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明日の株式相場に向けて=AI・半導体株波乱、逆転の投資術は

市況
2026年6月29日 17時30分

きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比107円高の6万9468円と反発。キオクシアホールディングス<285A>を筆頭に、年初から無双と思われたAI半導体関連株にリスクオフの高波が襲ってきた。日経平均に視点を合わせると、大時化(おおしけ)の状態は収まりつつあるようにも見えるが、前方視界不良であることに変わりはない。羅針盤を失った状態で濃霧の海原を航海するがごとき難儀な相場が続いている。

ただし、テクニカル的には一筋の光明が射す。それは、4月新年度入り以降、怒涛の上げ潮相場で日経平均の黄金支持ラインとなっていた25日移動平均線との上方カイ離がほぼ解消されたこと。仮にここを下抜けたとしても過去の経験則から時間軸的にリバウンドは近い。東京市場は米国はもちろん韓国や台湾市場とも連動しており一概には言えないが、売り方としてはこれ以上、不安を煽って日経平均を削るのは難しいと考えても不思議はない。

今の相場とどう対峙するかだが、考え方は何通りかある。まず、単刀直入にキオクシアなどド真ん中銘柄の突っ込み買い。例えばHBM(高帯域幅メモリー)の王者SKハイニックス<SKHY>やサムスン電子との時価総額の差を考えると、NANDフラッシュ専業ながら、バーゲンハンティング目線でキオクシアの組み入れをもう少し高めたいと考える海外投資家は少なくないはずである。日経平均よりもわずかに早く25日線と接触した同社株の切り返しの機をうまく捉えられるのなら、それに越したことはない。

一方、今回はキオクシアに限らずAI・半導体セクターのインフラ部門を担当する銘柄群、いわゆる「AI関連のツルハシ銘柄」であってもハイピッチで買われた反動はいかんともし難く、ドラスチックな下げに見舞われるケースが相次いだ。一極集中で投資ターゲットを絞るのはやはりリスクが大きいという反省も含め、ソフトウェア関連株への資金還流を意識しておく。前週末の米国株市場ではセールスフォース<CRM>が5.4%高と急反発、ようやく下げ止まった感触がある。同社株はチャート的に問答無用の下げが続いたが、時価は2022年の年末以来6年半ぶりの安値圏だ。ポストコロナ後の全体相場の時価総額の膨張を考えると、過去最高水準の業績を叩き出しながら株価が完全なる往って来いとなった同社株は「逆バブル」に遭遇したと言ってよいかもしれない。現時点でアンソロピックの幻影にそこまで恐怖する蓋然性があったのか。そしてこの疑念は、その他のSaaS型モデルのソフトウェア関連株の一角も該当しそうだ。

きょうの東京市場では、この「セールスフォース・エフェクト」が機能し、AI関連のツルハシ関連「じゃない方」の銘柄に幅広くリバウンド狙いの資金が誘導された。代表格はNEC<6701>ということになるが、もう少し小回りの利く銘柄で探していくと、プライム市場ではAppier Group<4180>やSansan<4443>が値上がり率上位に食い込んだ。このほか、サイバー防衛の急先鋒であるFFRIセキュリティ<3692>や、網屋<4258>などが買われたほか、グローバルセキュリティエキスパート<4417>は急騰を演じ年初来高値を更新した。そのなか、ソフトウェア関連で株価3ケタ台の銘柄に着目。TDCソフト<4687>やクロスキャット<2307>などは業績も好調であり、今はまだノーマークに近いが、週足で見た場合に逆張りならここを買わずしてというポジションにある。

そしてもう一つは、大局的な見地でバリュー株シフトも念頭に置く。大々的なセクターローテーションまでは行かなくとも、中長期で寝かせておく算段で、それなりのインカムゲイン期待(配当狙い)が持てる銘柄を拾うのは有効な手段である。例を挙げれば配当利回りが4.4%超の日本製鉄<5401>は500円台の押し目を分散して買い溜めておけば、中長期的視野で裏切られる可能性は低そうだ。売上高ベースでは過去最高水準が続く見通しながらPBRは0.5倍である。USスチール合併効果に伴う利益面への反映も遠からず訪れるはずで、爆発的なリターンは難しいが安心感がある。また、これと業態は違うが、日本の製造業の盟主であるトヨタ自動車<7203>も底値買いチャンスと見ておきたい。AI・半導体の超新星キオクシアに時価総額を抜き去られたが、こういう場面は得てして買い場を示唆する。トヨタは圧倒的な売上高規模と歴史によって積み上げられたその経営基盤に明らかな瑕疵が生じたわけでもなく、現在の解散価値を2割も下回るPBR0.8倍は滅多にないイレギュラーな株価と判断される。目先的にも1ドル=161円台のドル高・円安は、今期想定為替レートが150円の同社にとって、強風注意報レベルのフォローウインドである。あとは、中長期的な日銀利上げシナリオを拠りどころに三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などメガバンク各社。ここでも25日線とのカイ離解消場面は買い出動のチャンスといえそうだ。

あすのスケジュールでは、5月の失業率、5月の有効求人倍率、5月の鉱工業生産指数(速報値)がいずれも朝方取引前に開示されるほか、前場取引時間中に2年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には5月の建機出荷、5月の自動車輸出実績のほか、5月の住宅着工統計が注目される。この日は東証グロース市場にネイス<589A>が新規上場する。海外では6月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、6月の中国非製造業PMIのほか、米国で重要指標の発表が相次ぐ。6月の米消費者信頼感指数、6月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)に加え、5月の米雇用動態調査(JOLTS)に対する市場の関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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