「量子コンピューター」に再脚光、エヌエフ回路、YKTなど急動意相次ぐ<注目テーマ>
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みんなの株式と株探が集計する「人気テーマランキング」で「量子コンピューター」が11位にランクされている。
量子コンピューター は大手電機メーカーや通信メガキャリアが積極的に経営資源を投下して研究開発を進捗させており、関連株が再び脚光を浴びそうな気配となってきた。直近では同テーマのシンボルストックの一つであるエヌエフ回路設計ブロック<6864>が前週末と週明けの2営業日で500円以上値を上げ、率にして約24%の上昇をみせマーケットの視線を集めた。また関連有力株に位置付けられるYKT<2693>も前日にストップ高に買われ、きょうもその余勢を駆って上値追いを継続している。今後、この流れが横に広がっていく公算もある。
量子コンピューター はこれまでのコンピューターの基本コンセプトである「01」の世界から離れ、量子力学的な重ね合わせにより、極微の世界で起こり得る物理現象を活用して並列コンピューティングを実現させるというもの。スーパーコンピューターですら何千年も要する演算をわずか数時間で完結するという性能を持ち、今後、人工知能(AI)の発展においても大きなカギを握る可能性が高いとみられる。現在、量子コンピューターをグローバル企業の間で導入・実験する動きが活発化しているが、日本でもこれにキャッチアップすべく関連企業の注力度合いが高まりを見せている。
富士通<6702>は5月から量子現象に着想を得た次世代アーキテクチャーである「デジタルアニーラ」を商用化、交通経路の最適化による渋滞解消などの課題を担う。また、日立製作所<6501>は6月中旬、量子コンピューターの計算手法を使い、同コンピューターに匹敵するCMOS半導体コンピューターを始動させている。また、量子コンピューターが普及すると、暗号解読なども高速で遂行してしまう可能性があり、サイバー攻撃に対するセキュリティー面の充実も一段と重要視される。NTT<9432>は量子コンピューターにより通信インフラがサイバー攻撃を受けても、情報の安全性を守る技術を開発、ネット上で個人情報を守る基盤技術として活用を図っていく構えだ。
量子コンピューター はさまざまな次世代テクノロジーと融合し、その活躍の場を広げていく可能性がある。例えばブロックチェーン技術を開発するシビラ社は欧州合同原子核研究機関(CERN)と協業で量子コンピューターとブロックチェーンを連携させる研究に着手しており、今後の展開が期待される。
日本でも着実に量子コンピューター飛躍の舞台は整ってきており、同テーマの物色人気再燃を念頭に置いて、投資対象を絞り込んでみたい。
有望関連株としては、前述のエヌエフ回路は量子コンピューターで使用される可能性の高い微小信号測定器などを手掛けていることで注目されている。また、YKTは同社の完全子会社が、量子コンピューティング分野と関係の深い産業用レーザーや光センサー向け先端技術部品を取り扱っており、人気化した経緯がある。実際、同分野で先頭集団を走るのはフィックスターズ<3687>だ。同社は金融機関向けなどを中心に顧客のシステムを高速化させるソフトを開発しているが、世界で初めて量子コンピューター商用化に成功したカナダのDウェーブ社と提携関係にあることでマーケットの熱い視線を浴びている。
このほか、AI関連の雄であるブレインパッド<3655>や日本ラッド<4736>、ユビキタスAIコーポレーション<3858>なども注目される。
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)