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明日の株式相場に向けて=AI負債リスクに身構えるCDS

市況
2026年10月21日 17時30分

きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比545円高の6万4621円と3日ぶりに反発。反発はしたものの、見せ場は朝方のみにとどまった。1300円強の上昇で6万5400円まで駆け上がったものの、その後は尻すぼみとなった。リスクオフに転換した10月7日を起点に前日までの直近9営業日で日経平均は1勝8敗と大きく負け越し、この間に6600円あまりの大幅な調整を余儀なくされていた。その10分の1を取り戻すにも至らないリバウンドでは、溜飲が下がるはずもない。いったん反転しても、次は早々にイグジット(戻り売り地点)を探す相場であるとのコンセンサスが底流し、売り急ぐ動きを誘発して勢いが伴わない。売買代金も今週に入ってから3日連続で7兆円台を割り込んだ。AIトレードが跋扈(ばっこ)するなか、実質的な市場参加者の減少を投影しているようにもみえる。

通常、全体相場が強い悲観に染まる時は、それだけ上に空売りが乗せられていることを意味している。それに従って株価の反発力も醸成されることになるのだが、今はそのリバウンドの原動力となるべき売り残が枯れた状態にある。実質10月相場に入る直前の9月25日申し込み時点で、信用買い残は6兆4638億円、売り残は1兆472億円(東京・名古屋2市場合計)だった。「買い長」であるのは当然としても信用倍率に換算して6倍強となり、この時でも既に少々胃もたれ感が生じる状態。つまり上値の重さが意識されておかしくない売りと買いのバランスであった。

ところが、これが前日発表分(10月16日現在)でどうなっているかというと、買い残は6兆6640億円だった。直近週はやや減少したのだが、3週間を経た時点で買い残は整理が進捗するどころか逆に2000億円、3%ほど増加している。一方、売り残の方は直近で6672億円と3週間で率にして何と36%も減少した。言うに及ばず信用倍率はほぼ10倍まで上昇している。この信用倍率10倍というのは満腹状態まで買いに偏重した数値といってよく、薄利でもポジションを軽くしたい(売りたい)向きが多いことを暗示している。それだけ上値の伸びしろは小さくなる道理である。テクニカル的に日経平均は1勝8敗から2、3回連勝(続伸)しても全く不思議はないが、これは戻り売りのタイミングを探す過程というコンセプトに変わりはない。風に煽られれば紙飛行機はいったん浮揚するが、結局は引力に抗えず弧を描いて下降していく、今の相場はそういうイメージが強い。

世界的な金利上昇局面でAI相場は信用リスクの影がチラつくようになった。こうなるとCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が取り沙汰されるのはお決まりのパターンともいえ、ショート筋が仕掛けのアイテムとして使うケースも多い。これに関する話題の中心軸は紛れもなくコアウィーブ<CRWV>だ。同社のCDSスプレッド(5年物)が一時1100ベーシスポイント強まで上昇し、投資家のセンチメントを瞬間冷却することになったのは記憶に新しい。

東京市場で注意して見ておかなければならないのはソフトバンクグループ<9984>ということになる。20日現在で432ベーシスポイントまで上昇、 AI・ 半導体関連株の中でも際立って高い。もちろん、債務不履行を本気で心配するような状況には程遠いはずだが、投資マネーにとって好まざるレッテルが貼られている状態には相違なく、きょうの全体リスクオフ巻き戻し局面でも戻りが鈍い背景となっている。ロイター通信が伝えるところでは、オープンAIが約300億ドルの追加調達に向け、ソフトバンクGなどの株主と協議しているという。同社のIPOが来年以降に先送りされるなか、ブリッジファイナンスで資金ショートの思惑に絡む雑音を先に封じておきたいという意思の表れといえそうだ。また、アンソロピックの上場に先んじて巨額資金を調達することで、自らの企業価値の劣後化を回避する狙いもあると思われる。

しかし、ソフトバンクGにすれば重い荷物を抱えてしまったという印象をマーケットに与えてしまった。CDSスプレッドの上昇がそれを雄弁に語っている。こうした背景から、今後はソフトバンクGの虎の子であるアーム・ホールディングス<ARM>の株価動向と、これまで以上に連動性が高まってくる可能性がある。アーム株については、きょうは時間外取引で買われていたが油断はできない。10月に入ってからのアームの崩れ足はソフトバンクGと瓜二つで、今後のアキレス腱となる可能性がある。

あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に10月の主要銀行貸出動向アンケート調査が日銀から公表されるほか、対外・対内証券売買契約が財務省から開示される。また、後場取引終了後に日銀が実質輸出入の動向を公表する。個別ではディスコ<6146>の26年4~9月期決算発表が注目される。海外では韓国金融通貨委員会で政策金利が決定され、フィリピン中銀やトルコ中銀も政策金利を発表する。このほか、10月のユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)、週間の米新規失業保険申請件数、9月の米景気先行指標総合指数などが開示される。米主要企業では、ハネウェル・テクノロジーズ<HON>、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ウエスタン・デジタル<WDC>などの26年7~9月期決算発表が予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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