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エルテス Research Memo(3):警備業界のDX化やデジタルガバメントなど新領域へも展開(2)

特集
2022年11月21日 16時03分

■エルテス<3967>の会社概要

2. 企業特徴

(1) 成長モデル

主力の「デジタルリスク事業」は、大手食品会社等の有力ブランドを持つ企業を顧客基盤としている。リスク予防の観点から継続取引を前提とした月額課金(年間契約)であるため、顧客数の拡大が業績の伸びをけん引する積み上げ型のストックビジネスを基本としている。「Webリスクモニタリングサービス」の月額課金は40万円程度~、「内部脅威検知サービス」は50万円~規模に応じて数百万円程度と見られる。なお、顧客数の拡大のためには、新規顧客の獲得と契約継続率の維持・向上が重要であるが、契約継続率は高い水準を確保している。今後は、収益性が高く、かつ需要が拡大している「内部脅威検知サービス」の拡大に注力していく考えである。

また、同一顧客内でのサービスブランドや商品ブランドへの横展開のほか、「内部脅威検知サービス」では社員数(ID数)に連動する顧客単価の向上も売上拡大に結び付く。特に、これまでのSNS上のオープンデータから企業内ログデータへと取り扱うデータの種類やリスクテーマの拡充を図ってきたことに加え、既存顧客からの要請に基づき、リスク管理にとどまらない提供サービスの多様化にも取り組んでおり、顧客数の拡大と顧客単価の向上の両輪により成長が加速される可能性が高い。

一方、新たに立ち上げた「AIセキュリティ事業」は契約警備会社数とポスト数、「DX推進事業」では連携する自治体数及び顧客企業数の伸びが成長に向けたKPIとなっている。

(2) 同社の優位性

a) 独自のデータ解析技術

同社の強みは、オープンソースのほか、同社固有のテクノロジーによって収集したビッグデータ(炎上データベース、リスクワードデータベースなど、リスクに特化した独自のデータベースを構築)に対して、複数の大学等との共同研究により開発した形態素解析や画像解析による機械学習(AI)・データマイニングを行うことによってリスクを高精度で検知するところにある。さらには、現状の形態素解析等のレベルでは誤検知が起こり得るため、アナリストによる分析(アナログ対応)との組み合わせにより、結果として費用対効果やリスク検知の精度を高めているところも特長となっている。また、データ解析技術は幅広い領域での活用が見込まれるため、事業の拡張性があるほか、領域を拡げることでリスクパターンの精度が高まり、同社固有の技術、ノウハウにつながる好循環も期待できる。

b) 他社を圧倒する教師データの蓄積

精度の高い機械学習を実現するためには、膨大な教師データ※が必要となるが、他社に先行してリスク検知に特化した教師データを蓄積してきたことにより、他社が簡単には追いつけないポジショニングを確立してきた。顧客とのコミュニケーションをクラウド上で実施することでデータを効率的に漏れなく収集することが可能となっている。今後もデータの蓄積を継続することでAIの精度をさらに高めることができ、その結果、業務効率化による利益率の改善や、付加価値の向上を実現することが可能である。

※ソーシャルメディア等から集めたビッグデータに対して、解答となる膨大な教師データ(リスク事例)を使って答え合わせをすることにより、精度の高いリスク検知が可能となる。

c) 企業リスクに特化したコンサルティング力

リスク検知後のコンサルティング力にも強みを有する。顧客企業にとって、デジタルリスクは新しい領域のリスクであることから、リスクの未然防止やリスク発生後の解決方法など対処法が確立できていないケースが多い。同社は、データを収集・分析し、リスクを検知した後、専門スタッフが解決までコンサルティングするハイブリッド型のスタイルにより、他の監視ツール会社や投稿監視会社との差別化を図っている。特に、早期に適切な初期対応を図ることが被害を最小限に食い止めるためのポイントとなるが、同社は企業リスクに特化することで蓄積してきた豊富な事例をもとに、コンサルタントによるサポートを行っている。

d) 圧倒的な実績

同社は、デジタルリスクへの対策ニーズの拡大や独自のポジショニングの確立により、有力ブランドを持つ大手企業を中心に圧倒的な実績を積み上げてきた。豊富な実績は、さらに新規顧客を獲得する際の強みになるとともに、顧客に対する交渉力を強めることで高い収益性にも貢献する。また、優良な顧客基盤やネットワークを有することは、他社との協業(アライアンス)を進めるうえでも優位に働く可能性が高い。

e) 伝統的な警備事業との連携

AIセキュリティ事業においては、新たに開発したソリューションに関し警備事業で実績のあるAnd Securityとその子会社を通じて実地検証を行っている。これにより開発速度が向上し、高い実行性を伴うと見込まれる。

f) サイバネティカとの提携による本人認証技術の活用

2017年3月に提携したサイバネティカが持つ独自の情報共有技術「UXP」などは、同社サービスとの親和性が高いうえ、「情報銀行」や「デジタルガバメント」の実現に向けて大きな強みとなる可能性が高い。

3. 沿革

2004年に創業し、インターネットの普及に合わせたWeb上の風評リスクに着目し、Web上のリスクコンサルティングサービスを開始した。2010年からはTwitterやFacebook等、ソーシャルメディアの普及により新たに出現したネット炎上などのソーシャルリスクに関するデータの収集・蓄積を開始すると、2011年にはWebリスクモニタリングサービスを立ち上げ、順調に事業を拡大してきた。

2014年には、(株)電通(現 電通グループ<4324>)との資本業務提携により危機管理の分野におけるリアルとWebの棲み分けによる協業を開始した。2015年10月には(株)産業革新機構(現 (株)産業革新投資機構)等からの出資(534百万円)を受けると、2016年2月からは、これまでのソーシャルリスク領域からリスクインテリジェンス領域(情報漏えいなど内部脅威検知サービス)へと事業拡充を図っている。2016年11月29日に東証マザーズに上場し、2022年4月の同市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行した。

2017年8月には、新規事業の立ち上げに伴う戦略子会社2社※の設立により、連結決算へと移行した。また、2019年9月には(株)エフエーアイ、2020年12月にはAnd Security及びその子会社を連結化し、事業基盤の拡充を図った。

※AIセキュリティ事業を手掛けるAIK、デジタル分析領域のベンチャー投資を行う(株)エルテスキャピタル。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《NS》

提供:フィスコ

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