿勢を強めた。イスラエルがイランに対して報復攻撃に踏み切ったと報じられており、詳細は現段階では不明ながら核設備など重要施設を対象にした攻撃ならば、紛争拡大への警戒が一段と広がり、積極的な売買を手控えさせよう。
週末の急落については、来週後半から決算発表が本格化に向かうなかで市場参加者が限られていたこともあり、より先物主導によるインデックス売りの影響を受けた形である。イレギュラー的な下落であり、いずれ修正の動きはあろうが、しばらくは中東情勢の動向を見極めていくことになりそうだ。物色の流れとしては、決算内容を見極めたうえでの日替わり的な流れとなろう。また、リスク回避の観点から内需系やバリュー株に矛先が向かいそうである。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆住友金属鉱山 <5713> [東証P]
ニッケル、金(ゴールド)、銀、銅など主要非鉄の製錬を手掛ける。同社が開発する鹿児島県北部に位置する菱刈鉱山は、高品位の金を安定的に産出する国内唯一の金山として知られる。中東情勢の緊迫化を背景に安全資産である金に関心が集まりやすく、関連銘柄として注目される。株価は4月15日に付けた5479円をピークに調整を見せているが、上向きで推移する25日移動平均線(19日時点4860円)がサポートラインとして機能しており、押し目狙いのスタンスに向かわせそうだ。
◆日本特殊陶業 <5334> [東証P]
点火プラグなど自動車部品の製造販売が主力。同社はセラミックス技術を活用し、 パワー半導体に用いるセラミックス基板の生産を検討している。動力源の電動化に伴い、電気制御を担い、優れた省エネ性能を発揮するパワー半導体は電気自動車(EV)に必須のキーデバイスとして重要性を増しており成長期待は高い。また、全固体電池など次世代電池の材料開発を進めていることも注目ポイント。株価は4月12日に付けた上場来高値5362円をピークに調整しているが、サポートラインとして機能する25日線(同5023円)水準に差し掛かり、リバウンドを見せるかに注目したい。
◆アシックス <7936> [東証P]
スポーツウエアやスポーツ用具の製造販売を展開。4月17日、パリ五輪・パラリンピックで日本選手団が表彰式などで着用する同社製の公式ウエアが発表された。パリ五輪開幕まで100日を切り、スポーツへの関心の高まりとともに、関連製品やシューズなどの需要も伸びそうだ。株価は4月8日に付けた上場来高値7360円をピークに下落に転じ、足もとでは25日線を下回ってきた。ただし、サポートラインとして意識される13週線(同6183円)に接近しており、リバウンド狙いのタイミングに入ってきたと考えられる。
◆東洋水産 <2875> [東証P]
総合食品メーカー。即席麺を主力にチルド麺などの低温食品、米飯などの加工食品や水産食品、冷蔵事業を手掛ける。足もとは海外で「MARUCHAN」シリーズなど即席麺の販売が好調。また、国内では酒のつまみや主菜、副菜としても手軽に味わえる水産冷凍食品「ChoiFish(ちょいふぃっしゅ)」シリーズが順調のようだ。株価は3月25日に付けた上場来高値9909円をピークに8800円~9700円のゾーンで膠着をみせるが、上向きで推移する13週線(同8772円)がサポートラインとして機能しており、同線に接近する局面は押し目狙いのタイミングとなる。
◆双日 <2768> [東証P]
総合商社の一角。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ<BRK.B>は4月18日、円建て社債の発行条件を決定。発行総額は2633億円と同社の円債として2019年に次ぐ規模であり、商社株など日本株への追加投資を期待する声が市場では高まっている。株価は3月27日に付けた上場来高値4122円をピークに調整に転じたが、75日線(同3733円)水準まで下げてきたことで、リバウンド狙いのスタンスで臨みたい。
(2024年4月19日 記)
株探ニュース