「副首都」誘致レースで熱戦火ぶた、候補地の有望銘柄を徹底リサーチ <株探トップ特集>
―複数の自治体が選ばれる可能性も、拠点整備へ国が規制緩和や投資促進など後押し―
副首都法の成立を受け、各自治体による誘致レースが本格化している。「都構想」に絡み同法を推し進めた日本維新の会のお膝元・大阪府が有力視されてきたが、ここにきて愛知県や福岡県、北海道が急浮上。愛知と福岡はそれぞれ県内主要都市と共同で会議体を立ち上げ、議論をスタートした。北海道も札幌市と連携して取り組みを急ぐ構えだ。更に群馬県、広島県など意欲を示す地域は広がりをみせている。副首都に指定された自治体には“首都東京”と同じく人・モノ・カネが集まり、地元経済の活性化につながることが期待される。その土地に根付く企業には大いに恩恵があるだろう。
●災害時の首都機能を代替
7月24日金曜夜の参院本会議で副首都法が可決、成立した。正式名称は「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」。東京で大規模災害が起きた際のバックアップ体制の構築を目指す。また、首都圏に人口や経済が過度に集中する状況を是正し、多極分散型経済圏の形成につなげる狙いもある。首都中枢機能の全部または大部分を代替する「副首都」とあわせ、同機能の一部を担う「首都中枢機能代替地域」も整備していく。
同法では、副首都がその機能を果たすべく国が後押しするよう定めている。産業競争力の強化や経済活動拠点の形成、交通網の整備を図ることとされ、加えて規制緩和の推進、民間投資を促進する税制上の措置を講じることも求めている。指定プロセスなど具体的な運用方法は政令や基本方針で別途定められる見通しで、まだ不透明な部分は多いが、選ばれる自治体は東京との同時被災リスクが少ないのはもちろん、多極分散型経済圏の中核を担う存在として一定の人口や経済規模を有することが条件となろう。
●大阪企業の株価動意、鉄道・建設・小売り
法律の成立を受け、週明け7月27日の株式市場では大阪を地盤とする企業の株価が動意づいた。同日の日経平均株価(0.5%高)が小幅高にとどまるなか、JR西日本 <9021> [東証P](3.4%高)や阪急阪神ホールディングス <9042> [東証P](3.9%高)、京阪ホールディングス <9045> [東証P](2.8%高)、NANKAI <9044> [東証P](4.8%高)の上げが目立った。J.フロント リテイリング <3086> [東証P](4.4%高)、エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> [東証P](3.2%高)にも買いが流入。関西電力 <9503> [東証P](2.7%高)や池田泉州ホールディングス <8714> [東証P](3.7%高)、淺沼組 <1852> [東証P](2.8%高)も高かった。
経済が活性化すれば、そのエリアでビジネス展開する企業には幅広くプラスの効果が及ぶことが見込まれる。昨年秋の自民・維新連立合意の際も同様の銘柄群が思惑物色を集めた。万博に続き、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を控え、大阪経済の先行きは明るい。副首都指定は強力な追い風となるだろう。
関連銘柄は上記に加え、近鉄グループホールディングス <9041> [東証P]に着目。首都東京と大阪を結ぶ東海道新幹線を有するJR東海 <9022> [東証P]も見逃せない。ゼネコンの奥村組 <1833> [東証P]や錢高組 <1811> [東証S]、南海辰村建設 <1850> [東証S]、建機レンタルのニシオホールディングス <9699> [東証P]、不動産の京阪神ビルディング <8818> [東証P]やフジ住宅 <8860> [東証P]、エスリード <8877> [東証P]、誠建設工業 <8995> [東証S]もマークしたい。
●愛知・福岡銘柄もさまざま
前述したように法律の具体的な運用方法はまだ決まっておらず、今後の議論次第では必ずしも副首都は1つだけに限らないかもしれない。既に複数指定される可能性が取り沙汰されており、大阪以外の候補地の地元企業もマークしておく必要がある。指定から漏れてしまった場合でも、首都中枢機能代替地域に選ばれる可能性も残っている。
法律が成立した7月24日その日に早速名乗りを上げたのが愛知だ。大村秀章知事と名古屋市の広沢一郎市長が合同記者会見を開き、そろって誘致を目指す方針を表明。県と市の連携協議会を立ち上げ、8月6日に初会合を開催した。関連銘柄はもちろんJR東海、それに名古屋鉄道 <9048> [東証P]だ。大阪と名古屋をつなぐ近鉄GHDも挙げられる。リニア関連でもある矢作建設工業 <1870> [東証P]のほか、あいちフィナンシャルグループ <7389> [東証P]、中部電力 <9502> [東証P]、サーラコーポレーション <2734> [東証P]も押さえておきたい。
福岡も福岡市、北九州市と共同で誘致に向けた連絡会議を発足。7日に初会合を開いた。関連銘柄はJR九州 <9142> [東証P]や西日本鉄道 <9031> [東証P]、ふくおかフィナンシャルグループ <8354> [東証P]や九州フィナンシャルグループ <7180> [東証P]、西日本フィナンシャルホールディングス <7189> [東証P]、九州電力 <9508> [東証P]など。イオン九州 <2653> [東証S]、井筒屋 <8260> [東証S]に加え、西友の買収で関東進出を強めるトライアルホールディングス <141A> [東証G]、食品卸のヤマエグループホールディングス <7130> [東証P]、総合リースの九州リースサービス <8596> [東証S]も注目だ。熊本地震からの復興需要の思惑もある富士ピー・エス <1848> [東証S]や若築建設 <1888> [東証P]、ヤマックス <5285> [東証S]、ヤマウホールディングス <5284> [東証S]も要マークとなる。
●「北海道こそ適地」南海トラフ被害少なく
北海道の鈴木直道知事は7日の定例記者会見で、副首都構想について札幌市と連携して取り組む考えを示し、同市の秋元克広市長との懇談の場を「月内にも開催したい」と述べた。懇談は公開で行い、「北海道こそ、札幌こそ適地」だと道民にしっかり発信するという。北海道は南海トラフ地震による直接的な被害が少なく、この点で福岡とともに優位性がある。関連銘柄は、ほくほくフィナンシャルグループ <8377> [東証P]や北洋銀行 <8524> [東証P]、北海道電力 <9509> [東証P]、イオン北海道 <7512> [東証S]、土屋ホールディングス <1840> [東証S]、ロゴスホールディングス <205A> [東証G]などだ。これらはラピダス関連としても注目される。
意欲を示している自治体にはこのほか群馬や広島、それに宮城県がある。群馬に絡んでは群馬銀行 <8334> [東証P]や東和銀行 <8558> [東証P]、藤田エンジニアリング <1770> [東証S]、広島に絡んではひろぎんホールディングス <7337> [東証P]や中国電力 <9504> [東証P]、広島電鉄 <9033> [東証S]、イズミ <8273> [東証P]など。宮城に絡んでは七十七銀行 <8341> [東証P]、じもとホールディングス <7161> [東証S]、東北電力 <9506> [東証P]、ユアテック <1934> [東証P]などが挙げられる。
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