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あらた Research Memo(6):新中期経営計画の業績目標は1年前倒しで達成する可能性も

特集
2018年1月11日 16時06分

■今後の見通し

2. 中期経営計画

(1) 中期経営計画の概要

あらた<2733>は2017年5月に3ヶ年の中期経営計画を発表している。2020年3月期までの3年間を「10年後を見据えて、卸売業の新たな可能性を追求」する期間として位置付け、更なる成長戦略を推進していく方針とした。経営数値目標としては、売上高で7,600億円、経常利益で100億円、当期純利益で60億円、ROEで9%台の水準を掲げているが、滑り出しは前述したとおり極めて順調で、売上高、経常利益ともに中期経営計画の2019年3月期目標値を上回るペースとなっている。2019年10月に実施される消費増税の影響がどのように出るかは流動的ではあるものの、消費マインドが今後も堅調に推移すれば2020年3月期の目標値は1年前倒しで達成される可能性もある。

また、10年後の目標としては、「企業価値を倍増する」「SCMの中核を担う企業へと成長する」「様々な領域でのNo.1を目指す」ことを掲げている。このうち、企業価値の倍増とは顧客や社員、株主、社会に対して満足度を倍増していくことで、それを遂行していくために経営密度やマネジメント密度を倍増させていく。経営指標としては、売上規模や経常利益率を倍増することを目指している。

(2) 基本戦略

a) 成長戦略を描き続ける

新中期経営計画の基本戦略の1つとして、成長戦略を描き続けることを挙げている。カテゴリー別では、M&Aも活用しながら、既存の各カテゴリーの売上を拡大していくほか、新たなカテゴリーへの進出も計画している。

既存カテゴリーの中では、特に家庭用品の強化に取り組み、将来的に同カテゴリーで業界トップを目指していく方針だ。2017年3月期の同社の家庭用品売上高は約519億円で家庭用品卸業界第2位となっている。業界トップは(株)友和で売上高は約857億円となっており、まだ1.6倍以上の開きがあるが今後、専業卸などとの連携も進めながら売上規模を拡大していく考えだ。また、ペット用品卸については子会社のジャペルに完全移管する計画となっている。業界トップのジャペルに事業を集約することで、経営効率の向上が期待できる。また、ペット用品を移管することで余ったリソースについては、家庭用品卸の事業強化に振り向けていくことにしている。

また、顧客業態別では年率2ケタ成長が続くEC市場に対応するためのシステムや物流体制の構築を進めていく。同社のEC事業者向けの売上高も年々増加傾向をたどっている。

エリア別では、東名阪エリアでのシェア拡大に注力していくほか、各業態ともに小商圏化が進んでおり、業態間の垣根がなくなりつつあることから、企画提案力を強化し小商圏化への対応を進めていくことで、売上高を伸ばしていく方針となっている。

b) 未来への布石を打つ

未来の成長に向けた布石として、第1に、収益事業の育成が挙げられる。商品開発においては自社ブランド商品である「アドグッド」商品の開発を強化し、売上高を拡大していく計画となっている。売上規模としては2017年3月期実績で全体の約0.5%と小さいものの、自社開発商品となるため利益率は高く、同商品の売上高が伸びれば利益率の向上に寄与することになる。今後も開発アイテム数を拡充しながら売上拡大を目指していく。

また、海外事業の育成にも注力していく。タイでは販売先を日系小売企業だけでなく、現地に展開するグローバル企業などにも広げる取り組みを進めている。また、中期的には卸販売だけでなく越境ECを含めた小売販売も展開していくことも視野に入れており、そのなかで自社開発商品等の販売を進めていきたい考えだ。一方、中国ではペット商品を中心に卸販売を行っているが、新たなビジネスを模索している段階にある。海外事業についてはまだ収益化できていないものの、中長期的には成長市場であることから、投資を継続しながら収益化していく計画となっている。

第2に、投資戦略として3年間で100億円の設備投資を計画している。このうち、物流センターとしては鹿児島に2018年6月に稼働予定の九州南センターを開設する計画となっている(設備投資額は約31億円)。九州には大型の物流センターが福岡県の1ヶ所のみであり、これを2ヶ所に増やすことで自然災害が発生した場合のリスクヘッジの機能を果たすことになる。また、首都圏、関西圏にも新物流センターの開設を検討している。

その他、慢性的な人手不足に対応するため、物流センターの庫内業務に関する自動化、IT化も進めていく計画となっている。具体的には、九州南センターで同社としては初となるAI技術を活用したデパレタイズ※用ロボットを導入する。5ヶ所ある搬入口のうち2ヶ所にAIアームロボットを導入する。ロボットに設置されたカメラによって箱の形状や数量を認識し、荷卸しが必要な箱のみをピッキングするロボットとなる。1台で2人分の作業員を賄えることになり、導入後の運用状況を見て効果が確認できればほかの物流センターにも導入していく計画となっている。また、関西物流センターでも新たにパレタイザロボットを導入する。オリコンボックスをエリア別のカゴ車に積み込むためのアームロボットで、1台で4人分の作業員を賄えることになる。こちらも、導入効果を確認して、ほかの物流センターにも導入していく計画となっている。

※パレットに積まれた荷物を下ろす作業のこと。逆にパレットに荷物を積む作業をパレタイズと言う。

c) 経営基盤の更なる強化

経営基盤の強化については、組織体制のスリム化を図り、市場環境の変化にスピーディに対応していく体制を構築していくほか、グループ会社間でのリソースの共有や最適化に取り組んでいく。具体的には、各子会社で独自に行っていた資金管理を一本化し、資金効率をさらに高めていく計画となっている。また、ジャペルはペット用品だけでなくペット周辺ビジネスへと事業領域を拡大し、ペット関連の総合企業として更なる成長を目指していく計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

提供:フィスコ

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