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「接客不要」が新常識に!「セルフ経済圏」関連株に照準 <株探トップ特集>

特集
2026年8月18日 19時30分

―セルフ化投資は生き残りをかけた重要な投資、裏で支えるシステム提供企業などに商機―

一時期ほどは話題に上らなくなったが人手不足、特に日本のサービス業や飲食業などにおける人手不足の実態はむしろ深刻化している。帝国データバンク(東京都港区)が今年5月に発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」によると、正社員の人手不足を感じている企業の割合は、26年4月時点で50.6%、非正社員では28.3%となり、正社員は前年同月から0.8ポイント改善、非正社員も同1.7ポイント低下した。ただ、こうした不足率の改善は人手不足が解消した結果ではなく、企業側が採用を抑制した結果に過ぎないとの見方もある。採用難や賃金上昇圧力を背景に、企業が人員確保を諦め、事業規模を縮小したことで見かけ上、不足率が改善している構図だ。

こうしたなか、人手不足が深刻な業態で広がっているのが「セルフ業態」だ。セルフジムや不動産のセルフ内覧など「セルフ化」の波が以前にも増して打ち寄せており、関連する企業のビジネスチャンスも広がっている。

●拡大するセルフ○○

近年、急速に広がりをみせている業態に無人カフェがある。ドリンクを1杯注文すれば何時間でも利用でき、電源やWi-Fiなどネット環境も整備されているのが特徴で、その大手であるウッドデザインパーク(名古屋市緑区)の「セルフカフェ」は22年に1号店をオープンし、現在では全国に60店舗以上を展開するまでになった。

また、24時間無人の花屋や古着屋の増加や、セルフエステなどさまざまなセルフサービスも利用できるRIZAPグループ <2928> [札証A]のコンビニジム「chocoZAP」の急拡大をはじめ、セルフ方式を取り入れる飲食店やサービス業は増加している。自分の好きな花を選んで自らラッピングする「セルフ花屋」や、自動販売機またはスマートフォンアプリで食券を購入し配膳や片づけを自分で行う「セルフフレンチ」、自分でポーズを考えてシャッターを押す「セルフ写真館」などが話題となっている。

●消費者側からも求められるセルフ方式

例えばセルフ方式の飲食店は以前からも存在したが、その目的は「いかに安く売るか」だった。しかし、最近では「店員に話しかけられず、自分のペースで選びたい/支払いを済ませたい」「スマホだけで終わらせたい」といった「接客ストレスからの解放」や「タイパ(タイムパフォーマンス:時間対効果)」という快適な体験価値を求めて消費者があえて「セルフ」を選ぶようになっている。セルフ注文端末やキャッシュレス精算機を導入した店舗では、人件費の削減などの業務効率化につながるだけではなく、対面では躊躇しがちなトッピングやサイドメニューの注文が増えることで、客単価が2~3割上がるケースも見られるという。

人手不足への防衛策として始まったセルフ化だが、結果として企業の利益率を押し上げることにつながっており、店舗側にとってもセルフ化はもはや「選択肢の一つ」ではなく「生き残りをかけた重要な投資」となりつつある。

●「セルフ○○」増でストック収入が積み上がる

ここで問題となるのが、セルフ化に伴う投資額の大きさだ。大手外食チェーンなどであれば、キャッシュレス決済システムやモバイルオーダーシステム、更に配膳ロボットなどを自社で開発することが可能だ。しかし、高度なシステムをイチから開発する体力のない個人店や中小事業者がセルフ店舗を開業・維持するためには、既存の企業が提供するそれらのシステムを購入・導入する必要がある。

システムを提供する企業の多くは、機器の販売・レンタルやサブスクリプション方式により、システム提供などを行っている。そのため街に「セルフ○○」が1店舗増える度に、それらを裏で支えるシステム提供企業にストック収入が着実に積み上がる構図になっている。

