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還元強化ラッシュ続く! 中長期で狙える「高配当バリュー」6銘柄厳選 <株探トップ特集>

特集
2026年6月15日 19時30分

―東証の要請背景に還元拡充の波は止まらず、業績裏付けのある高配当株を追う―

週明け15日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、終値は前週末比3297円高の6万9317円と史上最高値を更新した。トランプ米大統領がイランとの戦闘終結に向けた合意成立を明らかにし、投資家のリスク選好姿勢が一気に強まった格好だ。こうしたリスクオン局面では、急騰相場を主導する主力大型株に視線を奪われがちだが、ボラティリティ(変動率)の高い相場から少し距離を置き、中長期でじっくりと資産形成を狙うなら高配当株の存在は見逃せない。

上場企業による株主還元強化の流れが一段と鮮明になっている。先月までに一巡した3月期決算企業の本決算発表では、高水準の株主還元を実施する企業が相次いだ。生成AIの急速な普及などを追い風に企業業績が底堅く推移するなか、積み上がった利益を積極的に配当へ振り向ける姿勢が日本市場に定着しつつある。今回のトップ特集では、こうした株主還元に積極的な高配当株にスポットライトを当てた。

●プライム企業の6割超が今期も増配へ

「株探」の集計によると、東証プライム市場に上場する3月期決算企業で27年3月期の配当予想を開示している1015社のうち、増配を計画する企業は644社と全体の6割超に達した。業種別にみると、利ざや改善が期待される銀行をはじめ、不動産や建設といった内需関連で増配が目立つほか、世界的なAI関連投資の拡大が追い風となる電気機器や機械セクターにも増配銘柄が多くみられる。前期(26年3月期)もプライム企業の約75%が増配に踏み切ったが、保守的になりがちな期初段階から多くの企業が増配を打ち出している点は注目に値する。

背景にあるのは、東京証券取引所が求める「資本コストや株価を意識した経営」への対応だ。単発の増配だけでなく、配当性向の引き上げやDOE(株主資本配当率)の採用など、中長期を見据えた還元方針を示す企業が増えている。なかでも近年注目を集めているのが、原則として減配を行わず、配当の維持・増額を目指す「累進配当」の導入だ。将来の収益力や財務基盤への自信を示すものとして投資家からの評価も高い。

もっとも、高配当だからといって安易に飛びつくのは禁物だ。株価の下落によって見かけ上の配当利回りだけが高くなっているケースも少なくない。累進配当などの手厚い還元方針も、配当の原資となる利益成長が伴わなければ持続しない。高配当株投資では利回りだけでなく、業績の成長力や財務の健全性を見極めることが重要になる。

今回は、3月期決算を通過した銘柄のなかから、株主還元方針の強化を打ち出した企業や強固な財務基盤を背景に長期にわたって累進配当を継続する高配当株に着目した。以下では、27年3月期に増配を見込み、配当利回りが4%を超える銘柄群のうち、中長期での株価水準訂正も期待できる6銘柄を紹介していく。

※配当利回りは6月15日終値ベースで算出。

◎丸文 <7537> [東証P] 配当利回り4.66%

半導体や電子部品を主力とする老舗エレクトロニクス商社。26年3月期の決算発表とあわせて、株主還元策の抜本的な強化を打ち出した。PBR0.7倍台にとどまる低評価の改善に向け、配当目安を「配当性向50%またはDOE3.5%のいずれか高い方」に引き上げる方針を掲げた。これに伴い、27年3月期の配当は前期比27円増の77円に大幅増配する計画だ。今年から1年以上継続保有する株主を対象とした株主優待も導入するなど、安定株主層の形成に本腰を入れている。業績面では、国策として進む宇宙開発プロジェクトや防衛予算の拡充が追い風となる。今期は防衛関連向けの電子機材が伸長するほか、医用機器の回復を見込む。更に、前期に計上した為替差損の剥落も利益を押し上げ、最終利益は40億円(前期比21.1%増)と増益転換を予想する。配当利回りは4%台後半と高水準で、相場が荒れる局面でも下値の堅さが意識されやすいだろう。

