明日の株式相場に向けて=「AIゴールドラッシュ」の次に来る波
きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比438円高の6万3923円と4日ぶりに反発。引け際一段高で高値引けと気を吐いた。もっとも売りと買いがぶつかり合って買い方が押し切ったというようなイメージには程遠い。売買代金をみても市場参加者は限られており、ショート筋の買い戻しが機能したのが実態と思われる。
世界的な長期金利の上昇が株式市場の重荷となっていることは間違いないが、とりあえず今週は日米中銀による金融政策決定会合がビッグイベントとして立ちはだかる。まず、日本時間17日未明に判明するFOMCの結果公表とウォーシュFRB議長の記者会見がどうなるか。現状では今週のFOMCにおいて0.25%の利上げは極めて濃厚といえるが、これについてはマーケットもほぼ織り込んでいる。問題は12月のFOMCで利上げの可能性があるのかどうかという点。市場筋の見方では、原油市況の動向を変数として挙げる向きが多い。WTI原油先物価格が1バレル=100ドルを下回るような水準に落ち着けば、年内に2回目のトリガーが引かれる可能性はなさそうだが、もし更に高騰するような事態となれば利上げせざるを得ないという状況に陥るケースが考えられる。そして、何よりもこの原油市況の動向はトランプ米大統領の対イラン政策に左右される要素が大きい。イランに対する強硬姿勢を変えずに、利下げしろとまくし立てるのはあまりに道理に反している。一方、18日の日銀の金融政策決定会合の結果は、FOMC以上に0.25%の利上げが確実視されている。そして、こちらは12月の決定会合で再度利上げを行うという見方が強く、マーケットはここまで織り込みつつあるといえそうだ。利上げのタイミングが従来のコンセンサスであった6カ月間隔から3カ月間隔に切り上がるイメージで、これは来年の金融政策にも反映されそうな気配がある。
株式市場に視点を移すと、個別株物色の流れは以前のような柱が見当たらない状況だ。そのなか、AI関連のツルハシを提供する側はいったん買い尽くしたような印象があるものの、米アンソロピックの10月後半以降の上場が意識されるなか、マイナー(採掘者)サイドに立つ銘柄に視線が向かいやすい。アンソロピック関連ということであれば、これまでの繰り返しになるがNEC<6701>は外せない。業績も好調を極めており、営業利益は26年3月期の40%増益に続き、27年3月期も利益成長トレンドは不変で連続ピーク利益更新が有望視される。防衛予算の拡大が不可避となるなか、国家安全保障の要衝を担う銘柄でもあり、4000円台後半のもみ合いは中期視野で強気に対処して報われる公算が大きい。
もっとも、個人投資家目線ではソフトウェア分野でニッチの強みを有する小型株の方に魅力を感じる向きも多いはずである。ソリューション分野を主戦場にビジネスモデルに独自の強みを有し、足もとの業績も好調な銘柄はチェックしておくところ。いくつか候補を挙げると、例えばホテルなど宿泊施設向けに予約管理システムを展開する手間いらず<2477>は、増収増益路線(過去最高更新基調)をまい進しており、27年6月期もトップライン・利益ともに2ケタ成長が見込まれる。出来高流動性に乏しいが、押し目を分散して買い溜めておく投資作戦が有効だ。
また、次第に肥大化するAI脅威論がマーケットでも改めて物色テーマに発展する可能性がある。セグエグループ<3968>は政府からの案件獲得で実績が高く、まだ株価の値動きのおとなしいうちに着目しておく価値は十分にある。同社の業績変化率の高さは特筆され、株価は13週移動平均線をサポートラインとする上昇波動を形成中で、伸び切った感触は全くない。更に高値圏もみ合いにあるヌーラボ<5033>にも目を向けておきたい。同社はコラボレーション型のプロジェクト管理ツールを主力展開するが、AI機能を充実させて企業のニーズを開拓、“SaaSの勝ち組”として地位を確立しつつある。
他方、AI周辺の銘柄は食傷気味で、このテーマから離れたところで個別材料株を探したいという要望もありそうだ。その観点で、昨年の今頃、夏場から秋口にかけて大相場に発展した下水道インフラ関連株のリバイバル相場も念頭に置いておきたい。最近は集中豪雨をもたらす「線状降水帯」というワードがメディアに踊るケースが目立つが、今年8月に千葉や埼玉を襲ったゲリラ豪雨では凄まじいレベルの冠水が観測され、排水インフラの重要性が浮き彫りとなった。ここで貢献が期待される銘柄が日特建設<1929>である。良好な財務体質で配当利回りも4%前後と高い。27年3月期営業利益は会社側では前期大幅増益の反動から減益を見込むが、高水準の受注を背景に上振れ余地は大きく一転増益に変わる可能性もある。千葉や埼玉の下水道管路修復で需要獲得を進めている点は見逃せない。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に4~6月期の資金循環統計が日銀から開示されるほか、週間の対外・対内証券売買契約も公表される。前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中には8月の首都圏マンション販売、実質輸出入動向の発表などが予定されている。また、この日から21日までの日程で開催される「東京ゲームショウ2026」に対するマーケットの関心も高い。なお、個別にIPOが1社予定されており、東証グロース市場にSkyfall<625A>が新規上場する。海外では英金融政策委員会で政策金利が決定されるほか、週間の米新規失業保険申請件数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の米住宅着工件数、8月の米仮契約住宅販売件数などに市場の耳目が集まる。(銀)