プラチナは下げ一服、米利上げ観測後退もイラン封鎖強化の影響を注視 <コモディティ特集>
プラチナ(白金)のドル建て現物相場は、米国とイランのホルムズ海峡開放に向けた協議に進展が見られないなか、もみ合いとなった。ただ、米雇用統計が予想外に弱い内容になったことで米連邦準備理事会(FRB)の9月利上げ観測が後退し、6月17日以来の高値1796ドル台をつけた。
イランはホルムズ海峡の管理方法について、オマーンと船舶の安全な通航を確保するための取り決めを協議している。イランのアラグチ外相は、協議が近いうちにまとまる可能性を示したが、合意してもホルムズ海峡の再開にはつながらないと発言した。イランの最高安全保障委員会(SNSC)のレザイ事務局長は、米国が戦闘終結に向けたイランの条件を受け入れない限り、海峡封鎖は解除されないと述べた。
一方、トランプ米大統領はオマーンが邪魔をすれば爆撃すると警告した。米政権はイランに対する空爆の継続から経済封鎖を強化する方針に転換しており、今週中に追加措置を発表する見通しである。ホルムズ海峡開放に時間がかかると、原油高がプラチナの上値を抑える要因になるとみられる。
更に、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海封鎖を宣言し、サウジアラビアを攻撃した。イラクの武装組織もサウジアラビアを攻撃しており、米軍が中東の安全を確保できるかどうかも当面の焦点である。
●米FRBの9月金利据え置きの見方が強まる
7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では9対3で金利据え置きを決定した。ただ、米FOMC声明で「インフレ率は委員会が目標とする2%に比べて依然、高い水準にある」と述べられ、9月利上げの可能性が高まった。しかし、7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比2万3000人減と事前予想に反して5ヵ月ぶりに減少に転じ、利上げ観測が後退した。また、7月の米消費者物価指数(CPI)が前年比3.4%上昇と前月の3.5%上昇から小幅鈍化、米生産者物価指数(PPI)も同4.7%上昇と前月の5.5%上昇から伸びが鈍化し、事前予想の4.9%上昇も下回った。これを受けてCMEのフェドウォッチで9月の金利据え置きの確率は65.0%(前月42.2%)に上昇した。また、トランプ米大統領はイラン経済封鎖強化で米国民にガソリン高を受け入れるように述べており、12月利上げの可能性も残っている。
●米国と南アのプラチナETFに投資資金が戻る
プラチナETF(上場投信)残高は8月17日の米国で36.40トン(6月末35.21トン)、14日の英国で9.78トン(同9.98トン)、南アフリカで4.80トン(同4.63トン)となった。6月下旬からのレンジ相場を上放れ、テクニカル面で改善したことを受け、米国と南アで投資資金が戻った。ただ、ホルムズ海峡開放に進展が見られず、世界経済の先行き不透明感が残ることが上値を抑える要因である。
一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月11日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3540枚(前週1万4761枚)に縮小した。前週は6月30日以来の高水準となったが、戻り売りが出たことで買い越しが縮小した。ただ、レンジを切り上げており、安値付近では買い戻しが入るとみられる。
(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)
株探ニュース