たんぱく質の争奪戦が勃発、急成長期待の「ソイフード関連」妙味株7選 <株探トップ特集>
―大豆由来のソイプロテインや豆乳などの需要が拡大、原料価格上昇で市場に変化も―
9月下旬、米国でボディビルの世界最高峰大会「ミスター・オリンピア」が開催された。同大会には日本人の横川尚隆選手が出場し、出場クラスで7位入賞の快挙を成し遂げた。彼ほどの究極の身体づくりは難しいが、健康のために「身体を鍛える」という意識は老若男女問わず今や定着してきていることも事実だ。そんななか、筋力アップや健康維持に向けて、たんぱく質摂取のための需要が拡大しているのが大豆由来の「ソイフード関連」だ。
●健康志向で「たんぱく質」摂取需要が世界的に拡大
筋力トレーニング(筋トレ)の愛好者だけでなく、健康維持や美容、シニア層の栄養補給などにも用途が広がり、たんぱく質の摂取を補助するプロテイン市場が拡大を続けている。プロテインの原料には主に牛乳由来で動物性の「ホエイ」と「カゼイン」、大豆由来で植物性の「ソイ」の3種類がある。ところが、乳清から作り吸収が早く筋力アップに向くとされ主流である「ホエイプロテイン」の価格高騰が問題となっている。この背景には世界的な乳たんぱく需要の拡大がある。
その影響はプロテインの商品価格にも及んでおり、明治ホールディングス <2269> [東証P]傘下の明治はプロテイン及びスポーツ栄養食品ブランド「ザバス(SAVAS)」の値上げなどに踏み切っている。
●ソイプロテインや豆乳、大豆ミートなどへの関心高まる
「ホエイプロテイン」の価格高騰で相対的に存在感を高めそうなのが、大豆由来のソイプロテインをはじめとする「ソイフード」だ。吸収速度やアミノ酸組成、味、用途などが異なるため、ホエイとソイは完全な代替関係にあるとは言えないが、プロテイン需要そのものが世界的に急速に拡大するなか、ホエイ価格の上昇によって消費者や食品メーカーが「たんぱく源を分散する」動機を強めており、ソイプロテインを含めたソイフードが注目を集めている格好だ。
実際、欧米を中心に、良質なたんぱく源として白身魚のフィレ需要が近年急激に高まっており、結果としてすり身の原料価格が高騰し、かまぼこやちくわといった日系魚肉練り製品メーカーの業績に逆風となっているのが現状だ。いまや「たんぱく質争奪戦」とでも呼べるような状態が巻き起こっているともいえそうだ。
ソイプロテインの原料となる大豆には「豆乳」という大きな食品市場が存在する。日本豆乳協会によると、国内の豆乳類生産量は2025年に44万4552キロリットルと過去最高を更新し、前年比8.2%増加した。更に26年1~6月は前年同期比で10.6%増。なかでも無調整豆乳は同22.3%増を記録している。
更に大豆の用途として、大豆ミート、冷凍食品や総菜向けの粒状大豆たん白、植物性ヨーグルト、植物性クリームなどに市場が広がっている。例えば、大豆ミートの唐揚げなどはSNSで高評価を目にする。製品の訴求力もそれだけ年々進化している証左であり、一段の進化から目が離せない。以下では「ソイフード」関連の銘柄にスポットライトを当てた。
●明治HD、キッコマン、不二製油、ニップンなど注目
明治ホールディングス <2269> [東証P]~食品では乳製品、ヨーグルト、チョコレート、栄養食品などが大きな柱。「ザバス」は日本で最も売れている大人気のプロテイン及びスポーツ栄養食品ブランドとなっている。たんぱく原料として、吸収の良い「ホエイプロテイン」を100%使用した商品はもとより、アスリートのカラダづくりに必要とされるビタミンを独自に設計して配合した「ソイプロテイン100」を手掛けるなど、「乳たんぱく」と「大豆たんぱく」の両方を扱えるポジションにある。
キッコーマン <2801> [東証P]~しょうゆ、調味料、食品、飲料などを展開する総合食品メーカー。伝統的な発酵技術と高いブランド力、海外での事業展開力を強みとしている。豆乳事業を担うキッコーマンソイフーズは、国内トップシェアを誇り、独自の「スーパーチリング製法」で大豆特有の青臭さを抑えた商品を展開。26年度の事業戦略において、朝食時のたんぱく質摂取を促す「朝の満たんぱく」を重点施策としている。
不二製油 <2607> [東証P]~油脂大手である同社は1986年に大豆たん白食品小売事業プロジェクトを発足させ、ブランドを「ソヤファーム」とした。22年には、プラントベースフード(植物由来食品)の新ブランド「GOODNOON(グッドヌーン)」を立ち上げている。次世代大豆加工素材のプライムソイシリーズでは独特の臭みがなく旨味が強い大豆ミートを展開。「GOODNOON」製品群で30年に売上高1000億円を計画している。
日清オイリオグループ <2602> [東証P]~同社は大豆などの植物原料を用いて食用油や大豆たんぱくといった製品を生産しているほか、食用油をベースにさまざまな用途に対応した加工油脂を開発・生産している。また、大豆素材商品の「ニューソイミーシリーズ」は肉感に優れた粒状タイプで、ハンバーグ、肉団子、中華饅頭など幅広く使用できる。
昭和産業 <2004> [東証P]~製粉、油脂などが主力。業務用の大豆たん白(強食感・高吸水フレーク、粒フレークなど)を手掛けているほか、家庭用の機能性表示食品の大豆ミート「まめたん」は、水で戻してひき肉の代わりに使える。24年には大豆たん白商品の新ブランド「SOIA SOIYA(ソイアソイヤ)」を立ち上げている。
ニップン <2001> [東証P]~小麦粉・冷凍食品などで培った「食品加工技術」に大豆を組み合わせ、付加価値の高いプラントベース食品へ展開。豆腐の加工技術を応用して独自の植物性素材「SOYL PRO(ソイルプロ)」を開発。肉類よりも低脂質・高たんぱく質であるほか、コレステロールゼロで食物繊維も摂取することができる。
日本ハム <2282> [東証P]~国内食肉加工の最大手。「中期経営計画2026」において、「たんぱく質の価値を共に創る企業へ」をテーマとして掲げ、たんぱく質を日本で最も供給する食品企業から、たんぱく質の価値を共に創る企業への変革を目指す。また、20年3月から大豆たんぱくを使用した「NatuMeat(ナチュミート)」シリーズを展開している。
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