外国人11兆円売り越しの衝撃、その裏で「コントラリアン」が狙う株<株探トップ特集>

特集
2018年12月18日 19時30分

―利益確定売りの洗礼を浴びる日本株、ハイテク株の一角に流入する資金の実態とは―

18日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比391円安の2万1115円で引けた。株式市場は、米国や中国の景気減速懸念を背景にした神経質な展開が続いている。このなか、市場の関心が集まっているのが、外国人投資家の動向だ。今年は一年を通じ売り越し基調が続き、現物と先物を合わせれば11兆円強の売り越しとなっている。日本株の上値の重さは外国人売りが大きな要因だ。ただ、そんななかでも、一部銘柄には海外筋からは逆張り志向の買いが入っている。

●現物の売り越しは5兆円強、アベノミクス開始以来の売り金額に

東京株式市場で外国人投資家の売り越し姿勢が目立つ。東京証券取引所が発表する主体別売買状況では、12月第1週は現物で6001億円と4週連続の売り越し。年初からの売り基調が続き年間ベースでは約5兆2000億円の売り越しとなっている。昨年は7532億円の買い越しだった。13年に15兆円超の買い越しを記録した外国人だが、今年はアベノミクス相場が始まって以来の大幅な売り越しとなるのは確実な情勢だ。

特に、ヘッジファンドなど投機筋の動向に左右されやすい先物ベースでは、今年は既に6兆6000億円強の売り越し。このため現物と先物の合計では、11兆8000億円前後の大量売り越しとなっている。

●日本市場は中国株下落のヘッジ対象として利用も

市場では「世界的な景気減速懸念が高まるなか、米国や新興国の株式が下落している。日本株は絶好の益出しの対象となっている様子だ」(アナリスト)との見方が多い。また、「先物絡みでは流動性の大きい日本マーケットは、中国株の下落をヘッジ売りする対象として利用されている」(外国証券)との声もある。

日経平均ベースの連結PERは12倍前後と割安感が目立つが、東京株式市場は外国人投資家の利益確定とヘッジ売りに右往左往しているのが現状だ。今後の見方に関しては「米連邦準備制度理事会(FRB)が早期の利上げの打ち止め姿勢を示し、米中貿易摩擦にも落ち着きが見えてくれば、海外市場が反発に転じ、外国人投資家も日本株に買いを入れてくるのではないか」(ストラテジスト)との声もある。

●アドバンテ、東エレクなど半導体株の下値拾いも

海外投資家が日本株買いに転じるには、外部環境の落ち着きが必要というわけだが、依然先行きに対する不透明感は強い。とはいえ、長期投資の海外投資家などからは必要以上に売り込まれた割安株に着実な買いが入っていることも事実だ。逆張り志向の投資家は「コントラリアン」と呼ばれるが、彼らはいまどんな銘柄に買いを入れているのか。

大量保有報告書によると、米大手運用会社のブラックロックは、ピジョン <7956> やレオパレス21 <8848> 、それにアドバンテスト <6857> といった銘柄の大株主に浮上している。また、NEC <6701> の保有株比率は6.31%から7.48%に上昇した。界壁施工不備問題に揺れるレオパレス21や先行き不透明感の強い半導体のアドバンテの下値を拾っていることは注目される。

また、米キャピタル・リサーチも半導体関連の東京エレクトロン <8035> の大株主に浮上。任天堂 <7974> の保有株比率を10.76%から11.77%に引き上げたほか、コスモス薬品 <3349> の大株主になっている。

●アクティビスト系は住友重やT&KTOKAなど狙う

JPモルガンはアンリツ <6754> や太陽誘電 <6976> 、SUMCO <3436> といったハイテク系銘柄を買い増している。フィデリティ投信は、安藤ハザマ <1719> や日油 <4403> を買っている。

一方、「物言う株主」と呼ばれるアクティビスト系では英シルチェスターが住友重機械工業 <6302> の保有株比率を7.08%から8.15%へ買い増している。ニッパツ <5991> や中国銀行 <8382> の持ち株も増やしている。ダルトン・インベストメンツはT&K TOKA <4636> 、大成温調 <1904> [JQ]、ホギメディカル <3593> を買っている。タイヨウ・ファンドはそーせいグループ <4565> [東証M]やアルバック <6728> の大株主となっている。

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