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SBSHD Research Memo(2):3PLと物流施設の流動化ビジネスを組み合わせた独自ビジネスモデルで成長

特集
2019年4月10日 15時12分

■会社概要

1. 会社沿革

SBSホールディングス<2384>は1987年、首都圏で「即日配送」という当時にはなかった配送システムを提供するユニークな会社として、現代表取締役社長の鎌田正彦(かまたまさひこ)氏によって設立された。2003年には日本証券業協会に株式を店頭登録し、財務基盤を強化した上でM&A戦略を積極化し業容を拡大していく。2004年に雪印物流(株)、2005年に東急ロジスティック(株)、2006年に(株)全通など大手物流企業を相次いでグループ化し、2006年12月期の売上高は1,426億円となり、2003年12月期(売上高194億円)から3年間で7倍強の急成長を遂げた。

物流事業を拡大するとともに、3PL事業の拡大・強化のため物流施設の開発及びその流動化事業も2004年に開始している。流動化スキームを用いることによって、資金効率を高め成長を加速していくという独自のビジネスモデルを確立し、成長の原動力になっている。開発実績としては、2005年に大宮センタービル(オフィスビル)を手掛けて以降、2018年までに22施設(約18万坪、投資総額760億円)の開発を行い、うち11施設(譲渡額650億円)の流動化を実施している。

2011年以降はアジアへの進出を開始し、2014年にインドの大手国際物流企業TranspoleをM&Aでグループ化した。しかし、その後の中国経済の減速や新興国経済の低迷、フォワーダー間の価格競争激化等によりTranspoleの収益が急速に悪化し、また新規大口取引(3国間貿易)にかかる債権回収が困難となったこともあり、今後の再建は困難と判断し、事業売却を決断。2015年12月期に100億円を超える特別損失を計上し、2016年3月に株式をすべて売却した。これにより海外事業は一旦、縮小する格好となったが、2018年8月にSBSリコーロジスティクスを子会社化したこともあり、再度、海外事業を拡大していく体制を整えはじめた。

なお、2018年12月末時点の連結子会社数は25社、持分法適用法関連会社1社(ゼロ<9028>)、車両保有台数は約4,060台(傭車5千台/月)、物流倉庫面積は約50万坪(自社保有8万坪)となっている。

2. 事業内容

同社の事業セグメントは物流事業、不動産事業、その他事業の3つのセグメントで構成されている。売上高に関しては物流事業が全体の約9割を占めており、営業利益では物流事業と不動産事業でほぼ二分している。ここ数年は、不動産事業で開発した物流施設を活用した3PL事業などの拡大により、物流事業の構成比が上昇傾向にある。不動産事業は流動化のタイミングによって利益の変動が大きいため、物流事業の構成比上昇は全体収益の安定性向上につながり、良い傾向と言える。事業セグメント別の概要は以下のとおり。

(1) 物流事業

物流事業の売上高の約95%を占める国内物流について、物流種別の売上構成比で見ると、一般物流が50%、食品物流が41%、即日配送が9%となっており、BtoBの物流業務が大半を占めている。2017年12月期は食品物流が55%と過半を占めていたが、2018年8月にSBSリコーロジスティクスを子会社化し6か月の業績が加わったことで、一般物流の構成比が上回る格好となった。2019年12月期は年間で寄与するため60%超の水準まで一般物流の構成比が上昇するものと予想される。

また、会社別で見ると、物流に関わるすべてのソリューションを提供するSBSロジコム(株)が売上高の27%を占め、次いで食品物流・低温物流を主力とするSBSフレック(株)が24%、リコー製品を主に扱うSBSリコーロジスティクスが20%、個人・企業間や個人向けの即日配送を行うSBS即配サポート(株)が9%、個人宅配(生協)、農産品物流などを行うSBSゼンツウ(株)が8%を占めている。営業エリアは関東、関西、中部の主要都市圏で、即日配送や個人宅配等は首都圏エリアを中心に展開している。また、約10年前より本格的に開始した3PL事業は、食品メーカーや大手流通企業、EC事業者など着実に顧客を開拓しており、国内物流売上高に占める比率は2018年12月期で約50%まで成長している(2014年12月期は約40%)。

海外展開についてはシンガポール、香港、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピンのほか、新たにSBSリコーロジスティクスが展開している香港、中国、米国の拠点が加わっている。また、インドでは現在、Transpoleの子会社となっているAtlas Logistics(非持分法適用関連会社)に28%出資している。

なお、物流事業のセグメント利益率は2018年12月期実績で2.4%と低く見えるが、これはホールディングカンパニーのオーバーヘッド部分の大半を物流事業で負担しているためで、同要因を除いた実質ベースの利益率は3.2%となっている。

(2) 不動産事業

不動産事業では自社グループにおける3PL事業を展開していくための物流施設を開発、流動化することによって設備投資資金を回収し、新たな物流施設の開設につなげていくといった成長戦略を推進している。この不動産流動化によって得られる収益のほか、従来から保有しているオフィスビルやマンションなどの賃料収入、及び自社のオペレーションが入らず賃料のみを収受している物流施設からの収入などが含まれている。

同社の不動産流動化のビジネスモデルは、低リスク高収益であることが特徴となっている。新たな物流施設の開設に当たっては、土地取得検討時に市中の賃料相場を参考に、景気低迷時でも稼働率が落ちないような賃料を設定した上で、過剰な機能を排して建設コストを積算、かつ3PL事業の顧客を含めたテナント企業が5割程度決定してから建設に着手するためだ。また、自社の3PL拠点として稼働率をほぼ100%とし、事業用不動産としての価値を高めた上で売却し、セールス&リースバックで継続して使用するため、買い手は安定した収益性を確保できることになる。

(3) その他事業

その他事業は、売上高の6割弱を倉庫内の軽作業派遣を中心とした人材事業で占め、次いでマーケティング事業(ペットフードの通販サイト運営、ECマーケティング等)が2割強、残りをリサイクル・環境事業、太陽光発電事業、リース・保険事業等で占めている。太陽光発電事業に関しては、自社の物流センターや事業所の屋上等に太陽光パネルを設置しており、2018年12月末時点の発電能力は合計で9.5MWとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

提供:フィスコ

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