◎カナデン <8081> [東証P] 配当利回り4.02%

三菱電機 <6503> [東証P]グループとの強固な取引基盤を強みに、安定成長を続けるエレクトロニクス技術商社。深刻な労働力不足に対応する自動化ソリューションやデータセンター需要を捉えた電源設備、防衛・公共インフラ関連など幅広い分野へ事業展開しており、国策が絡む旬のテーマで活躍余地が大きい。27年3月期はAI関連需要の拡大に伴うデータセンター案件を中心に成長を堅持し、最終利益は40億円(前期比0.9%増)と4期連続の最高益更新を狙う。新たに示された中期経営計画では資本効率の向上を強く意識し、配当政策にDOE4.5%を基準指標として採用した。短期的な業績変動に左右されにくい安定配当基盤を構築し、今期配当は100円(前期比28円増)への大幅増配を計画する。有力テーマを内包する高配当バリュー株として、中長期での評価向上が期待される。

◎スクロール <8005> [東証P] 配当利回り6.30%

物流代行や決済代行などEC・通販事業者向けのソリューション事業を中核に据える。生協会員向けカタログ販売で成長したが、不採算事業からの撤退や成長分野への経営資源シフトを進めるなか、前期はソリューション事業の売上高が初めて通販事業を上回った。27年3月期は前期に事業撤退損を計上した反動もあって、最終利益は43億円(前期比55.3%増)と急回復する見通しだ。中長期ビジョンでは30年3月期に最終利益60億円、ROE15%以上の目標を掲げ、株主還元方針を見直した。配当性向60%またはDOE8.5%のいずれか高い方を基準とする累進配当を導入する一方、株主優待は廃止し、株主還元を配当などに集約する。今期配当は東証一部上場40周年の記念配当を含めて102円(前期比43円増)への大幅増配を見込む。事業構造の転換が利益成長と還元方針の刷新という形で実を結びつつあり、変革期にある企業として注目したい。

◎日本高純度化学 <4973> [東証P] 配当利回り4.43%

電子部品向け貴金属めっき薬品で世界トップクラスのシェアを誇る化学メーカー。主力のプリント基板・半導体パッケージ向け製品は、パソコンやスマートフォン用途に加え、足もとで需要が急拡大するAIサーバーやデータセンター向けでも引き合いが強まっており、半導体・AIの成長テーマに乗る銘柄としても注目度が高い。同社の魅力はこうした成長性だけではない。無借金経営による強固な財務基盤を背景に、記念配当の影響を除いて20年以上にわたり実質的な累進配当を継続している。24年3月期末からはDOE5%を下限とする配当方針を導入し、株主還元を一段と強化した。今期配当は230円(前期比30円増)と4期連続の増配を計画しており、配当利回りは4.5%近辺と高水準にある。成長性と安定還元を兼ね備えた高配当株としてマークしておきたい。

◎トーモク <3946> [東証P] 配当利回り4.46%

独立系の段ボール加工専業で国内首位。輸入木造住宅「スウェーデンハウス」や運輸倉庫も展開するハイブリッド型企業だ。27年3月期は主力の段ボール事業で価格改定を継続するほか、住宅事業の収益改善が寄与し、最終利益は81億円(前期比10.0%増)と3期連続の最高益更新を計画する。新中期経営計画では、累進配当を維持しながら配当性向の目標を40%以上へ段階的に引き上げる方針を示した。PBR1倍割れ解消に向けた株主還元策を更に強化し、今期配当は前期比40円増の170円と6期連続の増配を見込む。株価は決算発表後に約31年10ヵ月ぶりの高値水準まで駆け上がったものの、予想PER7倍台、PBR0.6倍近辺と依然として割安感は強い。一方、配当利回りは4%を大きく超えており、資本政策の進展とともに一段の水準訂正余地を残している。

◎IDホールディングス <4709> [東証P] 配当利回り4.69%

システム運用管理やアプリケーション開発を主力とする独立系IT企業。売上高の4割超を金融機関向け案件が占めるほか、顧客との直接取引比率が65%に達するなど安定した収益基盤を持つ。足もとでは、サイバーセキュリティーやITインフラといった高付加価値な注力領域への人材シフトを進めるとともに、全社的なAI活用を推進し、更なる高収益化を図っている。27年3月期は堅調なIT投資ニーズが続くなか、最終利益は30億円(前期比3.2%増)と5期連続の最高益更新を見込む。株主還元にも意欲的で、配当は前期まで27期連続で減配なしと抜群の安定感を誇る。今期配当は50円と3月末割当の株式2分割を考慮すると実質25%の大幅増配を予定している。連続最高益や長期にわたる減配なしという実績は、安定性を重視する投資家にとって有力な選択肢となりそうだ。

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