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フィジカルAIは急拡大必至、勇往邁進の「ロボット部品」関連6銘柄 <株探トップ特集>

特集
2026年9月12日 19時30分

―波乱相場下でも中期的な成長性で注目度不変、底力発揮の日の丸メーカーに刮目―

世界的な金利上昇懸念が株式相場の重荷となっており、11日の日経平均株価は1259円安の6万4011円と大幅反落。東証株価指数(TOPIX)は一時4000を下回り、終値は3週間ぶりの安値に沈んだ。中銀ウィークに差し掛かりこの先もボラティリティの高い相場展開が見込まれる。そうしたなかでも中長期的な成長性という観点から、人工知能(AI)が現実世界で物理的に動作する「フィジカルAI」に対する投資家の関心は高い。日本政府も経済政策において重要領域と位置づけ、社会実装を強力に後押しする方針を打ち出しているが、 ロボット産業の拡大には、サプライヤーの存在なしには語れない。技術力と底力の発揮が期待できる日の丸ロボット部品メーカーに焦点を当て、良好な業績実態を備えた注目銘柄を厳選していく。

●「人型ロボット運動会」で見えた世界

フィジカルAIの社会実装に向けた動きがグローバル規模で加速の一途をたどるなか、直近で世界的な話題を集めたのが、中国で開催された「世界人型ロボットスポーツ大会」である。日本からはGMOインターネットグループ <9449> [東証P]傘下企業が参加した。最新のヒューマノイドロボットが一堂に会し、100メートル走や障害物競走、サッカーなどの競技や試合に臨んだ。バック転をした後によろめいて倒れる様子には人間らしさがあった。全力疾走の挙句、火花を散らして倒れ込んだロボットの姿に胸をつぶした人も多いに違いない。

労働力不足という課題を抱える日本において、AIという頭脳を持ったロボットが人間と協働する未来はすぐそこに迫っていると言っていいだろう。人型であろうが人型でなかろうが、AIロボットは工場や物流倉庫、医療・介護などさまざまな領域で、活躍が期待されている。その複雑な動きを支えるうえで重要な役割を担うのが、ロボット部品である。

日本の製造業は部材から部品、完成品に至るプロセスを1つのメーカーが囲い込む垂直統合モデルを武器に世界をリードしてきたが、アニマルスピリットを持つ海外勢に押される形で、強みを有する産業用ロボット市場さえシェアは低下傾向にあるという。コスト競争力を武器に、ヒューマノイドロボットと同様に中国の部品メーカーも頭角を現しつつある。日本の部品メーカーが世界に再び存在感を示すには乗り越えるべきハードルは多い。ロボット産業において、テスラ<TSLA>のような有力企業が垂直統合モデルを推し進めた際、日本企業がそのサプライチェーンから弾かれることになれば、モノづくり大国を誇った日本の将来に暗い影を落とすことになる。

●「経済安保」で日本勢の挽回なるか

とはいえ、経済安全保障の観点で、西側諸国の企業が開発するAIロボットの部品の多くが中国製になる未来も描きにくい。AIロボットに求められるのは、センサーやカメラが得た情報をAIが判断し、制御システムと部品を通じてロボットを円滑に動かす仕組みだけではなく、耐久性やメンテナンス性、信頼性も不可欠となる。自動車や電気製品、精密機器の品質を長年にわたり支え続けてきた日本の部品メーカーの出番が一気に奪われるシナリオは悲観に過ぎる感もある。

車載部品や精密部品はロボットに転用できるものが多い。物理的な曲げ伸ばしや回転運動を正確に制御する精密減速機やモーター、荷重を支える軸受(ベアリング)、微小な力加減を感知するセンサー、ケーブルなどが代表例だ。技術優位性ゆえ、プレゼンスの更なる向上が期待できる日本企業も数多く存在する。

ロボットの関節部分に適用される精密減速機を手掛ける企業には、ナブテスコ <6268> [東証P]やハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [東証P]、住友重機械工業 <6302> [東証P]などがある。直線運動に使われるLMガイドのTHK <6481> [東証P]や、直動案内機器やニードルベアリングなどを主力製品に持つ日本トムソン <6480> [東証P]なども、ロボットの発展に欠かせない企業である。全体相場が不安定ななかにあっても、業績が好調でロボット領域での成長が期待できる銘柄に対しては根強い物色意欲が示されると考えられる。以下に注目銘柄を取り上げていく。

●ロボット部品領域で躍動期待の注目6銘柄

◎ミネベアミツミ <6479> [東証P]

