ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (24) 急騰・急落の波に乗るための指標を使いこなそう

特集
2020年7月10日 10時00分

株価急変時のリスクヘッジも想定した取引手法を活用する

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆離れた株価と移動平均線はいずれ引き合う

このほかにも、株価が下落する可能性のある銘柄があります。たとえば、好材料が出るなどで株価が急騰した銘柄です。こうした銘柄を探す際に活用したいのが、「売り候補」の三つ目の項目、「25日線プラスカイリ(+10%)以上」です(図6参照)。

図6 売りの候補「25日線プラスカイリ(+10%)以上」

ゼロから始める「株探」

株価は移動平均線に吸い寄せられるように動くことが一般的です。移動平均線から大きく離れることはあっても、やがてその動きは修正されて移動平均線の水準へと戻っていきます。つまり、株価が移動平均線からどれだけ離れているかを表すカイリ率(株価÷移動平均線×100〔%〕)がプラスになって大きくなればなるほど、株価は買われ過ぎていると考えることができます。こうした移動平均線から上方に大きくカイリした銘柄の株価は、いずれは移動平均線に吸い寄せられて下落することになります。つまり、プラスにカイリしている銘柄の中から、売りのタイミングが近づいていそうな銘柄を探すのです。前述した「移動平均線下降トレンド銘柄」の一覧表にも「25日線カイリ率」「75日線カイリ率」「200日線カイリ率」が表示されていますので確認するとよいでしょう。

ただし、カイリがプラス10%を超えても株価が下落せずに上昇してしまう場合があります。たとえば、コロナウイルスに効くワクチンの開発といったサプライズの大きい材料が飛び出すと、様々な思惑が交錯して買いが買いを呼び、熱狂的に株価は上昇し続け、移動平均線からさらに大きくカイリしていくことがあります。投資の世界では常に教科書やテクニカル指標の教える通りにいくとは限らない点には、注意が必要です。

このように株価が急騰や急落をみせる場合、何かしらサプライズのある材料が出た場合が多いといえます。こうした銘柄は総じて値動きが激しいので、分・秒単位の収益チャンスを狙って一日で取引を手仕舞うデイトレーダー達が集まりやすくなります。腕や体力に自信がある方であれば、株探の「出来高急増銘柄」を活用してデイトレードの候補銘柄を探してみてもよいでしょう(図7参照)。

図7 デイトレ向け「出来高急増銘柄」

ゼロから始める「株探」

「出来高急増銘柄」では、出来高(売買高)が前日に比べて急増した銘柄を掲載しています。出来高が急増するということは、銘柄のエネルギーが増大していることの証です。一日に幾度も取引を行うためには、多くの投資家が集まってくる銘柄の方が板も厚くなり、取引がしやすくなります。デイトレードなど短期のトレードでは、投資家の注目が集まっている銘柄を選んだ方がよいでしょう。

なお、デイトレードで瞬時の売買を行ったとしても、売買タイミングの判断を間違えれば損失の発生は避けられませんので、テクニカル指標を活用した売買を行うように心掛けましょう。

私たち投資家は人間ですから、つい欲に負けて売買を判断するタイミングを間違えてしまうことは普通です。欲に打ち勝つためには、感情に左右されずに客観的に株価の動きを判断できるテクニカル指標を活用してみるのもよいかもしれませんね。

次回も、グローバルナビにある「銘柄探検」のその他の項目について解説していきます。

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