明日の株式相場戦略=日経レバの水面下の戦いに視線集まる

市況
2019年9月17日 17時39分

3連休明けとなった17日の東京株式市場は日経平均が前週末終値近辺で売り買いを交錯させ、結局わずかながらプラス圏で着地し10連騰となった。しかも、2万2000円台のフシ目をクリアしての大引け。今から2年前の17年10月に16連騰という記録があるが、そこまではたどり着かないまでも、強調相場としてはかなりのレアケース。正直、外部環境からは理屈のつかない上げで、売り方にすれば株は需給という摂理を痛感させられるような地合いだ。

14日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの石油施設が無人機の攻撃を受け、これによりサウジの産油量の約半分に相当する日量570万バレルの生産が停止すると伝わり、WTI原油先物価格が記録的な急騰をみせた。しかし、原油市況の上昇はサウジにとっては願ってもないこと。さすがに自作自演ということはあり得ないにせよ、原油価格上昇というこの一点だけを切り取れば、サウジだけでなく切望している国は多い。海外大手メディアは全面復旧に数カ月かかる可能性に言及したところもあるが、あくまで可能性であって、この報道にはかなり恣意的な誘導があると指摘する市場関係者もいる。

今週はFOMCと日銀の金融政策決定会合を控えるが、FOMCでは政策金利0.25%引き下げ、日銀は現状維持で株式市場は既に織り込みが進んでいる。原油市況の高騰は、世界経済のファンダメンタルズとは離れた一過性要因。したがって、会合後のパウエルFRB議長や、黒田日銀総裁の記者会見で原油市況上昇を理由にタカ派的なスタンスを匂わすことも考えにくい。これに先立って行われたECB理事会では緩和モード一色で、世界的に流動性相場の下地は出来上がっている。

ただ、今の東京市場は需給的な要素が前面に押し出された連騰であり、どこかで反動が来ることは避けられない。では、タイミングとしていつか。そのバロメーターとなるのがNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570>の逆日歩の動向という見方が市場にはある。日経レバは日経平均にリンクさせたETFで変動率が2倍に基本設定されている。全体相場のボラティリティが高まると個人投資家の短期資金が集中する傾向があり、きょうも売買代金は全銘柄を通じて断トツだ。直近、日証金では日経レバの売りが積み上がり、貸借倍率は0.1倍、1日50円の逆日歩がついている。この逆日歩が、足もとの相場の買い戻し余地を映す分かりやすい指標ともなっている。言い換えれば、この貸株残高の整理が進み、逆日歩状態が解消されるまでは、仕掛け的な踏み上げ誘導が続く可能性がある。日経レバの日証金の動向は注視しておく必要がありそうだ。

個別では、原油高騰→再生可能エネルギー見直しの観点から、太陽光発電関連の側面を持つ明治機械<6334>やフジプレアム<4237>に着目。このほか、SBIキャピタルの保有株買い増しに加え光通信<9435>が株主に入っているデザインワン・ジャパン<6048>が75日移動平均線との下方カイ離を解消、一目均衡の雲抜けが期待できる場面でマークしておきたい。このほか、金融機関などを主要顧客にネットワークの構築や債券管理システムを手掛けるアイティフォー<4743>は、地銀再編の動きが加速するなか、底値買いのチャンスに見える。

日程面では、あすは日銀金融政策決定会合が19日までの日程で行われる。また、朝方取引開始前に8月の貿易統計が発表される。海外では、FOMCの2日目で金融政策の結果発表と会合後のパウエルFRB議長の記者会見が注目される。このほか8月の米住宅着工件数も開示される。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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