そこで今回は、こうした「セルフ経済圏」の拡大に乗る銘柄に注目してみた。

●セルフ経済圏の関連銘柄

トライアルホールディングス <141A> [東証G]は、昨年7月にスーパーの「西友」を買収したことで全国的に名が知られるようになったが、主力は九州を地盤とする郊外大型ディスカウント店であり、更に祖業はIT企業。自社でスマートショッピングカート(レジカート)「スキップカート」を開発したほか、AIカメラを利用した自動値下げや顔認証による決済などを導入した次世代型スーパー「トライアルGO」を展開。「スキップカート」をはじめとする独自の小売DXシステムを他社へ外販する動きもあり、関連銘柄の代表格といえる。

HOUSEI <5035> [東証G]は、AI顔認証ソリューションなどを展開しており、 顔認証を活用したドア開錠システムや予約システム、決済システムなどを組み合わせた無人店舗ソリューションを提供している。同社のシステムを導入する三洋堂ホールディングス <3058> [東証S]子会社の三洋堂書店では、24年4月にスマート無人営業を開始し、7月末時点で全66店舗のうち37店舗で無人営業化を実現している。三洋堂書店では無人営業により人件費の削減につながったのはもちろん、24時間営業による夜間売り上げの増加にもつながっているとしており、更に無人営業化を進める方針だ。

東芝テック <6588> [東証P]は、言わずと知れたPOSレジ国内最大手。単なるレジのセルフ化だけにとどまらず、飲食店向けのモバイルオーダーシステムやデジタル接客サービスなどを手掛けている。リアル店舗の省人化・セルフ化を包括的に支援するソリューションを市場に投入している。

アスタリスク <6522> [東証G]は、モバイル機器に装着して使用するバーコード/RFIDリーダー「AsReader」や、画像認識技術を活用した管理システムの開発・販売が主な事業。今年6月には、顧客が買い物カゴやカートをレジに置くだけで複数商品を同時に読み取り、会計を行うスーパーマーケット向け「全商品 RFID化ソリューション」の本格展開を開始すると発表しており、今後の進捗が注目されている。

セキュア <4264> [東証G]は、監視カメラシステムや顔認証・入退室管理システムなどを展開。20年にはAIによるレジレス・無人決済店舗「SECURE AI STORE LAB」を実用化した。今年4月には、JR東日本 <9020> [東証P]グループとサインポスト <3996> [東証S]の合弁会社でAIカメラや重量センサーを活用した無人決済店舗「SENSE」シリーズや、無人オーダー決済端末「MONSTAR(セルフレジ)」などのサービスを展開するTOUCH TO GOを子会社化しており、無人店舗への注力を強めている。

●小売以外のセルフ○○にも注目

また、最近増えている「セルフ内覧」に関連した銘柄も紹介したい。セルフ内覧とは、不動産会社の営業スタッフが同行せずに自分だけで物件に行き、内覧ができる仕組みのことで、内覧の機会損失の解消などに貢献している。

スマサポ <9342> [東証G]は、スマホを利用して、賃貸物件内覧時や施設などの鍵の貸し借りの手間を解決する鍵管理システム「スマサポ内覧サービス」を運営している。予約から内覧履歴のデータ化までを行うことで不動産会社のDX化に貢献している。

ミガロホールディングス <5535> [東証P]は子会社がマンション向けに顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」を展開しており、両手が塞がっていても鍵を持たずに出入りできる利便性と顔認証による高いセキュリティーを提供。セルフ内覧などにも利用されている。

Photosynth <4379> [東証G]はクラウドを活用した後付け型スマートロック「Akerun」を展開。また、子会社が住宅向けに特化したスマートロック「Akerun.Mキーレス賃貸システム」を展開しており、セルフ内覧にも利用されている。

このほか、スマホの写真にはない質感が人気のセルフ写真館を展開するプラザホールディングス <7502> [東証S]、子会社がさまざまな宿泊施設向けセルフチェックイン機を展開するU-NEXT HOLDINGS <9418> [東証P]などにも注目したい。

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