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サン電子 Research Memo(3):18年3月期上期は増収ながら減益。新規事業に対する研究開発費が利益を圧迫

特集
2018年1月19日 16時02分

■決算動向

1. 2018年3月期上期決算の概要

サン電子<6736>の2018年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比12.1%増の12,639百万円、営業損失が738百万円(前年同期は65百万円の損失)、経常損失が763百万円(同190百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が607百万円(同238百万円の損失)と増収ながら減益となり、前年同期に続き営業損失(損失幅の拡大)を計上した。ただ、もともと研究開発費の拡大を見込んでいた期初予想に対しては、売上高が上回り、損失の幅は縮小となっている。

売上高は、「その他(M2M等)」を除いて、それぞれ伸長した。特に、モバイルデータソリューションにおけるDIの販売が大きく伸びたことに加え、円安による換算増も増収に寄与した。また、エンターテインメント関連において遊技機部品の販売に前倒しがあったことが増収要因となっている。半面、「その他(M2M等)」が減収となった。

損益面では、利益率の高いモバイルデータソリューションの構成比が高まったことにより原価率が低下した一方、研究開発費※や人件費の増加により販管費が大きく拡大したことで営業損失を計上した。もっとも、最終段階にある新規事業(VR及びAR関連)に対する研究開発費の拡大を見込んでいた期初予想に対しては、利益面でも大きく上振れる進捗となっている。エンターテインメント関連事業の販売の前倒しによる上振れや新規事業の開発の遅れ(長期化)に伴って、研究開発費の一部が先送りとなったことが上振れ(計画よりも損失幅が小さくなった)の理由である。したがって、上期業績を総括すれば、特殊要因(販売の前倒し及び費用の先送り)や為替の影響を除けば、順調に伸びているDI以外は、総じて低調であったと言える。

※研究開発費は前年同期比24.5%増の3,125百万円と大きく拡大した

また、営業外費用として、持分法適用会社2社による持分法投資損失115百万円(前年同期は154百万円の損失)を計上した一方、権利譲渡益(IPアドレス)104百万円を特別利益に計上している。

財務面では、総資産が「現金及び預金」の減少により前期末比3.7%減の26,312百万円に縮小したものの、自己資本も内部留保の減少(配当や純損失の計上)により前期末比10.9%減の12,133百万円に縮小したことから、自己資本比率は46.1%(前期末は49.8%)に低下した。ただし、当面の支払い能力を示す流動比率は160.8%(前期末は177.9%)と高い水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) モバイルデータソリューション

売上高が前年同期比23.6%増の6,766百万円、セグメント損失が346百万円(前年同期は24百万円の利益)と増収ながら大幅な減益となり、セグメント損失を計上した。売上高は、現地通貨ベースでMLCが伸び悩んだ(ほぼ前年同期並みで推移した)一方、DIがすべての地区で大きく伸びたことが増収に寄与した※1。また、円安による換算増も増収要因※2となっている。なお、MLCの伸び悩み(下振れ)は、Diagnostics(故障診断サービス)及びMD(多端末対応機)等の新製品・サービスの販売が低調であったことによるものである。セールスサイクル(導入に至るまでのプロセス)が長いことや機能面の一部に問題があったことが原因のようだ(来期の第1四半期には改善できるように対策中)。

※1 なお、米ドルベースで見ると、DIは前年同期比24.3%増、MLCは同2.9%増となっている。

※2 海外子会社における2017年6月末の決算レートは112.00円(前年同月は102.91円)と円安となった(円換算でプラス要因)。

損益面では、MLCの下振れに加えて、人件費及びデータ分析等に対する研究開発費の増加が利益を圧迫し、セグメント損失を計上した。

(2) エンターテインメント関連

売上高が前年同期比4.0%増の5,017百万円、セグメント利益は同3.8%減の510百万円と増収減益となった。計画していた遊技機部品の販売が一部、好調に推移したことに踏まえ、販売計画も前倒しになった機種があったため、売上高、利益ともに計画を上回る進捗となっている。ただ、利益面では、セールスミックスの変化(原価率の高い売上の増加)が利益率の低下を招き、若干の減益となった。

(3) その他(M2M、ゲームコンテンツ、新規事業等)

売上高が前年同期比12.0%減の855百万円、セグメント損失が494百万円(前年同期は238百万円の損失)と減収減益となり、損失幅が拡大した。ただ、新規事業(AR関連)に対する研究開発費の拡大を見込んでいた計画に対しては、売上高が下回ったものの、利益では上振れる進捗となった。

M2M事業は、M2Mデジタル通信機器の販売が新製品のリリースの遅れ等により低調に推移したことや、海外子会社のBacsoftが展開するIoTソリューションの販売不振※により計画を下回る減収となった。また、利益面でも減収の影響により損失幅が拡大した。

※実証実験では実績を積み上げているものの、顧客の意志決定に時間がかかっていることが業績の遅れを招いているようだ。

ゲームコンテンツ(VRゲームを除く)は、売上高、利益ともにほぼ前年同期並みで推移した。

新規事業(AR関連)は、リリースに向けた最終段階を迎え、販促・マーケティング、研究開発の各活動が本格化したことにより、前年同期比で費用が増加(損失幅が拡大)した。ただ、計画に対しては、開発の遅れ(長期化)から研究開発費の一部が先送りとなり、結果として利益面での損失幅縮小の要因となった。なお、今期の下期に予定していたVRゲーム※1及びAR業務支援ソリューションのリリース※2は、両方ともに来期に延期となっている。また、O2Oソリューションの業績貢献はまだ小さい。

※1 VRゲームでは、PlayStationVR向けにタイトル名「DARK ECLIPESE(ダークエクリプス)」の開発を進めている。“PlayStationVR”ラインナップ紹介トレーラーに採用されるとともに、東京ゲームショーではソニーブースに映像出展されるなど、VR技術の蓄積を進めながら、発売に向けた開発及び販促活動を行っている。今期の第3四半期にリリースを予定していたが、ゲーム性の作り込み等により販売時期を来期に延期した。

※2 ARについては、安川電機<6506>から現場業務ノウハウの提供協力を受け、産業用機械のアフターサービスをARで支援するプラットフォームの開発を進めている(アフターサービスの品質向上や時間短縮によるコスト削減の同時実現を目指すもの)。ただ、今期の第4四半期にリリースを予定していたAceReal(産業分野におけるサービスメンテナンスや教育等を支援する製品)は、ユーザーの意見を反映する形でデザイン変更を行ったため、販売時期を来期に延期した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《MW》

提供:フィスコ

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