総合精密部品メーカーで、AIサーバー向けの冷却部品や自動運転システムで用いられるモーターなど販売拡大が期待できる製品を数多く抱える。ヒューマノイドロボット市場においては、ベアリングやフレームレスモーター、制御IC、6軸トルクセンサーなどを武器に事業拡大を目指す構え。足もとで主要部品の受注や引き合いも拡大しているという。同市場向けに29年3月期に売上高100億円、35年3月期には1000億円(上振れシナリオでは2000億円)に伸ばす戦略を掲げている。27年3月期第1四半期(4~6月)は売上高が前年同期比16.3%増、営業利益が同50.9%増と大幅な増収増益で着地。6月に上場来高値5307円を形成後に頭打ちとなり、需給調整を経て現状200日移動平均線を下回って推移している。

◎日本精工 <6471> [東証P]

ベアリング最大手で、27年10月に同業のNTN <6472> [東証P]と経営統合をする予定。半導体製造装置や工作機械向けの需要が追い風となっており、27年3月期第1四半期(4~6月)の決算発表にあわせ、通期の業績予想を上方修正した。ヒューマノイドロボット向けは、関節や腕部、脚部でのしなやかな動きと小型・軽量化を促すアクチュエーターを開発。ロボットの手の部分で触覚を伝達する装置の減速機として、幅広いトルク制御と小型化を実現するバイラテラルギアとともに、採用拡大を目指す考えだ。今年8月には国産ヒューマノイドAIロボットの開発に取り組むスタートアップのアトム(東京都江東区)との戦略的パートナーシップの基本合意書の締結を発表した。PBR(株価純資産倍率)は0.7倍台にとどまっている。

◎マブチモーター <6592> [東証P]

小型モーターの世界大手で、自動車電装機器用では世界シェアトップ。AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)向けのモーターに注力し、昨年10月に日本のヒューマノイドロボット産業の再興を目指す「京都ヒューマノイドアソシエーション」への参画を発表した。自動車関連での中国の補助金政策の縮小による影響などを見込み26年12月期は経常減益予想だが、6月中間期時点の利益進捗率は経常利益で60%とまずまずの水準。年間配当予想を従来見通しから14円増額し70円(前期は株式分割後ベースで53円)とするなど株主還元に意欲的な姿勢を示した。ロボット向けでは小型・軽量かつ高効率といった特徴に加えて、高トルクでかつ応答性、熱対策を追求した関節用モーターの開発に取り組むとともに、ブラシレスモーターなどのラインアップも拡充し、事業拡大を図る。75日移動平均線近辺で下値抵抗力を示せるか注目したい。

◎平河ヒューテック <5821> [東証P]

電線中堅で放送・ネットワーク機器や医療部品などに展開。27年3月期は売上高と営業利益が前期比25%近く増加する見通しで、最終利益は2.5倍を見込むなど業績は絶好調で連続営業最高益更新を計画する。昨年買収した吉野川電線はロボット用ケーブルのパイオニアとして知られており、高性能ロボットケーブル「モビロン タフケーブル」シリーズは高可動部ケーブル市場においてトップシェアを誇るという。株価は5月に上場来高値4595円を形成後、騰勢は一服。PER(株価収益率)は12倍近くと割高感は乏しく、3000円近辺に位置する足もとの水準は値頃感を意識させる。

◎北川鉄工所 <6317> [東証S]

工作機械用パワーチャック(ワーク保持装置)で国内圧倒的シェア。「つかむ」技術を生かして、ロボットアームの先端に取り付けるロボットハンドなどに展開している。安川電機 <6506> [東証P]の協働ロボット用の周辺機器として、取り付けが容易なハンドユニットを供給している。27年3月期第1四半期(4~6月)は、前年同期にタイ子会社における固定資産売却の利益計上の反動で最終減益となったものの、営業利益は前年同期比4割増と健闘。連結子会社で半導体・電子部品向け装置やハードディスク事業の売り上げが増加したほか、工作機器向けも好調だった。複数の機械でロボットを共用できる「汎用移動式ロボット台車 アームリンカー」も市場に投入するなど、ロボット市場の成長を支えるモノづくり企業として評価の高まりに期待したい。9月11日引け後に通期の業績予想の上方修正を発表。従来予想から一転、最終増益を計画する。年間配当予想も大幅に増額修正し、配当利回りは6.4%台。PERは4倍台でPBRは0.3倍台と割安感が漂う。

◎テクノフレックス <3449> [東証S]

金属製の管継手が主力。ビルの配管や産業設備のほか、半導体製造用のクリーンルーム向けフレキシブルホースなども供給している。グループ会社のチューブフォーミングは超高圧の液体によってパイプを自由なカタチに加工する「バルジ加工」を手掛ける。同加工を手掛ける企業は世界で10社程度しかないとされ、産業用ロボットの駆動シャフトで多くのメーカーからの採用実績を持つ。テクノフレとしても、ロボット市場の成長を自社の事業拡大に生かす構えを示している。26年12月期は2ケタの増収増益で連続最高益の更新を計画している。

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